自然や緑を生かした札幌の広大な公園の中でも随一の広さとスケール感を誇る、北海道唯一の国営となる「国営滝野すずらん丘陵公園」。北海道の大自然にダイレクトにつながる山間地にある公園。春から秋にかけて様々な花を咲かせることで有名ですが、暑い夏には、公園内の渓流を歩いて「滝めぐり」でマイナスイオンを浴びることを勧めたいと思い、渓流ゾーンを散策してみました!
①:四季折々の花が咲く「カントリーガーデン」
札幌市中心部から南へ約18㎞、車で40~50分ほどの札幌市南部に位置し、支笏湖につながる山間部の丘陵地に、約400㌶の広大な敷地を有する国営公園。四季により様々な花々が咲き乱れ、子供が遊べる遊具が満載の「中心ゾーン」、豊かな緑あふれる広大な「森林ゾーン」の東西エリア、そして、公園を取り巻く厚別川で川遊びやサイクリング、バーベキューを楽しめる「渓流ゾーン」に分かれています。あまりに広く1日ではすべてを満喫ことができません。今回は公園内外を流れる厚別川ぞいの「渓流ゾーン」の様々な滝を中心にレポートします。
その前に公園内に咲き誇る花々も見逃せませんので、最初に紹介しておきます。路線バスの終着駅になる公園の東口や、中央口から入ってすぐ、花々が咲く丘陵「カントリーガーデン」があります。
訪れたのは7月下旬だったので今回は主にラベンダーが咲いていました。実はカントリーガーデンは5月のチューリップの時期や、9月中旬からの秋のコスモスが見ごろ。一面に咲き乱れる光景は、まさにメルヘンの世界に入ったようです。今回訪れた時はコスモスの種を植える作業を行っていました。夏場は少し地味ですが、ラベンダーは北海道の夏を代表する花。札幌では最大規模のラベンダー園であることは間違いありません。
ラベンダーの豊かで蠱惑的な香りは、夏の暑さを忘れさせてくれます。
②:遊具がいっぱい!童心に帰る「こどもの谷」
カントリーガーデンから奥に入ると、様々な遊具が自然の中に溶け込んでいる「こどもの谷」があります。冬はソリ遊びができる芝生斜面の「ローンスタジアム」が開放感を演出してくれます。
斜面の上は展望台です。屋内ネット遊具の「虹の巣ドーム」や地形を生かした滑り台など数多くの遊具があり、地面がたくさんの角が突き出た「マウントコニーデ」には筆者が訪れた時も子供たちがはしゃいでいました。
急角度の溶岩滑り台も迫力満点です。筆者も滑ってみたい気持ちになりました。
子供たちには最高の遊び場になりますので、お父さんお母さんにはひと息つける場所となりますし、家族のピクニックには最適だと思います。
③:渓流ゾーンを巡ってみる
さてここからは、当初からの目的、「渓流ゾーン」の滝めぐりとなります。渓流ゾーンには4つの滝が流れ落ちていますが、そのうち「不老の滝」への道は昨年の豪雨で地盤が崩れ通行止めとなっています。ちなみに、同公園の大人410円、小中学生80円(冬期は無料)ですが、渓流ゾーンはゲート外にあるため無料です。中心ゾーンからはカントリーガーデンを下り、中央口ゲートを出て左に曲がり道なりに下っていきます。
広大な公園はバス停が4つあり、バスで来られる方は「すずらん公園渓流口」で降車すると便利です。道を下って5分もすると、細い遊歩道を左に入ります。
森の中を進むと間もなく最初の滝「白帆の滝」が現れます。
高さ約10m、幅3mの中規模の滝です。こちらは離れた所で遊歩道が行き止まりになるので、柵の外から眺める形になります。白帆沢という地名から名づけられています。厚別川に合流する小川の白帆の沢川の源流となるのでしょうか。少し地味な滝ではありますが、緑に囲まれた美しい流れは十分な目の保養と癒しになりました。
④:北海道を代表する「アシリベツの滝」
白帆の滝から戻り、また道を下ると、橋の下を流れる「厚別川」が見えてきます。
案内所やトイレもあり、また橋の下には子供が遊ぶ遊具、ロッジや炊事遠足広場もあります。
渓流ゾーンでは自転車をレンタルできます。「滝めぐり」はかなりの距離を散策することになるので、サイクリングでも良いかと思います。道沿いには至る所に、案内板や距離表示が掲示されているので迷うことはありません。
