道南・白老町のグルメと知られざる歴史を楽しむ

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今年度から7月17日は「北海道みんなの日」と定められました。名づけて「道みんの日」。あらためて、自分たちの住む北海道の歴史や歩みを振り返る日として、道立や市立の公共施設が無料開放したり、JRも割引切符を発行するなど盛り上げようとしました。筆者も改めて北海道の知られざる歴史を学ぼうと、今回は道南の白老町に向かいました。

 

「北海道」誕生150年を記念し道が制定

 

通称「道民の日」は、蝦夷地が「北海道」と名付けられた日で、平成30年(2018年)に150周年を迎えるに当たり、道議会で正式に条例として制定されました。江戸末期の探検家で北海道をくまなく渡り歩いた松浦武四郎が明治2年(1869年)のこの日、明治政府に「北海道」の名前を提案したと言われています。条例では「道民であることを誇りに思う心をはぐくみ、一体となって豊かな北海道を築くこと期する日として設ける」とあります。

北海道民が改めて歴史や風土、文化を理解する日となりました。休日にはならないですが、海の日の祝日と重なりました。しかし、今年に関しては浸透度はまだまだだと思いました。ですが各市町村の公共施設が無料開放されるなど、様々な取り組みが行われています。JR北海道も北海道内全線の普通列車が3000円で乗り放題となる「道民の日・日帰り周遊パス」を発売しました。筆者は今回、道南の白老町に向かいました。

筆者が使ったのは日帰り周遊パスではなく4月から11月まで発売している土日祝日限定の「一日散歩きっぷ」です。こちらの方がエリアは限られるものの、コスパが断然良いからです。白老町札幌から約70㎞南西にある太平洋に面した人口1万7500人の町です。隣町は苫小牧市。主要産業は白老牛などの畜産、虎杖浜海岸の鱈子などが有名です。また、同町の社台地区は世界の競馬界を席巻している社台ファームのルーツです。アイヌ文化を学べる北海道でも代表的な施設「ポロトコタン」は海外の方々でもにぎわいます。

今回はフリー切符なので、すべて普通列車。札幌から、苫小牧で1両ワンマン列車に乗り換えます。時間にして2時間10分ほどかかりました。

歴史を学ぶ前に、まずは白老町グルメを食べます。白老と言えば、白老牛が有名です。白老牛は、ルーツは島根県の牛だそうです。同県の血統を母体に持つ牛を中心に近江牛、松坂牛、但馬牛との交配で誕生。白老の恵まれた自然で育まれた黒毛和牛です。

肥育期間は36カ月以内の若牛で、生産者及び販売店を指定することで消費者に顔の見える「安心・安全」な白老牛お届けます。平成19年(2007年)に「白老牛」の商標登録が認定され、ブランド化されました。翌平成20年に行われた洞爺湖サミットでは晩餐会で提供され、柔らかく繊細な肉質に各国首脳から絶賛されたとか。6月に行われる「白老牛肉まつり」は北海道でも有名なイベントとなりました。

 

味はA級!B級グルメ「白老バーガー」に舌鼓

 

この白老牛を使用したB級グルメが「白老バーガー&ベーグル」です。町内では12店が30種類の白老バーガーを提供しています。筆者が訪れたのはJR白老駅からほど近い「白老牛専門店 牛の里」です。

店内は白老牛肉の販売コーナーと焼肉店があります。ハンバーガーに関してはイートイン、テイクアウトともOKです。3種類のハンバーガーがありますが、筆者が頼んだのは「炭焼き白老牛ベーグル」(500円)です。イートインの場合は、一緒にソフトドリンク(200円)を頼むことになります。

白老牛のすね肉を粗挽きし、つくね風に仕上げ、炭火で香ばしさを出し、マスタードと塩コショウでシンプルな味付けで、肉や素材の味をしっかり感じられる一品です。炭火で焼かれた牛肉は脂も適度でかみしめると旨みが口の中に広がります。モッチリしたベーグルの食感と絶妙なコラボレーションでした。

 

北方警備に当たった仙台藩の陣屋跡へ向かう

 

この日は断続的にバケツをひっくりかえしたような雨と激しい雷が続き、その間隙を縫っての移動となりました。ここから向かったのは超有名な「ポロトコタン」ではなく、駅前から約2㎞内陸にある「仙台藩元陣屋資料館」とそれに隣接する「陣屋跡地」に向かいました。ポロトコタンはまた次の機会に紹介したいと思います。

