JR函館駅からほど近い、函館西部地区は通称「ベイエリア」と呼ばれ、観光都市・函館でも屈指の観光スポットです。その中心は「金森赤レンガ倉庫」。同倉庫を中心とするベイエリアは異国情緒にあふれた景色で観光客の目を楽しませています。今回は金森倉庫を中心に、まさにベイエリア、函館西部地区のウォーターフロントの楽しみ方を函館出身の筆者が紹介します!
①:赤レンガの海鮮倉庫を観光施設化
市民からは「金森倉庫」として親しまれている「金森赤レンガ倉庫」は、宿泊先が湯の川温泉からは、市電で約25分の「十字街」電停下車、徒歩3分のアクセス。函館観光のメッカといえる西部地区の中心です。三角屋根の赤レンガ様式の倉庫群はまさに明治~大正の北海道開拓時代を象徴するもので、かつては北海道の中心地だった函館の繁栄を今に伝える建築物です。
同倉庫は、明治20年(1887年)、金森洋物店を開業した初代・渡邉熊四郎が倉庫業を始めるために建築しました。初代の建物は明治40年の大火で焼失。現在のものは明治42年に再建されたもので、築100年を優に超えています。
現役時代は海産物の倉庫として活用されましたが、昭和後期には、北洋漁業の衰退により、倉庫としての価値を失いつつありましたが、風格ある和赤レンガの威容が、歴史的建築物として市民ならず、観光客にも注目され、映画やCM撮影のロケにも使用されるようになりました。そこで市民の協力などにより、同倉庫をリノベーションし、昭和63年(1988年)4月、観光施設として生まれ変わったのです。金森倉庫の手前にある「BAYはこだて」の倉庫は、日本郵船所有の建築物でしたが、平成14年、同社の函館撤退を機に譲り受け、「金森赤レンガ倉庫」に加わりました。「BAYはこだて」の手前にある七財橋からの倉庫群の景色が絶好の撮影スポットとなっています。
②:函館港を巡るクルージングが楽しい
倉庫内は各棟にイベントホールやビアホール、その他数多くのテナントが入っていてグルメ、買い物、すべてここで済ますことができます。買い物情報などは、多くの観光サイトなどに紹介されているので、詳細は説明しません。思い思いに楽しんでいただければと思います。筆者の個人的おススメは、赤レンガ倉庫の目の前にある、波止場から出航している各クルーズです。
波止場、運河には3つの会社の船が運航しているのですが、一番大きな船が写真の「ブルームーン」。199tの双胴船です。今回はこの船に搭乗してみました。毎年3月から12月下旬まで運行しています。乗り場は倉庫の目の前なのですぐにわかります。30分間のクルージングで大人1800円、小学生900円、園児350円となっています。
船内はガラス張りで景色は良いですが、やはり天気が良ければ、デッキに上って下さい。函館の潮風が爽やかで夏場は涼を感じることもできますよ!
同船は函館港内を1周します。海から観る函館山や函館市街の光景は、いつも見ているものとは違い、より開放感があふれたもので、ビールでも飲みながらのクルージングなら気分は上々です!船底が二つに分かれていて、揺れにくい構造の船なので、お子さんも楽しめると思います。
個人的には30分はあっという間なので、もう少し時間が長ければという感想です。なので、カップルには60分のナイトクルーズ(大人2800円)がベストかも。海上から函館の夜景を眺めることもできロマンチックこのうえないはず。また、このクルーズは函館山の裏側まで船が移動します。夜景鑑賞や展望台からでは知ることができない、函館山の断崖絶壁、ワイルドな一面を知ることもできますよ!
