北海道アートの中心!北海道立近代美術館ほかを歩く

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札幌市の中心部にある北海道立近代美術館は北海道屈指のアート施設で、札幌や道内の芸術文化の中心地と言えます。近くには道立三岸好太郎美術館や北海道知事公館もあり、都会のど真ん中にあるにも関わらず緑も多く散策も楽しめます。美術や芸術にはまったく疎い筆者でも、満喫できるのか、訪れてみました。

 

創立40周年を迎え特別展が盛りだくさん

 

道立近代美術館は、札幌市中心部にほど近く、地下鉄東西線で大通公園からは2つ目の西18丁目駅で下車。徒歩5分で到着します。札幌に長いこと住んでいる筆者ですが、実は初の訪問です。

同美術館は道立の先駆けとして昭和52年(1977年)に設立された近代美術館です。北海道ゆかりの作家や画家の作品はもちろん、1920~30年代のフランス・パリで隆盛を極めたエコール・ド・パリを中心としたコレクションなどを中心に収蔵品は5000店を超えています。札幌市民には「近美(きんび)」の愛称で親しまれています。

美術館の前提には動く彫刻など7つの野外彫刻が点在。緑や池とともに楽しむことができます。1枚目の写真の螺旋状の立体彫刻は流政之『回転螺旋・1月』で、回転しながら太陽に反射して綺麗です。入場する前から視覚を楽しませてくれます。

同美術館の設計は北海道大学名誉教授であり建築家の太田実氏が担当しています。美術館内に入場すると広い踊り場があり、ショップのほか、ひと際目立つのが大きな男性のブロンズ彫刻です。エミール・アントワーヌ・ブールデル作『力』という作品で、正面から見ただけでは分からない仕掛けがあります。2階の踊り場から背中側を見下ろすとライオンの毛皮を被っているのが確認できます。

大原美術館展に平日でも大盛況

 

今年、同美術館は開館40周年を迎え、それを記念した特別展が目白押しです。筆者が訪れた時は「大原美術展Ⅱ~1920年代、巴里。そこは画家たちの憧れの地だった」が開催中でした。

平日にも関わらず、同特別展を目的に、お年寄りや女性を中心に美術館はかなり賑わっていました。入場料は特別展のみ1300円。常設展とのセットで1600円でした。大原美術館は日本に西洋美術を初めて紹介した、昭和6年(1930年)に岡山県倉敷市に開館した、日本でも高い人気と屈指の西洋美術収蔵品を誇る美術館です。道立近代美術館でのコレクション展開催は5年ぶりだとか。1920~30年代は大原美術館誕生となるコレクションが形作られた礎の時代で、とても重要です。同展示は、大原美術館建築に貢献した児島虎次郎の作品から始まり、ピカソの『鳥籠』、藤田嗣治の代表作『舞踏会の絵』、皆さんも良くご存じの棟方志功の『二菩薩釈迦十大弟子板画柵』など、日本や海外の同時代の貴重なコレクションを目の当たりにできました。さすがに特別展の写真撮影は禁止でお見せできません。しかし、美術の知識がなくとも「本物」の絵や陶器にはやはり引き付けられるオーラがあり、時代を超えた訴求力があります。絵画好きの方がまともに見ていたら5,6時間はかかるかも知れないと感じました。

 

北海道ゆかりの常設展も見どころあり

 

芸術家の情念に圧倒された特別展ですが、近代美術館のコレクション展(常設展)も40周年を記念して「近美コレクション第Ⅰ期名品選」として『そして彼らは伝説となった‐20世紀の芸術家たち』という企画展を行っていました。こちらはうれしいことに写真撮影が可能でした。

同美術館が20世紀、それも大正~昭和初期の作品にこだわるのは、その時が北海道の美術にとって大きな飛躍の時期だったからです。明治期に来道した近代美術の指導者の教育や啓蒙が浸透し、大正時代に北海道生まれの若い美術家たちが意欲的に活動を始めました。

写真左は北海道白老町出身・能勢真美の『青い鳥』です。ゴーギャンの影響が感じられるそうです。はるかなる異国・芸術の都パリに憧れ、その影響を北海道の画家にも見ることができます。

常設展の会場は広々としていて、開放感と静けさにあふれた心地よい空間です。ゆっくりと作品に浸ることができます。

こちらは絵画好きならご存知、前述した、藤田嗣治の『フランス娘』『猫』です。藤田は東京生まれで大正2年(1913年)に渡仏し、ピカソやモディリアーニなどと親交を結び、第1次大戦後、乳白色の地肌に線描する独特の画法で一躍、パリ画壇の寵児となりました。

すべてを紹介するには数が多すぎるので、個人的に面白いと思った絵を紹介します。

新収蔵品展のコーナーで、栗谷川健一というデザイナーの観光ポスターです。独学でグラフィックデザイナーの道を切り開き、戦後、膨大な数の北海道の観光ポスターや札幌オリンピックのポスターなどを制作し、国内外で高評価を得ています。これらは原画で、筆遣いや色使いには実際に印刷したものを完成品として意識していた同氏のこだわりが出ているそうです。

