古代ローマを最も今に伝える美しい建造物、パンテオン

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ローマの古代歴史中心地区の中に佇むパンテオン(PANTHEON)。一般車が通れない迷路のような細い道を歩いていくと突如として古代のままの姿が現れてきます。形状、大きさ、建築技術、そのすべての類まれな水準は、2000年の間見る人々を感動させてきました。すべての神々に奉げて作られた完全球型の神殿が最も保存状態よく現在まで残っているのは、教会として使われきたからなのです。何とも皮肉な話ですが、この世界で唯一無比の美しい空間をぜひ訪れてみてください。

 

ローマ神話の神々に奉げる神殿から教会へ

 

パンテオン紀元前27年古代ローマの初代皇帝アウグスト帝の右腕であったアグリッパによって、ローマのすべての神々に奉げるために建立されました。その後火事で焼失し、現在の建物は118年に当時の皇帝ハドリアヌスによって、現在の球形に再建されました。

すべての神々のために完全円形の神殿を作るというプランは、帝国領土内を広く旅し個性的な建造物を多く残したハドリアヌス帝ならではのアイデアです。古い本にはパンテオンのことを「万神殿」と書いてありますが、パンテオンを表すぴったりな日本語の言い方だと思います。

正面の三角破風のすぐ下には「マルクス・アグリッパが建造」とあり、ハドリアヌス帝は再建時に自分の名まえを記す代わりにオリジナルを残しました。最近の調査でこの部分の素材がハドリアヌス帝時のものだということがわかっています。当時の公用語であるラテン語で書いてありますが、「AGRIPPA」の部分はローマ字読みと同じなので知識がなくても読むことができます。

その後7世紀になると、西ローマ帝国が崩壊したあと当時のローマを支配していた東ローマ帝国皇帝フォカスにより、パンテオンはローマカトリック教会へプレゼントされてしまいます。ところが、当時のボニファティウス法王が「聖母マリアと殉教者のための教会」と名称を改め教会として使用したため、そののちの戦乱や破壊、略奪を逃れ、現在の私たちへ当時の姿をほぼ完ぺきに残しているのです。

 

43.3mの巨大な円がすっぽり入る荘厳な空間

 

中世の街並みが残る地区の中に、突如として大きなクーポラのあるギリシア神殿風。残念ながら、天井がブロンズで建物は大理石で覆われていたハドリアヌス帝のパンテオンではありませんが、まず外観の大きさだけでも完全に見る人を圧倒します。建物正面にある前廊の16本の大理石の円柱は、それぞれ太さが4.5m、高さが13mという巨大なものです。幅が33m、奥行が16mもある前廊を進んで建設当時のものと言われるブロンズ製の大きな扉から中へ入ります。この扉を見ると古代ローマ人は巨人だったのかと思ってしまうほど、人間離れしたサイズです。

扉のすぐ右側にチケット売り場のようなブースがありますが、パンテオンは教会のため入場無料なのでそのまま入れます。内部は、柱が一本もない完全な円形です。この中には直径43.3mの半円がすっぽり入るのです。

天井に直径9mの穴が開いている!

すべてにおいて特徴的なこの建物は窓が一つもなく、天井に開けられた直径9mもの穴が明り取りになっています。1日のうちでも朝と夜、夏と冬など入った時期や時間によってこの穴から差し込む光が変わり、毎回訪れた時の印象が変わるという粋な仕掛けになっています。天井に穴が開いていたら雨の日はどうするのか心配してしまいますが、どちらかというと乾燥したローマでは雨の時期は少なく、意外にも直径9mの穴の中には大量の雨は降り込めないそうです。また石造りの建物で床は美しい大理石のモザイク製なので素材が腐る心配もないのです。おまけに床の中心には小さな穴が5か所あり、そこから水を集めるように床に微妙な高低差が付けられていて、自然に水がそこに集まるようになっているのです。

古代ローマ人の知恵と技術

サン・ピエトロ寺院のクーポラ(丸屋根)よりも大きな規模であるこの広大な建物は、当時のセメントによく似た材料によって作られています。丸天井を支える下の部分の壁は厚みが6.2mもありますが、天井部分に行くにしたがって徐々に薄くなり、穴の部分になると厚みは1.5mという完全に計算された設計です。穴が開いているのは、明り取りのためだけではなく、重さの軽減にも役立っているのです。

丸屋根の部分にある四角い格子柄も飾りのためだけではなく、重量の軽減という意味でも役に立っています。約2000年前の時代に、このような建築物を作ることができた古代ローマ人の知恵と技術にまたまた感動を覚える瞬間です。

ラファエロの墓を探してみよう!

教会である内部は、突き当りに十字架が飾られる祭壇がありますが、その他にも6か所大きな壁龕と呼ばれる窪みがあります。もともとローマ神話の神々を祀る場所だったのですが、現在では国家の功労者を祀る場所となっていて、イタリアを統一したヴィットリーオ・エマヌエレ2世、2代目王ウンベルト1世の墓もあります。

各窪みの間にある壁は小祭壇と呼ばれ、左から三つめがルネッサンスのイタリア美術の天才、ラファエッロの墓です。たくさんの人であふれるパンテオンの中でも特に観光客が多く集まっているのでわかりやすいです。37歳の若さで亡くなったラファエッロ自身の希望で、パンテオンに葬られました。葬儀の際には、ここに絶筆の作品「キリストの変容」が展示されたそうです。光に包まれて天に昇るキリストと地上の人々の混迷の様子の対比がとても印象的な作品です。オリジナルがバチカン美術館の絵画館にあり、最新技術を駆使した本物そっくりのモザイク製のコピーが、サン・ピエトロ大聖堂内部に飾られているので、ぜひご覧ください。

 

オベリスクのある広場

 

パンテオンの前にあるロトンダ広場(PIAZZA DELLA ROTONDA、ピアッツァ・デッラ・ロトンダ)は、中心にオベリスクのある噴水があります。ここからパンテオンを見ると低い方へ見下ろす形になりますが、作られた当時は逆に見上げるようにそびえ立っていました。正面側からパンテオンの建物沿いに後部のほうへ向かうと、パンテオンの建物自体の地面の高さと現在の道路はかなりの高低差があるのがわかります。これは2000年近い間に運ばれた土などで、現在の地面の高さは数メートル高くなっているのです。特にパンテオンのあたりはテヴェレ川に近いので、何度もテヴェレ川の洪水などで土が運ばれてきたのだそうです。

この広場はまわりにぐるりと並んでいるカフェやレストランでくつろぐ人々、大道芸をする人やそれを見る人、パンテオンに入るために並んでいる人など大勢の人であふれていますが、パンテオンから出たら、ぜひこの広場でパンテオンの姿を見ながら一休みしてみませんか?絶好の休憩場所です。

 

PANTHEON

住所:PIAZZA DELLA ROTONDA

開館時間:9時~19時30分(日曜は18時まで、祭日は場合により13時まで)

入場は閉館時間の15分前まで。12月25日、1月1日休み

入場料:無料

www.polomusealelazio.beniculturali.it/index.php?it/232/pantheon

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