大都会の中に広大な原始林!癒しと苦行の野幌森林公園を歩く

スポンサード・リンク



約190万人の人口を誇る札幌市。全国でも有数の大都市ですが、これまで紹介してきた通り、ほかの大都市では想像もできないほど恵まれた自然に囲まれています。今回は、大都市に居ながら想像を超えるスケールの原始林散策を経験できる「野幌森林公園」を歩いてみました。

 

2038haの広大な面積を持つ自然公園

 

野幌森林公園北海道開基100年を記念し昭和43年(1968年)に道立自然公園に指定されました。世界でも数少ない大都市近郊の平地林で公園は何と広さ2038ha。札幌市、江別市、北広島市の3市にまたがるという、頭では思いつかない広さです。その広さは筆者が実際に歩いて思い知らされることになります。公園内はいくつもの遊歩道が整備されていて、市民には散策や野鳥や自然観察の場として親しまれています。また、公園内には道立の「北海道開拓の村」「北海道博物館」「埋蔵文化財センター」など記念施設もあり、そちらは観光客でもにぎわいます。施設に関しても興味深いので、また別の機会で再度訪れて紹介できればと思います。

札幌中心部からはJR函館本線に乗車し、「森林公園駅」で下車します。普通列車で15分ほどで到着。何でもない街中の小さな駅です。下車したら南方面に歩きます。旭川方面に向かう国道12号線に出ます。信号を渡ると野幌森林公園です。

公園内へはさらに登ること約10分。公園は標高80mの丘陵地帯に位置しています。坂を登り切ると広い駐車場と案内所、タクシー乗り場があり、その向こうには大きな塔がそびえています。

この塔は「百年記念塔」で、北海道開拓に人生を捧げた先人への感謝と、未来を切り開く道民の決意を示すために昭和45年(1970年)に建築されました。北海道百年を記念し高さは100m。地上23.5m地点に展望台が設置されていましたが、今は老朽化のため記念塔への入場や周囲へ近づくことは禁じられています。

周辺は整備されていて非常に爽やかな芝生公園となっています。記念塔は老朽化していますが、その威容は健在で公園や開拓のシンボルとなっています。

同公園の遊歩道の基点は5カ所からなり、今回はこの記念塔からスタートします。しかし、この日の札幌も摂氏33度に加えて湿度も高く異常な蒸し暑さ。さらに案内所の方には「夏場の見どころはあまりないね。花も散っちゃたし。それに森の中でもかなり暑いみたいだよ」と一刀両断され、どうなることやらという思いで、森林内に歩を進めました。これからの写真は森林の写真ばかりで単調に思われる方がいるかも知れない、とお断りしておきます。

圧巻の自然林の中をひたすら歩く

 

森林内には入り口や道の分岐点などに、遊歩道コースの案内図が出ています。

ですから、広大な森林の中を歩くのですが、迷うことはないと思います。記念塔口から入ると、早くも緑のトンネルの中に入ったような気分になります。

この歩道は瑞穂連絡線と言って、瑞穂の池まで全長1.7mほどになります。約800m先の分岐点までは左側にトドマツ、カラマツなどの若い人工林が目立ち、右側の沿線にはミズナラ、イタヤカエデ、ハルニレなど若い自然林が続く、開放感あふれる緑のトンネルです。写真では分かりませんが、左側の人工林はトドマツが昭和30年、北海道では自生していないカラマツを本州中部の山岳部から持ってきて昭和35年に植えているので、大きさが揃っています。逆に右側の自然林は、戦中戦後に大木が伐採された後の二次林で、様々な大きさの樹木が生育しています。

筆者も森林公園を歩くのは数十年ぶりですが、一般に原始林と呼ばれていますが、100年を超す大木がそびえたっている森林はそう多くはないそうです。この遊歩道が大木で空が覆われるような森になるにはもう100年はかかると言われています。

 

数多くの野鳥、野生動物が生息も…

 

公園内の森林の約8割が国有林で鳥獣保護区になっています。野鳥は約140種生息していて、エゾフクロウは国の天然記念物であり、日本では北海道のみ生息している(北東北の一部にわずかに生息も)クマゲラも運が良ければ目にすることができます。北海道でも見かけることが難しいキツツキの仲間ですが、こんな大都会の中の森林に生息しているのは極めて珍しいはずです。様々な野鳥の声が森林の中から聞こえてきます。キツツキのドラミング(樹木を口ばしで叩いて穴をあける)の音も聞こえてきました。しかし、真夏で緑に覆われた森の中でキツツキの穴を見かけるのは困難でした。このほかエゾフクロウや愛くるしい姿で人気が高まっているシマエナガなども時期が良ければ見かけることはそれほど難しくないそうです。

わずかに見かけたのが写真の茶色い鳥です。巣作りをしているのか枯れ枝を口に咥えているのが分かります。何系の鳥でしょうか?図鑑などで調べましたが、筆者は野鳥にもそれほど詳しくないのでわかりませんでした。とにかく、猛暑の中の疲労と鬱蒼とした森の中で野性動物や野鳥を見かけるのはかなり困難でした。野性動物エゾリスのほか、キタキツネ、エゾタヌキ、ユキウサギなどが生息しています。今回は一瞬、キツネかタヌキが遊歩道を横切ったのを確認できましたが、カメラには収められませんでした。

この木は「キハダ」です。北海道ではシコロとも呼びます。皮をめくった内皮が鮮やかな黄色です。古くから薬用や染物に使われた、庶民とかかわりの深い木です。胃に良く効くと言われていて、今でもキハダの成分を使った胃腸薬も売られています。

