落書き?現代アート?ローマの天井のない美術館、ストリートアートを見に行こう!

ローマ

世界遺産の街ローマは、もったいないことに、いたるところに落書きがあふれています。何年も前から、問題になっていて、罰金などもきびしく決められているにも関わらず、落書きは後を絶ちません。

最近では、落書きではないグラフィックアートを、街の中に描くことによって、ストリートアートを盛り上げる試みが、ローマ市によって行われています。年中無休で、入場無料の一風変わった青空美術館、ローマのストリートアートをご紹介します。

落書きの現行犯への厳しい罰、サッカーの試合の観戦禁止

 

街全体が世界遺産に指定されているローマの旧市街地で、いたるところに目につく落書き。地下鉄の車体一面に描かれた落書きをみて、ニューヨークやロサンジェルスから来たアメリカ人だって驚くほどの有様です。アメリカでだって、今はこんな落書きがないというのに、ローマの落書きは後を絶ちません。

こんな状態ですが、実はローマにも落書きをすれば、重い罪が待っています。

  1. 完全に消して元の状態に戻すこと。
  2. 300~1,000ユーロの罰金と1~6カ月の禁固刑。歴史的価値、または芸術的価値の高い文化財の場合は、1,000~3,000ユーロの罰金と3か月~1年の禁固。再犯の場合は最高10,000ユーロの罰金と、最高2年の禁固刑。
  3. 1年間は、サッカーの試合など人気の場所へ入場禁止。

実際に、落書きの現行犯を見つけることはかなり難しい、というのが大方の意見です。

 

落書きを消すボランティア団体の地道な活動

 

壁にスプレーで落書きを繰り返す人がいるかと思えば、黙々と消していくボランティア団体もあります。ROMA RETAKE(ローマ・リテイク)という団体が中心となって活動しています。週末などを利用して、なかなか落ちないスプレーの落書きをボランティアで消してくれる人たちがいるのです。落書きを消すための道具なども、全て自費で賄います。

自分たちの街ローマに誇りを持っていて、せっかくの歴史的な街並みを大切にしたい。そして、次世代に残したい、という思いを持った人々が地道に活動を続けています。

消しても消しても、現れる落書き。そしたら、また消す。果てしない戦いを続けてくれています。現在は、学校や企業に広める活動もしています。

Retake Roma
Retake Roma è un movimento, nonché ONLUS, che parte dai cittadini, no-profit impegnato nella lotta contro il degrado, per la valorizzazione dei beni comuni e pe...

 

道路をキャンパスにするのはイタリアの伝統芸術?マドンナーロ

 

イタリアには、マドンナーロ(MADONNARO)というストリートアートの伝統があります。中世のころには、教会などでお祭りがあると、聖母マリアを意味するマドンナという言葉に由来するマドンナーロと呼ばれる放浪の画家がやってきて、路上に聖母マリアなど宗教的な絵を描き、道行く人から大道芸のようにお金をもらう風習がありました。

現在でもイタリア各地にマドンナーロ協会があって、伝統芸能の復活に努めています。最も大きなイベントは、毎年、マントヴァで夏におこなわれるマドンナーロコンクールです。この大会の最高賞にあたるマドンナーロ・マエストロには、2001年と2002年、大阪府出身の斎藤智照さんが、選ばれています。

ローマ市が頭を悩ませているスプレーで描かれる落書きと違って、マドンナーロは、チョークやクレヨンという伝統的な素朴な画材を使って、本格的な絵画を描くところが特徴です。雨に当たったり、上を誰かが歩くと、徐々に消えていってしまうはかない芸術です。

ローマではコルソ通りにあるサンティ・アンブロージョ・エ・カルロ教会(BASILICA DI SS. AMBROGIO E CARLO、VIA DEL CORSO 440)の前で、ストリートダンスを踊る大道芸の近くで、道路に描くマドンナーリの姿を見ることができます。

ローマのストリートアートは天井のない年中無休の美術館

 

街の落書きに頭を悩ませ続けていたローマ市ですが、この悩みを逆手にとって、2015年から市協賛で始めたのが、公認ストリートアート。近年、自然発生的に街の小道などに描かれ始めたストリートアート。落書きではないグラフィックアートは、街の表情を変えたと評判になったのがきっかけです。

URBAN MUSEO(アーバン・ムセオ)と名付けられた都市型美術館として、ローマ市民だけではなく、観光客にも楽しんでもらおうという試み。ローマ市の15地区のうちの13地区、テスタッチョのような伝統的な地区から、ローマの近郊にあたるところまで、幅広く参加しているのが特徴です。

世界中から集まった120人のアーティストによって、150の通りに、約330以上のアート作品が描かれています。

 

新しい景観が生まれた!ストリートアートで地区を活性化。

 

特に、ローマの歴史的地区以外の公団の壁などに描かれた、意表を突く巨大なアートは、地区の景観を全く新しいものに造り変えました。そして、ローマ市による都市型美術館の促進活動によって、今まで住人以外は来る人もいない街はずれにも、たくさんの人々が見にやってくる、という効果をもたらしました。町おこしの一環のような役割を果たすことに成功したのです。

ストリートアートの最先端の都市であるロンドン、パリ、サン・パオロに並ぶような街づくりに挑戦を続けていくそうです。

また、斬新なストリートアートが描かれている場所には、無意味な落書きをする人がいないのも嬉しいところです。

 

お店のシャッターがキャンパスに!

 

ローマ市のストリートアートとは別に、最近注目を浴びているのがシャッターアート。お店のシャッターをキャンバスに仕立てて、お店のイメージをショーウィンドウのように描くアーティストがいます。

防犯の意味からも、閉店時には無地のシャッターを閉める習慣があるローマのお店は、シャッターへの無意味な落書きに頭を悩ませていました。趣向を凝らした楽しいグラフィックアートが描かれていると、そのうえにスプレーでの落書きをする人は、ほとんどいません。そのうえ、お店の閉店時にも、商店街が楽しい景観に生まれ変わりました。

2000年以上の長い歴史を誇るローマの街の中へ、現代のグラフィックアートを導入することには、賛否両論意見が分かれました。ただ、長年、スプレーを吹き付けただけの無意味な落書きに悩まされてきたくらいなのですから、新しい芸術によって、古代と現代が共存する試みに対して、評価は上々です。

ローマ市内のツーリストインフォメーションには、ストリートアートの地図が用意されています。足を運んでみてはいかがでしょうか?

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