いわみざわ公園「ローズフェスタ」で満開のバラを堪能!

北海道

北海道の5月から7月にかけては、野山や栽培種も、長い冬を越え、一気に花々が咲き乱れる季節です。北海道の5月は桜、6月はライラック、7月はラベンダーなど、その月を代表する花がありますが、その陰に隠れがちですが、岩見沢市の市花である、バラも6月下旬から7月にかけ一気に開花し人々の目を楽しませてくれます。今回は同市のいわみざわ公園で行われていた「いわみざわローズフェスタ2017」を訪れてみました。

 

炭鉱と鉄道で発展した岩見沢市

岩見沢市は札幌から東北東へ約40キロの空知地方にある人口約8万3000人の町です。

JR特急では25分、普通列車で約40分ほどの町です。明治17年に鳥取県や山口県の士族223戸が同地に入植しし開墾にあたり、同年10月には岩見澤村となりました。同地はすでに開通していた手宮線(幌内~小樽・手宮間)や明治24年に岩見沢~歌志内間、翌25年に岩見沢~輪西(室蘭)の鉄道も開通され、炭鉱と鉄道の要衝の地として栄えました。

JR岩見沢駅ホームには農業用馬の木彫り彫刻と開拓当時に使用されていた本物の馬橇(そり)が展示されています。岩見沢市は、現在は帯広市のみで開催されているばんえい競馬も平成18年(2006年)まで開催されていました。筆者も一時期は札幌から通って楽しんでいました。

岩見沢駅はかつての昭和の面影を残していた駅舎が平成12年(2000年)12月に漏電による火災で全焼。しばらくはプレハブで営業し、平成19年(2007年)、公募により赤レンガを利用した多目的な複合駅舎に生まれ変わりました。

平成21年(2009年)、グッドデザイン大賞も受賞しています。今年、改修10周年を迎えています。

 

昭和43年に市の花にバラを認定

岩見沢市は開基85年を記念し市木、市花、市鳥を有識者とともに選定し、市の花としてはコブシとともにバラが選ばれました。市のそこかしこにバラが咲いているのですが、最も有名なのは、「いわみざわ公園」にある『バラ園』です。いわみざわ公園は岩見沢市南東部の丘陵にある総合公園。183ha(ヘクタール)という広大な敷地に、遊園地「グリーンランド」、スキー場、岩見沢郷土科学館、パークゴルフ場、野外音楽堂、レストラン、カフェ、売店、そしてバラ園があります。岩見沢駅からはバスで約20分ほどです。

北海道最多の630品種が咲き誇る

バラ園は、約4㌶という広さの中に、北海道内では最多となる約630品種が咲き誇っています。毎年、開花の最盛期となる6月下旬~7月初旬に「ローズフェスタ」というイベントを開催していて、筆者もその期間中に訪れました。

広い園内はまさに満開、様々なバラが咲き乱れていました。今回のフェスタのテーマは「豪花」。まさに豪快に華やかに咲いています。スタッフの方によると、6月下旬までは涼しかったので2分咲きくらいでしたが、7月に入り、北海道も急に暑くなったため、一気に開花したのだとか。訪れたのは7月7日でしたが同日の岩見沢の気温は何と32℃。北海道にしては、かなり蒸し暑くなったため、この取材は楽しみながらも同時に苦行となりました。暑さに弱い筆者はこの1日で夏バテとなってしまいました。本州の方は本当に大変だと思い知らされます。その後も北海道は関東や関西並みの記録的な猛暑が続きました、この日のバラもあまりの暑さに少々しおれかけたり、クタッとなっていたバラが多かったように思います。

バラ園の入り口からは「ハーディネスゾーン」の指数が高いバラが続きます。「ハーディネスゾーン」とは、米国農務省が採用している耐寒性の指標です。気温区分が1~11のゾーン(Z)まで別れていて、数字が低いほど耐寒性に優れているとか。岩見沢は北海道有数の豪雪地ですが、積雪の保温効果もあるためゾーンはZ5となっています。筆者は花やバラには詳しくないので、個人的に気になったバラなどを紹介していきます。上記の写真は「エグランタイン(=マサ子)」です。薄いピンクが上品で大輪の花を咲かせています。イングリッシュ・ローズの中では最も美しい部類のバラです。

ちなみに、バラを紹介しているパネルの右上にあるバラを加えたメガネのおじさんマークは、香りが華やかだったり、特徴的なバラのパネルに張られていますよ。エグランタインの匂いも甘やかで、花びらの色のような桃のような香りも感じました。

写真はカナダ産の「モーデンルビー」。赤に近い濃いピンクで秋にはより濃いピンク色になります。豪華な大房が印象的で、耐病、耐寒性にも優れ、北海道で栽培しやすいバラです。

こちらは日本産の「万葉」です。波打ったような花びらが特徴的ですね。マンゴーのような黄味がかったオレンジ色が美しく、その雰囲気は牡丹のような和風の雰囲気も醸しだしています。こちらは香りをほとんど感じませんでした。

咲き乱れているのはベルギー産の「ギルランドダモール」。1993年に作出された比較的新しい品種ですが、花の名前を訳すと「愛の首飾り」という味だとか。小さく可憐な花でバラ特有のトゲがありません。「綺麗なバラにはトゲがある」と昔言われていましたが、こちらはチャーミングで、名前通りの花でした。

こちらはアメリカ産の「ミスター リンカーン」。まさに赤いバラの象徴的な品種という印象を受けました。第16代アメリカ合衆国大統領の名を冠しています。「パパ・メイアン」「オクラホマ」と並ぶ黒赤バラの名花とされています。非常に強健で香りマークもあるようにかなり強烈なダマスク香りを感じます。まさに蠱惑的な匂いです。

その隣には前述の「パパメイアン」も咲いていました。リンカーンと同じ交配親を持つためよく似ています。こちらは1988年にバラの殿堂入りを果たしています。これらは、姿形とも強い主張を持つセクシーな女性の香りを連想してしまいます。花壇用品種としてもお勧めのようです。

 

殿堂入りのバラもある「ローズガーデン」

入り口からバラの匂いとカラフルさに幻惑されながら撮影した後は、同バラ園のメインともなる「整形式ローズガーデン」に入ります。

円形のガーデンに数多く、そして多種類のバラが咲いています。注目は世界バラ会議で認定される「殿堂」入りしている各種のバラでしょう。これらを中心に紹介していきます。

世界で最も愛されているバラのひとつ『アイスバーグ』です。1983年のドイツ・バーデンバーデン大会で受賞。また耐寒、強健性に優れた品種に送られるADR賞を19955年に受賞するなど、数々の賞を受賞しています。ドイツ語やフランス語で「白雪姫」「雪の妖精」という別名もあり、ピュアな白色が爽やかな印象を残すバラですね。

黄色から薄いピンクから濃厚なピンクへのグラデーションが美しい『ダブルディライト』です。1985年トロント大会で殿堂入り。甘いパッションフルーツのような香りが強いです。引き込まれる香りと言えばいいでしょうか。ダマスク香とエステル類(芳香化合物)の成分が多くまた、ティー系の成分が絶妙に配合されていてアプリコットのような香りも感じるとか。筆者はよく分かりませんが、とても魅惑的な強烈な主張を持つ香りであり姿形をしています。

写真は、20世紀を代表するバラ『ピース』です。美しくも気品と哀愁と威厳を併せ持つバラという印象です。「ピース知らずしてバラを語るべからず」と言われるほど世界中で愛される銘花だとか。戦争に翻弄されながらも育種家やバラ愛好家の方々の努力で生き残った品種で、第二次大戦後に平和の願いを込め「ピース」と名付けられました。1976年に世界初の殿堂入りしています。その後、ピースを親に持つ多くの銘花が誕生し「ピースファミリー」と呼ばれているのだとか。

 

裏山には空知平野を一望できり見晴らし台も

「ローズガーデン」の隣には「オールドローズの小径」があります。

「オールドローズ」は18世紀に欧州に伝わり、現代につながるバラの品種改良につながったチャイナローズの影響をあまり受けていない血統のバラのことを言うのだとか。いわば、古くからの伝統を受け継ぐ純血種といったところでしょうか。上品な香りとクラシックな形が特徴だそうです。

作出年が1826年以前という『シャポー ドゥ ナポレオン』です。蕾の周りの葉にせんもう毛がビッシリ生え、その形が皇帝ナポレオンの帽子に似ているところから名づけられています。今でも根強い人気を持つ品種なようです。

 

オールドローズ小径の丘陵にはバラではないですが、「ハマナスの丘」があり、北海道内の各地方に分けられたハマナスが咲いています。

ハマナスはかなり枯れていて、実になっています。道産子はこのハマナスの実を茹でて天ぷらにして食べる方もいます。

広大な敷地だけに、もちろんバラだけではありません。裏山には遊歩道があり、登ると見晴らし台があるというので、登ってみました。

北海道にはお馴染みの「クマ出没注意」の看板が…。これを見るとやはり少しビビります。

低い裏山とはいえ、結構な勾配の土の道を30分ほど登るので、猛暑の中で登るのは骨が折れました。

裏山ですが、登っているのはさすがに筆者ひとりきり。やぶ蚊のしつこさと、何十種類もの野鳥の鳴き声が聞こえ、自然の中に抛りこまれた気分。華やかなバラ園とは雰囲気が一変します。

息切れしながらたどり着いたのは、結構豪華な見晴らし台が。屋上まではループ状になっており、車いすの方でもスロープで上がれるようになっています。ですが、この厳しい遊歩道をどうして登るのだろう?とちょっと考えてしまいました。

苦労して登った甲斐はありました。見晴らし台からは空知地方の風景が一望できます。バラ園の整形ローズガーデンも形がよく分かると思います。

遊歩道の途中では野外音楽堂「キタオン」を見下ろすことができます。約2万人を収容できる野外ライブ会場です。

同会場は全国的に有名な野外ロックフェスの「JOIN ALIVE」の会場で、今季も7月15、16日に開催されました。

一応、バラ園には軽食や食事を食べるカフェやレストランもあります。

筆者は猛暑にやられ食事する気力が失せていたので、定番のソフトクリームをローズガーデン公式ショップ「ルシェル ローズショップ」で注文。もちろん同店限定のローズ味。味はバニラ系ですがバラのような強い香りが特徴の華やかな味わいでした。また、隣には空知地方唯一のナポリピッツァ協会認定店のピザレストランもありますよ。

 

まとめ

広大な敷地と恵まれた自然の中にあるいわみざわ公園の「ローズガーデン」。バラは夏と秋に咲く花で、今季は秋にも同フェスタ開催を予定しています。北海道には数あるバラ園ですが、平日でもお年寄りやカップルなどを中心に観光客が多く、岩見沢=バラという認識もかなり浸透してきているようです。このバラ園はバラ好き、花好きの方は訪れてみることをオススメします。隣には遊園地の「グリーンランド」もあり、家族やカップルでも1日中遊べる公園ですよ。

▽スポット情報

いわみざわ公園バラ園

住所:北海道岩見沢市志文町794番地

TEL:0126-25-6111(室内公園 色彩館)

URL:http://www.iwamizawa-park.com/rose-garden/

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