北海道唯一の国宝がある函館市縄文文化交流センターに行ってみた

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北海道函館市の中心部から約40㎞ほど北東の茅部地区(旧南茅部町)。日本一の真昆布の産地として知られていますが、北国の寒村という雰囲気は観光地としてはマイナーな存在。しかし、その道の駅と同じ施設内にある「函館市縄文文化交流センター」には北海道唯一の国宝が存在するのです。北海道の古代文化、そして国宝を観るために訪れてみました。

 

日本一の真昆布の産地

 

函館市茅部地区は、かつては人口8000人弱の町でしたが2004年12月に函館市に編入合併しています。JR函館駅では路線バスで約1時間、函館空港からは40分の距離にあります。漁業が中心で前述したように日本一の真昆布の産地。夏の磯場は昆布だらけで、至るところで昆布が干されています。筆者も函館の浜生まれなので、故郷の匂いは昆布の匂いでした。小学生のころ、夏場は漁師の友人の昆布ひろいを手伝ったこともあります。これが実にキツイ。そのほか、蛸や甘エビ、ウニ、タラ、最近ではブリも大量に揚がっているようです。

それだけに雰囲気はまさに北国の漁村といった雰囲気。決して観光地化はされておらず、マイナーな地域かもしれません。しかし、海鮮物は超新鮮ですし、素晴らしい泉質の温泉もあります。そして特筆すべきはこの南茅部地区にはビッグな国宝があるのです。

茅部から大沼公園方面に行くバイパスを走ると、ポツンと、半円形の建物が現れます。それが「函館市縄文文化交流センター」道の駅 縄文ロマン 南かやべ」です。

正直言って周りは森林で何もない場所に突然現れるので、何の施設かと思ってしまいます。函館市内からのアクセスも決して良くはない。ドライブコースには最適で施設は素晴らしいのですが、国宝を置く場所としては少々さびしく感じました。せっかくの国宝、皆さんがより見学しやすい方法はないか函館市は考える必要があると思います。入場料金は大人300円です。

 

神秘と霊性を感じる中空土偶「カックウ」

 

縄文時代は1万年以上、日本列島に根付いた文化です。函館の南茅部地区には大船遺跡、垣ノ島遺跡など数多くの遺跡があり、少なくとも約9000年前から縄文人がこの地域に大きな集落、文化圏を築き、約7000年暮らしていたことが分かっています。大陸から稲作の風習を持った弥生人が日本に渡ってきて弥生文化が主流となっても津軽海峡を隔てた「北海道人」は狩猟を中心とする縄文文化を続けていました。なので、北海道には弥生時代はありません。かつて「蝦夷地」は日本ではなく、本土人とは明らかに違う特性を持ったアイヌ文化も興味深く、「北海道人」とは何か、俄然、興味をそそられます。

文化センターは函館市内の各遺跡で出土した縄文時代の土器や土偶、道具などの展示が充実しています。丘陵部分に建てられていますので、入り口受付は2階となり、主要展示室は1階に降りる形となっています。まず何はなくとも、メーンとなる国宝をご紹介しましょう。

高さ約40cmの「中空土偶」です。一番奥の展示室にガラス張りのケースに入れられて佇んでいます。ハッキリ言ってひと目で引き付けられます。何というか、霊的なものを感じ、造った人の情念が詰まっているようです。頭から足先まで全身が薄く精緻な紋様に彩られ、精巧に仕上げられています。内部は空洞で、腕部分と頭部が欠損していますが、わざとその部分が壊れるように仕上げておいて、その破壊にも意味を持たせていたようです。土偶は実生活の用には立たないことから、縄文人の精神性や神性を象徴する第二の道具だったと言われます。

この中空土偶は南茅部の「茅」と中空の「空」を取り「カックウ」の愛称で呼ばれています。1975年に農作業をしていた地元の主婦が発見しました(現著墓内野遺跡)。縄文後期の約3500年前の墳墓に埋められていたことが分かっています。土偶はほとんどが女性を表現したもので、特に縄文初期は妊婦を表したものがほとんどでした。しかし、中後期にもなると、精霊のレベルにまで昇華され、ユニセックス化しています。カックウも基本は女性ですが、クッキリとした眉、そして髭も見られることが写真でわかるでしょうか?男女の特徴が混合され、非常に神秘的です。現代人にこれを造れと言われても簡単には創作できないでしょう。まさに縄文人の感性は非常にアーティスティックだったと感じます。

北海道が大陸とつながっていた旧石器時代、人々は狩猟のため、移動してきました。北海道人はどこからきたのか?土偶のキリットした眉、高い鼻から、モンゴルあたりから来たのではないか?と言われる案内員さんもいました。歴史や古代史が好きな方なら、カックウを観るだけで、想像の旅に出ることができるはずです。希少価値に加えて芸術性も高く、アーティスト系の方も興奮を覚えるかも。

 

足形付土版も印象的

 

ほかの施設も紹介しましょう。1階に降りると広い展示室があり、土器や石器、骨角器など多彩な道具などが展示されています。

この時代から漆や翡翠、アスファルトなど使っている道具があることに驚きます。翡翠新潟県糸魚川市のものがほとんどで、縄文時代も船などでの盛んな交易があったようですね。

写真は縄文時代早期の墓から出土した漆糸製品です。屈葬された遺体の腕や肩、脚の部分から漆糸が発見されています。これは9000年前の墓で、漆は日本発祥である可能性が高まっています。

石や動物の骨を使った石器、骨器の数々です。この地域の縄文人は狩猟はアザラシやトド、時には集団でクジラを槍で突いたりしていたようです。クジラ漁の源流は縄文時代にあったようですね。

函館空港に近い豊原4遺跡の出土品です。同遺跡は昨年8月に国の重要文化財に指定されています。柔らかい土版に子供の手型や足形がつけられています足形付土版と呼ばれるものです。大きさは最大で21㎝と国内最大のものも。亡くなった子供の足形などを写し取り家や体につるし、子供をしのんでいたようです。約6500年前の縄文早期頃のもので、このような土版は北海道でしか見つかっていないそうです。

 

大船温泉もオススメ!

 

文化センターの隣は道の駅「縄文ロマンみなみかやべ」になっていて、地域の特産の昆布や、お土産菓子などを販売しています。

道の駅としてはこじんまりしています。筆者が気になったのは中空土偶を模った「モナスク」です。

モナカとラスクを合わせ、ラスクの中に函館特産のがごめ昆布の粉末を混ぜ、コリコリした食感が新鮮ですよ。夏場はソフトクリームもオススメです。

また、縄文文化センターから車で10分ほどの場所の山あいに「大船温泉」があります。近くには縄文の大集落跡の大船遺跡もありますが、冬季は公開していません。同温泉は上の湯と、日帰り専門の下の湯があり、下の湯は地元の方が入る知る人ぞ知る小さな温泉です。

「ホテル函館ひろめ荘」に隣接の「南かやべ保養センター」が温泉となっています。硫黄泉と白濁した重層泉の二種類の天然温泉で、保温効果が非常に高い温泉です。

 

まとめ

 

縄文文化センターは車がなければアクセスはしにくく、観光という意味では地味ですが、縄文好きの方なら一度は訪れてみてほしいスポットです。やはり国宝の中空土偶は一味ちがいます。神秘性、芸術性ともに高く感じ、観る価値はあります。現在、北東北と南北海道の縄文文化は世界遺産登録の実現へ動き出しています。今後の動きも注目したいですね。

 

▽スポット情報

函館縄文文化センター

住所:北海道函館市臼尻町551-1

TEL:0138-25-2030

URL:http://www.hjcc.jp/index.html

 

大船温泉 上の湯

住所:北海道函館市大船町832-2

TEL:0138-25-3749

URL:http://www.hotel-hiromeso.grats.jp/(ホテル函館ひろめ荘)

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