住宅街を抜け、右折する白老川の支流・ウトカンベツ川が流れ、爽やかな緑が印象的な整備された林の中に資料館が現れます。

入場料金は大人300円ですが、この日は同資料館も「道みんの日」に賛同し無料開放していました。

なぜ、同地に仙台藩の陣屋跡があり、資料館があるのか?ここにも蝦夷地だった時代の知られざる歴史があるのです。毎週土日曜日はボランティアの解説を聞きながら回ることもできます。館内にいたのは筆者1人だったのでボランティアの方とマンツーマンで回ることができました。ここでは簡単に説明していきましょう。江戸時代、蝦夷地は基本的に松前藩が管理していました。しかし、19世紀後半になると、南下政策を取るロシア船が北海道近海や北方4島周辺に盛んに現れるようになりました。松前藩だけでは心もとないと感じた幕府は1840年代から奥羽諸藩に蝦夷地へ出兵させていました。そして1854年にペリー艦隊の来日から、幕府は開国しました。そしてロシアのさらなる南下に備え、仙台藩ほか庄内藩、秋田藩、南部藩、会津藩、津軽藩に蝦夷地を領地として分割して与え、警備を命じました。仙台藩はこの白老から、広く太平洋側を領地、警備ちとして指定され東端は現在の根室市まで、そして現在の国後、択捉など北方領土も仙台藩の領地だったのです。仙台藩は厚岸、根室、国後、択捉に出張陣屋を築き、その北方警備の中核地となったのが白老の元陣屋だったのです。

1856年から戊辰戦争までの1868年までの12年間にわたり、常時120名以上の藩士が駐屯していた本陣でした。資料館の奥に、元陣屋跡が整備されています。本陣などがある内曲輪(うちくるわ)は円状の土塁に囲まれています。外曲輪も合わせて6万6000㎡とかなり広い跡地なので、平地からはその全貌が知ることができません。

白老に陣屋を置く中心人物となった三芳監物が書いた陣屋絵図です。ウトカンベツ川を天然の堀として使っていることが分かります。三芳は、前述した松浦武四郎の友人であり、松浦武四郎の進言を受け、水が豊富な同地に陣屋を置いたことが近年の調査でわかってきました。藩士たちの陣屋の勤務は1年交代でした。仙台から白老まで約800㎞。移動は最短で20日、海のシケに見舞われた時は2か月もかかったそうです。陣屋での警備中に幕府が倒れるとは思ってもみなかった陣屋の藩士たちは、同地を第2の故郷とするために、陣屋の東の丘には塩竈神社、西の丘には愛宕神社を建立し、仙台藩の生活を導入していきました。地元のアイヌとの交流も活発化していきました。

こちらが塩竈神社です。昭和29年に台風で倒壊した赤松の木で建てられました。仙台藩がこの陣屋を建てた時、故郷の仙台を再現したいという思いで、約500本の赤松を植えたと伝えられています。その時の生き残りの赤松が1本だけ、内曲輪を出て、下級武士などが暮らす外曲輪にあるのです。

163年間、歴史の生き証人となった赤松。添え木や接ぎ木をして市民たちが大切に守っています。この赤松の近辺にも小さな赤松がありますが、この1本松の子供たちだそうです。

 

1868年幕府が倒れ陣屋の歴史も終焉

 

慶応4年(1868年)、戊辰戦争で幕府が倒れますが、遠い蝦夷地にある陣屋の藩士たちはその情報を知りませんでした。一夜で自分たちが賊軍と呼ばれていることを知らなかったのです。しかし、蝦夷地に進出した新政府軍は箱館(現函館市)から一ノ関藩を中心に陣屋への追討軍を出します。その情報を聞いた、陣屋の藩士たちは小樽までは徒歩で、小樽から海路で仙台へ戻ったのでした。陣屋の歴史結局12年間で戦闘は一度もありませんでしたが厳しい寒さなどで23人が命を落としました。

明治以降は一ノ関藩が統治していましたが、廃藩置県により、引き揚げ、その後は荒れ放題となっていたようです。一時、跡地周辺は畑となり大根が生産され戦争中には千歳などの軍隊に届けていたとか。明治39年に鬱蒼とした藪の中に倒壊していたお墓や土塁などが発見され、調べてみると陣屋跡であることがわかりました。戦後に本格的な整備が進められ、道内最大の陣屋跡として昭和41年には国の史跡に指定されました。

資料館も国から3億円の補助金を受け建てられたものです。この史跡が縁となり、昭和56年には仙台市と姉妹都市提携を結んでいます。仙台藩の伊達家はその後、白老ではなく、伊達市と当別町に入植し開拓しています。その時代、白老は水源は豊富なのですが、泥炭地で土質が良くなく、食物生産には向いていなかったようです。

 

まとめ

 

現在、北海道の歴史を調べている筆者も、このような陣屋があり、歴史を担っていたとは知りませんでした。「道みんの日」ということで、改めて過去から学ぶ、そして過去がなければ現在はない。そんな単純なことを心に刻む日となったと思います。駅からは少々遠いですが、爽やかな緑地公園のような場所なので、散策を楽しむことができると思いますよ。

▽スポット情報

仙台藩白老元陣屋資料館

住所:北海道白老郡白老町陣屋町681番地

TEL:0144-85-2666

URL:http://www.town.shiraoi.hokkaido.jp/docs/2013012200410/

 

牛の里

住所:北海道白老郡白老町栄町1丁目6-13

TEL:0144-82-5417

URL:http://ushinosato.com/

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