イタリアでカーニヴァルを楽しもう!

ローマ

一年中で最も寒い時期、2月から3月にかけてイタリアではカーニヴァル(CARNEVALE、カルネヴァーレ)が繰り広げられます。カーニヴァルといってもブラジルのリオのカーニヴァルの派手なパレードとは違い、ルネッサンス時代へタイムスリップしたかのようなヴェネツィアの幻想的な仮装パーティをはじめとして、イタリアの各都市それぞれの特徴あるお祭りが1~2週間繰り広げられます。キリスト教の宗教行事でもあるイタリアのカーニヴァルについてご説明いたします。

 

カーニヴァルって何?

 

カーニヴァルとは、十字架刑に処された後に復活したイエス・キリストを祝う復活祭に関するキリスト教の行事です。キリストが行った40日間の荒野での修行にちなんで、復活祭の前にキリスト教徒は40日間の肉を食べない「断食」を行うのですが、カーニヴァルは厳しい断食の前にあたる前夜祭という位置づけです。そのため、この時ばかりは思い切り飲んで食べて歌って踊って楽しむことが許されるというわけなのです。

実際は、カーニヴァルとは古代ローマ時代に信仰されていたローマ神話の重要な農耕の神、サトゥルヌス神のお祭りが起源であると言われます。冬至のころから行われていた古代のお祭りが、キリスト教の時代になってもクリスマス、エピファニア祭、そしてカーニヴァルという形に変えて残ったそうです。この古代のお祭りは、年に一度の無礼講が許される日だったそうです。

カーニヴァルの時期は、どこの道路の上にも子供たちが巻き散らかす小さな紙吹雪でいっぱいです。子供たちは、ここぞとばかりにお姫様や海賊、アニメのキャラクターの衣装を身にまとい、紙吹雪やおもちゃのスプレーをあちこちに巻き散らかしながら歩き回ります。子供どおし、または大人に向かっても紙吹雪をかけあって、他愛のない情景がカーニヴァルの期間中繰り広げられます。大人たちもカーニヴァルの期間には友人同士などでもカーニヴァルパーティと称し仮装して楽しみます。ハロウィンと違って自分の好きな楽しい扮装をしてもよいので、各自が工夫を凝らして張り切って臨みます。

 

カーニヴァルはいつ?

 

カーニヴァルは復活祭の40日前なのですが、復活祭自体が旧暦なので毎年時期が変わるために、いつ始まるのかわかりにくいお祭りです。正確な日程に関わらず、1月後半ごろからは、お菓子やさんやパン屋さんのショーケースにはカーニヴァルのお菓子が並び、道端には紙吹雪がまかれ始めカーニヴァル気分が始まります。

正確な計算方法は、旧暦に基づいて春の最初の満月の次の日曜日が復活祭です。復活祭の41日前が「太った火曜日」といいカーニヴァルの最終日になります。ローマでは正式には「太った火曜日」の前の週の「太った木曜日」からカーニヴァルが始まります。この6日間にはさまれる週末にあちこちの広場でイベントが繰り広げられますが、地方によって時期もそれぞれ異なるという一風変わったキリスト教行事です。

イタリア各地の行ってみたい有名なカーニヴァル

 

ヴェネツィア(VENEZIA  

毎年約300万人もの観光客が訪れる世界的にも有名なカーニヴァル。ヴェネツィアというただでさえドラマチックな美しい街の中を、17世紀ごろの衣装を身にまとい仮面を付けた人々が歩き回るさまは、まるでこの世のものとは思えない幻想の世界へ迷い込んだような美しさです。

もともとの起源を11世紀まで遡る歴史と伝統のあるヴェネツィアのカーニヴァルは、他の地域と異なり美しい仮装パーティとして発展しました。特にルネッサンスのころ最も華やかさを増しますが、その後ヴェネツィア共和国の衰退とともにカーニヴァルも姿をひそめてしまいます。30年前に当時のカーニヴァルを復元した現在のヴェネツィアカーニヴァルが始ると大好評を博し年々スケールの大きな祭りに発展しています。特に最週末の仮面コンテストが一番の見せ場です。