 

開かれた瑞穂の池でひとやすみ

 

瑞穂連絡線を右に折れ、瑞穂の池に向かいます。

それぞれの分岐点などには案内板や道標があります。瑞穂の池に行く道に入るとまた森の様相が変わってきます。

この付近の森は森林公園中でも美しい林相を持った景色が見られるそうです。トドマツやミズナラ、ヤチダモといった樹齢200年を超える大木の下に次代を担うトドマツや広葉樹の若木が生い茂り、地表にエゾユズリハなどの低木やササが密集しています。開拓以前の原始林の雰囲気を色濃く残しているコースですね。

この立派な大木はミズナラです。野幌原始林でもポピュラーな木で、成長は遅いですが、このような大木も見られます。花を咲かせた後の実は、みなさんご存知、ドングリとなります。木目が緻密で美しいので、家具や建築材、ワインやウィスキーの酒樽に使われています。

野幌森林公園は丘陵地帯であると前述しましたが、その丘陵でも沢や上り下りも多く、複雑な地形をしています。ここら辺は雪解け水がたまりやすい湿地帯となっているようで、遊歩道も、猛暑続きにも関わらず湿っていました。

こういう湿地にはヤチダモが多いです。ヤチダモは野球のバットなどによく使われる樹木ですね。

の大木もありました。クリは北海道では西南部しか生息せず、野幌はその北限近くにあります。6,7月に花を咲かせ、実は秋になると皆さんがこぞって収穫するイガ栗になります。分岐点から1㎞ほど歩き、最後は階段を下っていくと、開かれた盆地があり、そこに瑞穂の池が現れます。

そばに東屋があり、疲れたら、ここで休息を取ったりするのが最適です。

瑞穂の池は、昭和3年、同地に入植した白石第一土功組合が困難を乗り越え、灌漑用水のため池として築いた池です。右手後方に記念碑があります。昭和48年には防火用水池として北海道が管理し、豊かな水辺を楽しめます。池には下までは降りるのは禁止されていますが、5月にはエゾアカガエルやオオサンショウウオの卵などが確認でき、また春や秋には水鳥のウォッチングでも人気があるようです。ここまでで1.9㎞の道のりでした。原始林を切り開いた先人に思いを馳せながら、後にしました。

 

北海道名木のひとつカツラの巨木に圧倒される

 

もと来た道を、瑞穂連絡線まで戻り、分岐点を右折します。

そのまま中央線への分岐点まで進む道程は、カラマツやトドマツの林が目立ち、ここらへんは植林した人工林であることが伝わってきます。

中央線の分岐点を左折してしばらく進むと、大沢口の駐車場が見えてきます。

野幌森林公園にはこのような入口と駐車場が5カ所あります。遊歩道の通行は、車はもちろん入れませんが、自転車は通ることもできます。さてこの大沢口から大沢コースへ向かい、すぐに右折し、エゾユズリハコースに入ります。エゾユズリハコースに入口からすぐのところに、巨大なカツラの木が、威厳と幽玄なたたずまいを見せてくれました。

一体、樹齢何年なのでしょうか?まるでジブリの映画に出てきそうな雰囲気です。この木は北海道の名木百選にも選ばれているとか。

根幹の張り方が歴史を感じさせますね。静かな森ですが、この巨木の周りは一層の静謐さを感じさせ、まさに広大な森林の守り神のようで、神性を感じずにはいられませんでした。

1.2㎞のエゾユズリハコースを抜け志文線の分岐を右折し、大沢コースに戻ります。

大沢コースはトドマツの人工林の中にカツラやハルニレの大木も見られますが、日当たりも良く、これまで歩いた中では爽やかなコースでした。再び大沢コースに戻ります。駐車場の裏側には、「自然ふれあい交流館」があります。

ここは森林公園や北海道の自然の学習や情報の収集ができる場所です。開館時間は午前9時から17時までで、筆者がここにたどり着いたのは午後5時をとっくに過ぎていましたので残念ながら閉館でした。同交流館からふれあいコースに入ります。

このコースはほかと様相が違います。鬱蒼としたほかの森林と比べて、ところどころに広い草原が広がっています。実はこれは、開拓者が入り、畑などを開墾した跡地なのです。其の後、土地を手放して、低地性の草木が育っています。草原の向こうには百年記念塔が見えます。このふれあいコースを歩くと、記念塔の裏側に出てきます。これで今回の散策は終了です。歩行距離は約9㎞。このコースでもかなり歩いた気になりましたが、同公園の1割ほどの面積しか歩いていません。心地よい疲労感に浸りながら、次はもっと涼しく、紅葉や花が綺麗な季節に来ようと誓いました。

 

まとめ

 

うだるような暑さの中、汗だくになりながら歩きました。約6時間は歩いたでしょうか?その圧倒的なスケールに案内版がなければ、位置関係や右や左がわからなくなるほどでした。それでも森林の中は木陰に覆われヒンヤリした空気は漂いますし、天然のマイナスイオンは気分を癒してくれ、筆者の苦行を和らげてくれました。季節はやはり花が咲く春か初夏、紅葉の秋が良いでしょう。汗をかくとやぶ蚊が襲ってくるので、虫よけは忘れずに。

そして、動物や植物を傷つけないよう、ルールをしっかり守って楽しんで下さい。

▽スポット情報

北海道立野幌森林公園

住所:北海道札幌市厚別区厚別小野幌53-2

TEL:011-898-0456(北海道博物館 総務部統括グループ)

URL:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/environ/parks/nopporo.htm#5

スポンサード・リンク



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください