北海道のど真ん中・上川町と層雲峡の絶景を堪能!

北海道

北海道の中央部やや北にある大雪山国立公園北海道最高峰の旭岳(2291m)を中心とした20連峰が連なり23万㎡という日本最大の規模を誇る国立公園です。その玄関口となるのが北海道でも有数の観光地・層雲峡であり、層雲峡がある街が上川町です。今回は層雲峡を中心とした上川町の様子をレポートします。

 

人口4000人弱の町に魅力いっぱい

 

上川町は札幌からは北東へ180㎞、道北の主要都市・旭川からは東へ60㎞の距離にある大雪山系の麓にある人口約3800人の小さな町です。札幌からはJRの特急オホーツクで上川駅まで2時間20分。車では高速道央自動車道経由で約3時間ほどです。

上川町は、女子ジャンプの世界チャンピオンである高梨沙羅選手の出身地です。標高は約330mの高原の町で主要産業は農業です。上川地方は米を中心とした北海道、いや日本有数の穀倉地帯だと思います。上川町自身は、もち米に定評があり、うるち米(食用 米)は生産していません。また、近年、野菜の評価が上がっていて、「大雪高原野菜」として、築地や関西などに送られています。逆に、地元町民が食べられない現象も起こっているとか。

 

ラーメン日本一の町?上川町

 

そして、上川町は「ラーメン日本一の町」として売り出していて、昭和61年(1986年)から「上川町ラーメン日本一の会」をラーメン店などで結成。現在ラーメン店が10店以上(加盟店以外も含む)あり、人口比のラーメン店数が日本一だとか。作るラーメンにはある程度決まりがあり、上川町を流れる石狩川の伏流水を使用し、地元の製麺やの麺を使うと定められています。味はその店それぞれで、味噌、醤油など様々なようです。

上川町に数あるラーメン店の中で有名なのは「あさひ 総本店」です。土、日曜日は観光客で並ぶこともあるとか。こちらは特に味噌ラーメンが有名で、筆者は味噌メンマラーメン(930円)を注文しました。

極太の自家製メンマが丼一面に載っています。このメンマの柔らかさとシコシコ感が絶妙です。味噌ラーメンですが、麺は札幌ラーメンと比べると、低加水の細麺で、やはり旭川ラーメンに近い印象です。またスープの味も、アッサリしていながら味曽のコクもあり、見た目以上に食べやすいラーメンでした。

 

北海道12番目の清酒蔵が誕生

 

上川町で最近のトピックスは、北海道で12番目の日本酒蔵が誕生したこと。三重県の休眠蔵から酒造免許を移転し、本州企業の協賛を受け、4月に竣工しました。その名前は「上川大雪酒造」です。国道39号線沿いにあり、JR上川駅からも徒歩20分、車で4,5分とアクセスも良いです。2階のバルコニーからは酒造りを覗くこともできます。

まるで、外観はまるでコテージのようなお洒落な造り日本酒による地方創生を謳い、全量北海道産の酒米を使用する純米酒の蔵となります。北海道では指折りの腕利き杜氏を招へいし、5月下旬から試験醸造を初めています。杜氏や社員のほかに、町役場や町民有志の方たちが共に町おこしのために、酒造りを手伝っています。蔵は小さいですが、土地は広いので、いずれは道の駅のような観光客が集まるスポットにする計画もあるとか。早ければ7月下旬には上川町や北海道で同酒造のお酒が飲めるかも知れません。「上川町は水が良い」と町民の方は皆、自慢します。大雪山からの雪解け水の湧水を源流としている軟水は確かに水道水ですら美味しいと感じました。

 

雨の層雲峡で大雪連峰の姿が見えず

 

そして、上川町最大の観光スポットが層雲峡です。層雲峡は上川町の中心街からさらに東へ22㎞先にあります。上川町駅から道北バスに乗り約30分。終点が層雲峡の温泉街になります。

1954年から1960年にかけて温泉郷として整備され、17件の宿やホテルがあり、道北最大の温泉郷となっています。泉質は硫黄泉で筆者も1泊して入浴しましたが、ぬる目で、トロンとした軟らかい泉質で長い時間、ゆっくりと旅の疲れを癒すことができる泉質だと感じました。しかし、層雲峡温泉に1泊した翌日は生憎の雨模様。

宿の目の前は黒岳ロープウェイ(1984m)があり、筆者も登ろうと思っていたのですが、「この天候なら雲に隠れて下の景色は見えない」と地元の方に言われたので、涙を呑んで断念しました。大雪連峰の麓に訪れながら、悪天候でその雄姿を見ることがほとんどできなかったのが残念でした。

 

スケールの大きな断崖絶壁や滝が連なる絶景

 

層雲峡は石狩川沿いに24㎞に渡って断崖絶壁が続く峡谷です。3万年前の大雪山の大噴火により堆積した溶岩が固まり、石狩川の流れにより浸食されてできたものです。名前はアイヌ語で「ソウウンベツ(滝の多い川の意味)」と呼ばれていたことに由来しています。

