スリル満点?古代ローマ人の地下の迷宮墓地カタコンベを見学!

ローマ

たくさんの建物が立ち並び、多くの人や車が行きかうローマの街の地下には、今でもカタコンベと呼ばれる古代ローマ時代の共同墓地が広がっています

現代のような重機のない時代に掘ったとは思えないほど、地下深く何層にも重なって、迷路のように曲がりくねりながら長く続いているさまは、恐怖より古代人への畏敬の念を感じます。

2000年近くも前のフレスコ画も残る地下の共同墓地カタコンベは、見学が可能な場所もあります。ここでは、ひと味違う地下にあるローマの観光のためのポイントをご説明します。

 

カタコンベって何?

 

ローマの大きな街道沿いには、古代ローマ時代の地下墓地「カタコンベ」がいくつもあります。本来「カタコンベ」は、アッピア旧街道の聖セバスティアーノの地下墓地を示す名まえでした。洞窟の隣を意味するギリシア語のカタ・クンバが語源と言われ、隣に石切り場があったことからこう呼ばれていたそうです。その後、共同墓地を示す言葉として一般に広く使われるようになりました。

以前は、キリスト教が迫害されていた古代ローマ帝国時代、カタコンベでキリスト教徒たちが隠れて秘密のミサを行っていた場所と信じられていましたが、現在では単純に共同墓地を意味します。

古代ローマ時代、城壁の中に遺体を埋葬することが禁じられていたので、キリスト教とは関係なく、街道沿いに土葬のための地下墓地がありました。ローマの土壌は柔らかい凝灰岩(TUFO、トゥーフォ)でできているので、地下を掘ることは比較的容易だったのです。

 

キリスト教徒の復活信仰には土葬が必須!

 

キリスト教以前、ローマ神話の神々を信仰していた古代ローマ時代は、火葬が一般的でした。ところがキリスト教では、十字架刑で死んだはずのイエスが復活したように、最後の審判の日に全ての人が復活する、という復活信仰が中心にあります。

身体と共に蘇るとされるので、キリスト教徒は火葬ではなく土葬する必要がありました。遺体を布で包んで壁に掘られた横穴に置いて、外側から石を重ねて封じる簡単な土葬の方法です。

また、ユダヤ教もメシアの復活信仰に従って、古くから土葬が一般的だったので、キリスト教徒ともに、カタコンベに埋葬されました。

キリスト教の信者の数が増えるにつれて、大規模な地下墓地が何層にもどんどん掘られ、カタコンベは通路が複雑に交差する迷路のようになっていきます。

ローマ帝国崩壊後は、墓地として使われなくなりますが、中世には、有名な聖人の墓を巡礼する人々が訪れるようになり、カタコンベの上には教会が建てられました。ところが、徐々に聖人の聖遺物は、城壁の中の大きな教会へ移されるようになり、カタコンベの存在も忘れられていきました。

現在でもローマ市内の地下には、アッピア旧街道をはじめとする大きな街道沿いに40以上ものカタコンベがあり、500万人の遺体が葬られていることがわかっています。

カタコンベ見学の前に知っておきたいポイント

 

まず、地下の洞窟であるカタコンベは、湿気が多いので寒いです。必ず羽織るものを持っていくことをお勧めします。また、滑ったりしないように歩きやすい靴を履きましょう。

内部は何層にも複雑に入り組んでいるので、どこも必ずガイドと一緒に観光します。イタリア語、英語、フランス語、スペイン語などの言語によって観光のグループがわかれます。日本語のガイドはありませんが、日本語の音声テープを用意している場合もあるので事前に確認するほうがよいでしょう。迷子にならないように、しっかりガイドについていきましょう。

内部には、初期のキリスト教徒たちが残したフレスコ画などが残っています。キリスト教徒が禁止されていた時代に、暗号のように使われていたシンボルが多く描かれています。ヤシの枝は殉教を表し、鳩はキリストの平和、子羊はイエス自身、迷えるものを表します。また、ギリシア語の魚は、イエス・キリスト・神の子・救世主の頭文字を繋げた言葉です。探してみてください。

 

ローマ市内で見学できるおすすめカタコンベ

1.サン・カッリストのカタコンベ

 

アッピア旧街道にあるこのカタコンベは、まわりにオリーブの木や手入れの行き届いた芝生が広がり、ローマにいるとは思えない自然があふれる美しい場所です。

3世紀にカッリスト3世によって法王の墓所と決められた由緒あるカタコンベ16人のローマ法王と10人の聖なる殉教者、そして50万人以上のキリスト教徒の墓がある最大規模なもので、20kmの長さがあり広さは約15ヘクターです。

このカタコンベでは、音楽の守護聖人である聖チェチーリアの墓があります。16世紀末に墓を開けると、奇跡的に遺体が埋葬された当時のままだったという姿を彫った大理石の彫刻のコピーがあります。

CATACOMBE DI SAN CALLISTO(カタコンベ・ディ・サン・カッリスト)

住所:VIA APPIA ANTICA,110

開館時間:9時~12時、14時~17時、入場は閉館の15分前まで

休み:水曜日、1月1日、復活祭の日曜日、12月25日、1月下旬から2月下旬

入場料:8EURO、7歳から15歳は5EURO、6歳未満は無料

英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語のガイド付き。日本語のガイドテープあり

  2.サン・セバスティアーノのカタコンベ

アッピア旧街道に沿って2番目のマイル円柱と3番目のマイル円柱の間にあるローマの7大聖堂の1つサン・セバスティアーノ聖堂。地下には同名のカタコンベが広がっています。内部には、カタコンベの名前の由来になった古い採石場の跡が残っています。

イエス・キリストの一番弟子で初代ローマ法王となった聖ペトロと、キリスト教の布教に大きな役割を果たした聖パオロ。初期キリスト教会の2大中心人物が、当初このカタコンベに埋葬されていたことから、古くから多くの殉教者が訪れる重要なカタコンベです。

CATACOMBE DI SAN SEBASTIANO(カタコンベ・ディ・サン・セバスティアーノ)

住所:VIA APPIA ANTICA,136

開館時間:10時~17時、入場は閉館の30分前まで

休み:日曜日、1月1日、復活祭の日曜日、12月

入場料:8EURO、6歳から15歳は5EURO、6歳未満は無料

英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語のガイド付き。

3.プリシッラのカタコンベ

ローマの北側に広がる大きなアーダ公園(VILLA ADA,ヴィッラ・アーダ)に沿ったサラリア街道沿いにあるプリシッラのカタコンベ。ここも歴史が古く、葬られている殉教者の数が多いことから「カタコンベの女王」と知られています。

広いカタコンベの内部には、新約聖書と旧約聖書のエピソードを描かれたフレスコ画があります。特に食堂を囲む7人の図は、パンを分け与えるイエスの聖体の秘跡を表す初期のデザインとして有名です。また最も古いと言われる聖母子像も描かれています。

CATACOMBE DI SANTA PRISCILLA (カタコンベ・ディ・サンタ・プリシッラ)

住所:VIA SALARIA 430

開館時間:8時30分~12時、14時30分~17時、入場は閉館の15分前まで

休み:月曜日、1月1日、復活祭の日曜日、12月25日

入場料:8EURO、7歳から15歳は5EURO、7歳未満は無料

英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語のガイド付き。

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