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ヴィアレッジオ(VIAREGGIO

トスカーナといっても斜塔で有名なピサよりもさらに北にある人口62,500の小さな 町ヴィアレッジオで開かれるカーニヴァルは、毎年100万人以上の観光客が世界中から訪れるヨーロッパ3大カーニヴァルと言われます。19世紀後半に花を摘んだ荷車と仮装した人々のパレードで始まったヴィアレッジオのカーニヴァルは年々規模が大きくなり、現在では高さ20mもある楽しいデコレーションを飾り付けた華やかな山車が、海沿いの大通りでパレードを繰り広げます。

パレードの主役である紙を使った巨大な張り子は、ヴィアレッジオ独自の伝統工芸として職人が1年かけて作り上げる芸術的な作品なのです。しかも張り子のモチーフは伝統的に社会風刺を効かせた工夫を凝らしたオリジナルな作品です。無礼講なカーニヴァルらしく政治家や有名人たちを寓意的に摸して作った張り子は、訪れた人々の目を楽しませてくれます。芸術の国イタリアの色彩感覚やデザイン感覚を十分に発揮した底抜けに明るい楽しいカーニヴァルです。

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イヴレア(IVREA

イタリア北部ピエモンテ州イヴレアも、人口25,000人にも満たない小さな町なのですが、伝統的な「オレンジ合戦」をするカーニヴァルとして、毎年たくさんの観光客が押し寄せます。町の地区ごとにチームに分かれ、オレンジをぶつけあう対抗戦が繰り広げられます。地元意識の強い町の人々は、地区のメンツをかけて真剣に戦うので、観覧覧している人々にもいやおうなくオレンジが飛んでくるという少し危険なカーニヴァルですが、年々規模が盛り上がっている人気イベントです。

また、イヴレアのカーニヴァルは16世紀から現在まで途切れることなく続いている最も歴史が古いお祭りです。ヴェネツィアようにルネッサンス時代の衣装に身を包んだ人々の歴史パレードも見逃せない美しい光景です。

 

カロリーたっぷりのカーニヴァル限定スイーツ

キアッキエレ(CHIACCHIERE)

最も歴史が古く、イタリア中で最も広い地域で食べられているお菓子。手打ちパスタの材料に砂糖とリキュールなどを加えて薄く伸ばしたものを揚げただけのシンプルなお菓子。カンパ―ニャ州ではキアッキエレと呼ばれていますが、フリウリ・ヴェネツィア地方ではグロストリ(GROSTOLI)、エミリア・ロマーニャ州ではスフラッポレ(SFRAPPOLE)、ヴェネト州はガラニ(GALANI)、マルケ州とラツィオ州はフラッペ(FRAPPE)、トスカーナ州はチェンチ(CENCI)とそれぞれの全く異なる呼び名があります。加えるリキュールも、地方によってグラッパだったりマルサーラ週だったりとそれぞれの特色があります。

カスタニョーレ(CASTAGNOLE)

キアッキエレと同じような生地を小さく丸めて揚げたドーナツ。もともとはフリウリ地方のものでしたが、今ではイタリア全土でカーニヴァルを代表するお菓子の1つです。中にリコッタチーズのクリームやカスタードクリーム、チョコレートクリームを入れるなどヴァリエーションが多いのところも人気の理由です。

チチェルキアータ(CICERCHIATA)

これも歴史が古いお菓子で、アブルッツォ地方を中心に、モリーゼ州、ラツィオ州、マルケ州、ウンブリア州などイタリア中部地方の伝統的なお菓子。カスタニョーレのように揚げたものを溶かした蜂蜜にからめて、小さく切った果物の砂糖漬けやナッツ類をまぶしたもの。

 

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