 

常設展はボランティアの方が1日3回(土、日曜は1回)、ガイドをしながら案内する「ギャラリーツアー」を行っているので、初心者の方には便利かもしれません。

また、札幌発の家具企業「ニトリ」が開館した、小樽芸術村とのコラボ企画があり、エミール・ガレを中心としたガラス芸術作品展も展開されています。アール・デコやアール・ヌーボーなど時代の変遷で様式の変化は感じますが、筆者はよくわかりません。ですが、素晴らしいものだということは何となくわかります。

特別展と企画展をざっと回って2時間ほどでしょうか。館内を回って疲れたり、お腹が減ったら、レストラン「ボーサール」があり、道産素材を使ったグルメが楽しめます。

 

知事公館内にある道立三岸好太郎美術館へ

 

次は、近代美術館の道路を挟んで東側にある道立三岸好太郎美術館へ向かいます。道立美術館と、緑にかこまれた知事公館と三岸美術館の3つを合わせて「アートフルガーデン」と呼ばれています。

知事公館の緑に囲まれた構内を東に歩き約5分で三岸好太郎美術館が現れます。小川もあり子供たちが遊んでいて、野鳥の姿も目立ちます。

三岸好太郎美術館の入館料は510円。道立近代美術館の常設展とのセットでは820円と割安です。

同美術館は札幌出身の画家・三岸好太郎(1903~1934年)の遺族が220点の遺作を北海道に寄贈したことにより、昭和42年(1967年)に設立されました。今年で50周年を迎え、筆者が訪れた時は、こちらも小樽芸術村とのコラボ企画展「絵画コレクション‐三岸好太郎とその時代」が開催中でした。

三岸はわずか31歳で夭逝しましたが、短い画壇生活で目まぐるしく作風を変え、その新進気鋭の才能が注目されていました。

今回の企画展では50年ぶりに世に出た、岸田劉生の『黒き土の上に立てる女』が展示されていますが、三岸も岸田の影響を受けています。写真は春陽会第1回展の入選作『檸檬を持てる女』(1923年)ですが、構図などが有名な『麗子像』など岸田の影響を受けているのが何となく分かります。その影響から脱却したのが昭和3年(1928年)から始まる「道化」シリーズだったそうです。

明らかに画風が変化したのが見て取れます。棟方志功の作品とともに展示されていた『男二人』も、似たような同じ画風ながら男性の力強さとエロティシズムが伝わってきます。

さらに晩年の作品で印象に残ったのは『オーケストラ』でした。

暗い闇からスポットに照らし出されたように大きな楕円が浮かび上がり、指揮者や楽団が熱演を繰り広げている光景です。下塗りの黒絵具に白絵具を塗り、そこに金属棒や釘などで引っ掻いて、黒地を出し表現しています。見ようによっては、ただの落書きに見えるかもしれませんが、このようなアバンギャルドな表現は常人には考えもつかないでしょう。アンディ・ウォーホルなどの20世紀後半のポップアートに通じるものも感じました。

 

知事公館の庭園に癒される

 

最後は再び知事公館の庭園へ。知事公館昭和11年(1936年)、三井合名会社の別邸として建築され、昭和28年(1953年)に北海道が所有して以来、様々な会議や行事に使用されている洋館です。1988年(昭和63年)には「さっぽろ・ふるさと文化百選」に選ばれ、平成11年(1999年)には登録有形文化財にも指定されています。

こちらが知事公館と裏庭広場です。公館内も見学可能です。庭園ともに無料です。構内には1000年以上前の竪穴式住居跡の史跡が残り、また、北海道ゆかりの彫刻家の作品も展示しています。広い敷地で筆者が訪れた時も子供たちや家族連れでにぎわっていました。

こちらは美唄市出身の彫刻家・安田侃氏の『意心帰』という作品です。久々にアートとそして同時に緑にも癒され、心地よい疲れを感じながら筆者は家路に着きました。

 

まとめ

 

美術にはまったく疎い筆者でしたが、結論から言いますと、十分に楽しめました。2つの近代美術館があり、知事公館という文化遺産も楽しめ、さらに昔の原生林の面影を残しながら開放感あふれる知事公館の庭園や森林。すでにカッコウが鳴き初めていて、同所が札幌の都会のど真ん中にいることを忘れさせてくれました。札幌市民ならもちろん、観光の方も訪れてみる価値があると思います。特に近代美術館は40周年記念なので、美術ファンには注目の特別展がこれからも予定されていますよ。

▽スポット情報

北海道立近代美術館

住所:北海道札幌市中央区北1条西17丁目

TEL:011-644-6881

URL:http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/knb/

 

北海道立三岸好太郎美術館

住所:北海道札幌市中央区北2条西15丁目

TEL:011-644-8901

URL:http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/mkb/

 

知事公館

住所:北海道札幌市北1条西16丁目

TEL:011-611-4211

URL:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/tsh/koukan/gkoukan.htm

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