この断崖絶壁のすべてを見るのは車がベストですが、筆者は徒歩、さらに雨が降っているので、ピンポイントで有名スポットに向かいました。ちなみに、散策する自転車の貸し出しも行っています。

国道と峡谷の間には北海道最大の河川、石狩川が流れています。石狩川の源流は大雪山の雪解け水なのです。しかし、層雲峡を歩いていると改めて感じたのは、台風の爪痕でした。昨年、8月下旬から9月初旬にかけて、北海道では極めて異例な、2週間に4つの台風が襲来。北海道全域、特に十勝清水、富良野、美瑛、上川など十勝、上川地方の内陸部が壊滅的な被害を受けました。

今も、橋や道路が崩壊した箇所が生々しく残っています。川の中州にも流木の瓦礫の光景が至る所に観られます。自然の猛威をまざまざと感じた瞬間でした。とはいえ、それでも、国道の両脇に広がる断崖絶壁の絶景ぶりは目を見張ります。

雨模様で奇岩や巨岩に雲が垂れ込めている光景は、日本というより、中国四川省の峡谷の風景に似たような雰囲気を醸し出しています。

 

層雲峡のメイン「流星の滝」と「銀河の滝」

 

層雲峡の温泉街から約3㎞歩いた場所に、層雲峡の一番の見どころ「流星の滝」「銀河の滝」が岩間から見事な瀑布を見せていました。断崖を流れるいくつもの滝がありますが、この2つが最も美しいと評価されています。2つの滝の前には駐車場と売店、トイレなどが整備されています。

こちらが流星の滝。約90mの断崖から一気に流れ落ちていきます。この豪快さから男滝とも呼ばれます。

拡大した写真です。太い1本の瀑布となって流れ落ちる様は迫力満点。ちょうど雪解け水で水量も増しているので、この6月の滝は一番の見どころだとか。

こちらは流星の滝の少し上流にある「銀河の滝」です。120mの断崖から銀の糸を引いて流れ落ちる優雅な滝で、こちらは女滝と呼ばれ、2つ合わせて夫婦滝と言われています。大雪山系の烏帽子岳と赤岳を源流として、石狩川に落下しています。また、この滝を背にして、急斜面を登ると、両方の滝を一度に観ることができる「双瀑台」があります。

しかし、入り口にはこのようなヒグマとの遭遇に注意を呼びかける看板が。最近、北海道だけではなく、本州でも熊とのトラブルが相次いでいるので、恐怖を感じ、躊躇しましたが、売店の方に聞くと「絶対出ないとは言えませんが、今までは(ヒグマとの遭遇を)聞いたことがない」と言われたので、意を決して登りました。

鬱蒼とした原始林を登ること約30分。ちなみに、この日は非常に冷えて、摂氏4,5度しかなかったですが、雨がひどくなり、足を滑らしながらの登山で、汗だくになり「双瀑台」に着いた時は、来た甲斐があると思う景色に出会えました。

両方の滝の間の岩は「不動岩」と呼ばれています。その断崖絶壁の間を縫う様な幽玄で荘厳な眺めは圧巻でした。晴れていれば、岩や滝の向こうに黒岳を眺めることもできるようです。この2つは「日本の滝百選」にも選ばれています。雨にたたられ、計画通りにいかなかった上川・層雲峡行脚でしたが、この絶景を見ただけである程度満足できました。

 

大雪国立山国立公園の風景写真館もあり

 

筆者も写真撮影も行っているので、層雲峡の温泉街に戻った後に寄ったのは、「層雲峡・大雪山写真ミュージアム」です。黒岳ロープウェイ横の坂道を少し上った所にあります。

2010年に廃校になった層雲峡小学校をリノベーションした写真館で、函館出身の山岳写真家で特に大雪山の魅力に取りつかれた、市根井孝悦さんの素晴らしい大雪山の風景写真が圧巻です。体育館をそのまま利用し、四季ごとに区切って展示されています。

このような写真を撮るにはまず、高度な山登りの技術や、冬の命がけのビバークなど、山への愛、執念が必要です。生臭な筆者には到底撮れない写真だと圧倒され、感動も覚えました。入館料は大人600円。写真好きな方は訪れてみることをオススメします。

 

まとめ

 

限られた時間での、上川町と層雲峡の旅でしたが1泊2日では、寒さと悪天候にも悩まされ、すべてを回りきることはできませんでした。大雪山の山並みも雲間からわずかしか眺めることができず、堪能できたとは言えません。それでも、層雲峡の幽玄さ、荘厳さは十分に感じることができました。この上川地方は富良野や美瑛が人気ですが、層雲峡も近いので、ぜひ訪れてほしいと感じました。北海道の自然や奥深さを感じることができると思います。

▽スポット情報

あさひ 総本店

北海道上川郡上川町南町135番地

TEL:01658-2-1738

 

上川大雪酒造

北海道上川郡上川町旭町25-1

URL:http://kamikawa-taisetsu.co.jp/

 

層雲峡・大雪山写真ミュージアム

北海道上川郡上川町字層雲峡(旧層雲峡小学校跡)

TEL:01658-5-3415

URL:http://museum.sounkyo-daisetsu.jp/

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