アシリベツの滝は厚別川沿いを上流に進みます。また川沿いには火器が使える炊事広場が複数あり、バーベキューパーティーなどを楽しめるようになっています。
川辺でバーベキューパーティーなんて今では中々できないですからね、団体や友達同士で利用してみて下さい。また、釣り堀や、ジンギスカンを楽しめる焼き肉レストランもありますよ。
滝に近づくにつれて、川の流れは、渓流という雰囲気になり、癒し度、マイナスイオンが増してきます。白帆の滝からは約15分、表れてきたのが、同公園、そして北海道を代表する滝のひとつ「アシリベツの滝」です。札幌市南端の空沼岳を源流とする厚別川の上流域に位置するこの滝は、市民や地元の人々に親しまれてきた滝です。
落差26mの勇壮で男性的な水瀑は水量も豊富。夏場の雨が少ない時期なので、これでも水量は少ないそうです。1990年(平成2年)4月に「日本の滝100選」に選ばれています。厚別川本流に落ちる雄滝と清水沢川に落ちる幅の狭い雌滝の2つに分かれています。
雄滝は上部と下部で流れの趣が違います。個人的には上部のゴツゴツした岩肌を縫って複雑に流れる雰囲気が好きです。対照的に下部は勢いよく豪快に落ちていきます。
「滝めぐり」は涼を感じる夏以外に10月頃の秋もオススメです。紅葉で真っ赤に染まった沢肌を流れ落ちるアシリベツの滝は情緒タップリ。また開園直後だけ見られる可能性もある晴れた日の滝にかかる虹を観ようと、市民や観光客でにぎわいます。12月下旬かごろから氷りつき、幻想的な氷瀑にもなります。さすがに名のある滝だけあり、その迫力にしばし見とれてしまいます。写真を撮るのも滝は面白い。マイナスイオンもタップリ浴び、非日常を満喫できるはずです。
⑤:アシリベツと対照的な「鱒見の滝」
残すはあとひとつ。「鱒見(ますみ)の滝」です。公園内の東端に位置し、西端のアシリベツの滝からは約2・6㎞歩くことになります。ですので、自転車をレンタルして向かうのも良いかと思います。歩く方は遊歩道沿いにベンチなどが整備されているので休み休み向かうのも良いと思います。しっかりと水分補給も忘れないでください。
渓流ゾーンの整備された川沿い遊歩道を、森林浴をしながら20分ほど歩くと、公園の鱒見口の駐車場とパークステーションがあり、そこを右折し川沿いの遊歩道をさらに10分ほど歩くと、鱒見の滝が姿を現します。
左の雄滝と右の雌滝に分かれ落差は18m。アシリベツの滝と比べると流れ落ちる水瀑は華麗で糸を垂らしたように見え、とても女性的です。岩肌も女性の肌のようにつるっとしています。また、この滝は沢の目の前まで寄ることができ、滝の迫力を間近で感じることもできます。
「滝めぐり」で最もマイナスイオンを浴びることができる滝かも知れません。河川も浅いので、子供の水遊びにも向いていそうです。実は鱒見の滝の左横の樹林の陰にも落差25mの滝があります。
こちらも堂々たる滝ですが、固有の名前はついていなようです。名づけるなら「名もなき滝」でしょうか。存在感がありました。
まとめ
初めての滝三昧散策を終えると、約3時間が経過していました。かなりの運動になることは事実ですが、森と水のマイナスイオンが疲れを忘れさせてくれます。アシリベツの滝は有名で観光客も多いですが、鱒見の滝も美しさも勝るとも劣りません。何より、素晴らしい大滝を沢登りなどの危険を冒さず、間近で3つも見られる公園は全国でも珍しいと思います。「不老の滝」も復旧すれば4つですからね。公園の楽しみ方は様々ですが、夏は涼みに、秋は紅葉を愛でながらの「滝めぐり」を選択肢に入れてみて下さいね。
スポット情報
国営滝野すずらん丘陵公園
住所:北海道札幌市南区滝野247番地
TEL:011-592-3333(滝野公園案内所)
URL:http://www.takinopark.com/
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