イタリアの町を歩いていると、すれ違う人からいい香りがすることがよくあります。イタリア人は、一般に香水が大好きで、身だしなみの一部として考えられています。香水は、お風呂にあまり入らない欧米人がきつい体臭を隠すためにつけていたと聞いた覚えがあるけれど、小さい子供から老人まで、香りのオシャレとして楽しんでいるようです。目に見えない香水ですが、香りはせっかくイタリアに来たのなら、イタリア人のように香水を楽しんでみませんか?おすすめの香水や付け方をご紹介します。
香水のルーツはイタリアだった?
今から1000年近くも前の中世の時代、ヨーロッパでは、すでに今と同じような香水が作られていました。当時の世界で最も科学が進歩していたイスラム世界から蒸留の方法がヨーロッパに伝わったのをきっかけに、香りのよいハーブを蒸留していい香りの液体が作られるようになったのです。
イタリアにあるキリスト教の修道院ではハーブを医療の研究に使っていたので、最初は薬として、その後は香水として研究が進められ、キリスト教を通してヨーロッパ中に香水が普及していったのです。
現在は、香水といえばフランスのほうが有名ですが、フランスに香水ブームを巻き起こしたのは、ルネッサンス時代のフィレンツェ、メディチ家のお姫様カトリーヌです。フランス王アンリ2世と結婚したカトリーヌ・ド・メディシスがフランスへ持参した香水が宮廷で大人気を博したのをきっかけに、フランスの調合師たちが競って香りの研究を進めていったそうです。
たくさんある種類からどれを選んだらよいか?
一言で香水と言っても、いろんな種類があってどれを選んだらいいのかわかりにくいですね。香水は濃度によって4種類に分かれています。イタリアでも、日本と同じでフランス語による濃度の分類がされているので、少しわかりにくいかもしれません。
香水は、濃度によって香りが持続する時間が変わってきます。濃度が濃い方から順に、
1.パルファン(parfum)は本当の香水でかなり香りがきついです。量は一滴で十分です。
2.オー・デ・パルファン(eau de parfum)は直訳すると香水の水ですが、少し香りは弱め程度。シュッとひと吹きしましょう。
3.オー・デ・トワレ(eau de toilette)は化粧水の意味。つけすぎを気にせず、シュッ、シュッ、シュッくらいは大丈夫です。
4.オー・デ・コロン(eau de colon)は爽やかなコロンなので、初めての方は、オー・デ・コロンから始める方がいいかもしれません。
香水の中でも、パルファンとオー・ド・パルファンは免税の範囲量が1人当たり56ccと決められています。この量を超えてしまった場合は、税金の申告が必要です。
自分にあった香りの選び方
イタリアには香水店が数多くあります。化粧品を売っている日本でいう化粧品屋のことを、イタリア語では香水屋(profumeria、プロフメリア)といいます。専門店でなくても、洗剤などを売っている生活用品スーパーのようなところでも、本格的な香水が手軽に購入できます。イタリア人にとって生活の必需品なのが、こういうところからもわかりますね。
香水屋では、お試し用の香水が並んでいるので、必ず香りを確かめてから購入しましょう。通常、TESTERという表記がある手前に置いてある瓶がお試し用です。匂いを試す専用の紙に香りを吹き付けて、香りを確かめます。
たくさんの香りが配合されて作られる香水は、最初のつけたての香りであるトップ・ノートから、中間の香りであるミドル・ノート、そして時間が経ってから香るラスト・ノートと、香りが変化します。特にヨーロッパの香水は、香りの変化を楽しむように構成されているので、つけたての香りだけでなく、時間が経ってからの香りの変化も確認したほうがいいですね。
つける人の体温や体臭によっても香りが変化するので、できれば、自分の肌へ直接つけたいところですが、たくさんつけると香りがわからなくなってしまいます。まずは、お試し用の紙で確認したお気に入りの香水だけを、自分の肌につけて試すことをお勧めします。
イタリアならではのおすすめ香水(有名イタリアブランド系)
せっかくイタリアで買うのなら、イタリアの一流ブランドのいい香水がたくさんあります。日本で買うより、かなりお得な値段で購入できるのがうれしいですね
男性用
1.ブルガリ(プール・オム・オー・デ・トワレ)
爽やかな上品な香りは、女性にも人気の定番中の定番。嫌味がない香りなので、初心者にもぴったりです。
2.アルマーニ(アクア・ディ・ジョ・プール・オム・オー・デ・トアレ)
イタリアの香水で、最も有名な香水のひとつ。シャープな香りが人気です。
3.フェラーリ(ライトエッセンス)
ご存知イタリアが誇るスーパーカーのメーカー、フェラーリの香水です。さわやかな柑橘系のセレブな香り。
女性用
1.ブルガリ(オ・パフメオーテヴェール・オー・デ・コロン
東洋の和の文化である緑茶とフローラルの香りがさわやかな香水。万人受けする癖のないあっさりした爽やかな香り。
2.フェラガモ(シニョリーナ・オー・デ・トワレ)
イタリアの若い女性を指すシニョリーナという言葉のように、イタリアの若い小粋な女性をイメージしている香水。
3.プラダ(キャンディ・ロー・オー・デ・トワレ)
キュートな瓶もいかにもプラダという素敵な香水。風味豊かな甘さがかわいい香りです。
こうした有名ブランドは、香水だけではなく入浴後のボディクリームや乳液などをシリーズで販売しています。香水はちょっと、という場合は、こうしたバス商品から始めるのもいいでしょう。
イタリアならではのおすすめ香水(香水専門店)
アクア・ディ・パルマ(ACQUA DI PARMA)
イタリア中部の街、パルマで100年ほど前に誕生した小さな香りの工房。そこで発売された「コロニア」というイタリア初のオーデコロンは、今でも人気商品です。いろんな花の香りをベースにした上品な香りで、おすすめは、イリス、マグノリア、ジェルソミーノなどがあります。
カルトゥージア(CARTUTHIA)
1380年代まで遡る、カプリの中心にある老舗の香水店。カプリ島に自生するガロファノ・シルベストレをベースにサン・ジャコモ修道院で生み出された香り。20世紀になってから、当時の古文書によるレシピをもとに再現。世界最小の香水工房から造り出される高貴な香りが人気です。
香水を上手につけるポイントは?
香りを楽しむためのつけ方は、まず、清潔な場所につけること。汗などの匂いと混ざると不快感を与えます。
基本的に、体温の高い場所につけると香りが効果的です。耳のうしろや、手首といった場所のほか、ひざの後ろなどにつけても、ほのかに体中に香りが漂います。
また、つけすぎないことも大切す。自分で匂いを強く感じるときは、まわりに不快感を与えてしまうこともあります。特に日本人は嗅覚が敏感なので、強すぎると逆効果になってしまいます。また、日本の気候は湿度が高いため、イタリアでつける時より濃厚に感じる場合があるようなので、なるべくフレッシュな香りを選ぶ方がよさそうです。
いい香りに包まれると幸せな気分になれます。イタリア人の香りの習慣、上手に取り入れてみませんか?
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