このほかに、金森ベイクルーズ、マリンクルーズが運航しています。金森ベイクルーズは、「BAY函館」の1号館、2号館の間に通っている明治15年建築の運河が乗り場となっています。マリンクルーズはブルームーンのすぐ隣が乗り場となっています。
どちらも小さなクルーザーなので、救命胴衣を着用しての乗船となります。景色と共にスピード感や迫力を味わいたいなら、こちらを選択するのもアリです。
③:函館の名物B級グルメ「ラッキーピエロ」を味わう
ここでグルメの紹介をひとつ。金森倉庫の向かい、「ブルームーン」乗り場に隣接しているのが「ラッキーピエロ ベイエリア本店」。地元民に「ラッピ」の呼び名で親しまれているご当地ハンバーガーショップです。
函館の定番となったB級グルメで「日経PLUS1」のご当地バーガーランキング1位にも輝いています。「ラッピ」はこれだけ有名となっても、道南地区以外には出店せずに、「ご当地」にこだわっているところが、より希少価値を高めているのでしょう。
「ラッピ」を一躍スターダムにのし上げたのは「チャイニーズチキンバーガー」です。大きいバンズの中にレタスと、甘辛いタレで味付けした、大きめのザンギ(唐揚げ)が3つ入っています。味はもちろん、ボリューム満点でひとつ食べるとお腹いっぱいになります。ラッピが開業したのは約30年前だと記憶していますが、食べ盛りの中高生や若者には大うけだったと思います。
現在はハンバーガーだけではなく、自家製カレーライスや焼きそば、お酒のおつまみまで揃っていて、ビールとともに、居酒屋代わりに使うこともできます。
こちらは生ビールと「イカカツ」のセットです。メンチカツのようですが、中身は函館名物の「イカ」のミンチがギッシリ詰まっています。
④:港と夜景が美しい穴場の「西埠頭」
お次は、ウォーターフロントの穴場をご紹介します。個人的なオススメで恐縮ですが、函館「西埠頭」です。金森赤レンガ倉庫群から、「函館どつく」方面へ歩き、緑の島を越えた場所にある巨大客船も停泊できる大きな埠頭です。漁港やヨットハーバーもあり、開放感あふれた場所です。桐谷美鈴主演の映画「スノーフレーク」のロケ地にもなっています。
特に観光地化はされておらず、昼間は釣り人でにぎわいます。しかし、ここからは眺める夕陽や函館の夜景は一見の価値があります。お隣の造船所「函館どっく」のライトアップと対岸のネオンの広がりも綺麗です。海岸に光が反射するのも美しさを増幅させます。
港に浮かぶ摩周丸が印象的です。逆方向の函館山方面の眺めも味があります。
函館山や坂上から見下ろす景色と比較すると平面的ですが、人も少なく、ゆっくり景観を楽しめる穴場だと思います。ただし、西埠頭はあくまで港なので、最低限のマナーは守って下さい。また、西埠頭そばには古い赤レンガや石造りの倉庫群があり、こちらも現役で使われているようで、情緒あふれる景色を味わえます。
⑤:国指定重要文化財の「TACHIKAWA CAFÉ」
函館ベイエリアは歴史的建造物を再利用したカフェが数多くあり、古民家カフェ激戦区でもあります。このウォーターフロントを歩いていても散見されます。「西埠頭」の近くには、
特に知られているのは「TACHIKAWA CAFÉ」でしょうか。市民には「太刀川家」として親しまれている建物です。
歴史的建造物を利用したカフェです。明治34年建築で、米穀商「太刀川家」の店舗兼住宅をリノベーションし、文化財をただ見せるだけでなく体感してもらおうと7年前からカフェとなりました。国指定重要文化財の蔵造りは重厚感あふれ、なおかつ落ち着きがあります。
壁の木材は欅を使用し、しっかりとした漆喰で屋根にはカツラの巨大な一本梁が通されていて、時代を感じる質実剛健な造りです。ここでは紅茶と洋梨のタルトを頂きました。
歴史的な落ち着いた空間でひと息つくには最適のカフェかと思います。また、同カフェから、100mほど金森赤レンガ倉庫方面に戻ると、外観が水色と白に統一され、お洒落でポップな3階建ての木造建築が目に入ります。地元女子にも人気の「ROMANTiCO ROMANTiCA」というカフェです。通称「ロマロマ」と呼ばれています。
大正5年建築の日魯漁業の前身となる、旧堤商会の3階建て社屋をリノベーションしたもの。函館らしい和洋折衷の建築物です。
店内もオレンジ色とクリーム色が基調の可愛い雰囲気です。ここはボリュームたっぷりのランチセットやオリジナルスイーツが人気で、ランチセットはパスタセットにスイーツ、飲み物がついて1400円。量の多さを考えると妥当な値段だと思います。女子同士やカップルには良い雰囲気のカフェだと思います。
さて、最後にまた金森赤レンガ倉庫に戻ります。夜の倉庫群のライトアップも美しいので、ぜひ鑑賞してみて下さい。
倉庫群からちょっとはずれて、旧桟橋からの景色も非常に綺麗です。前述した、クルーズのブルームーンもライトが装飾されています。
昼間は散策したりクルージングしたり函館のベイエリアを堪能、そして夜は、夜景にしっぽりと浸る。ベイエリアのウォーターフロントは昼も夜もきっと満足できるスポットだと思います。
まとめ
今回紹介したのはウォーターフロントのほんの一部。函館のベイエリアは函館観光の中心地なので、ただ海沿いを歩いたりするだけで、様々な楽しみ方ができます。今回のように船に乗ってみたり、普通は行かないスポットで新しい発見をしてみたり、変化をつけることで、より楽しめるかもしれません。函館はそんなあなたも懐深く迎えてくれるはずです。
スポット情報
金森赤レンガ倉庫
住所:北海道函館市豊川町11-5、末広町13-9、14-12
TEL:0138-23-0350、27-6800(BAYはこだて)
URL:http://www.hakodate-kanemori.com/
観光遊覧船 ブルームーン
住所:北海道函館市末広町14-17
TEL:0138-26-6161(観光遊覧船乗り場)
URL:http://www.hakodate-factory.com/bluemoon/
ラッキーピエロ ベイエリア本店
住所:北海道函館市末広町23-18
函館西埠頭
北海道函館市弁天町31西埠頭
TACHIKAWA CAFÉ
住所:北海道函館市弁天町15-15
TEL:0138-22-0340
ROMANTiCO ROMANTiCA
住所:北海道函館市弁天町15-12
TEL:0138-23-6266
URL:http://www.romanticoromantica.com/
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