どんな食べ物だって、産地で食べるのが一番おいしい食べ方です。おいしい食材の宝庫、イタリア。その中でも特におすすめなのが、チーズです。
土地の気候風土と食べ物の美味しさは、密接に結びついています。今は日本にいても、何でも手に入る時代ですが、西洋の発酵食品であるチーズは、日本の湿度の多い気候の中では、どうしても匂いがきつく感じてしまい、本来の味を十分に堪能することは難しいのです。
チーズは、日本への持ち込みは可能なのですが、デリケートなだけに、長旅の間に劣化してしまう危険性が高い食品です。だからこそ、ぜひ、現地で試すのが一番です。レストランでももちろんのこと、食材屋さんで購入して、ホテルの部屋で簡単なアペリティフとしてハム類と一緒に楽しむのも最高です。
ここでは、数あるチーズの中から、特におすすめのチーズについて、ご紹介します。
古代ローマ人にも大人気だったチーズ
チーズの起源はいつ始まったかというのはわからないのですが、紀元前1世紀ごろ、古代ローマ時代には、もうチーズ作りが進歩していて、起源3,4世紀には、現代と同じようなハードチーズが作られていたと言われています。
その証拠に、古代ローマの兵士は遠征の際、パン、ワイン、塩などの食料品とともに、必ずチーズが支給されていました。古代ローマ帝国の拡大とともに、ワイン造りと同様にチーズの作り方も帝国全域に広がり現代のヨーロッパの食生活の要となっていったのです。
中世になると発展をさらに遂げるキリスト教の修道院によって、いろいろなチーズが開発され、ヨーロッパの食事の基本として、ますます重要な位置を占めて行きました。
フレッシュチーズ
チーズの原点、と言っても過言ではないフレッシュチーズ。酸化した牛乳を濾せば、乳清を除いた残りが、もうチーズ状のものになるので、かなり古い時期から食べられていました。フレッシュチーズは、爽やかでマイルドなので、加工したチーズに慣れている人にも、あまり抵抗なく食べることができると思います。ぜひ、本場の味を楽しんでください。
1.リコッタチーズ(RICOTTA )
イタリアでは、かごを逆さまにしたような形で、カゴの網目が付いたままで売られています。味は、かすかな甘みがあるマイルドな味。牛乳だけではなく、羊、ヤギの乳からも作られます。
イタリアでは、そのまま、サラダと一緒に食べたり、ラビオリの具やパスタの材料としても使われます。また、ケーキの材料としてもよく登場します。
2.ロビオラ(ROBIOLA)
北イタリアで作られる、少し酸味のあるクリーミーなチーズ。イタリアを代表するスパークリングワイン、アスティスプマンテの産地の近くで作られるだけあって、スパークリングワインとの相性は最適です。
パンやクラッカーに簡単に塗ることができるので、スモークサーモンやハム類と一緒に簡単な見栄えのするオードブルによく使われます。
3.マスカルポーネ(MASCARPONE)
味も舌触りも滑らかでクリーミーなチーズ。実際には、製法的にはチーズではなく、生クリームと同じように扱われています。イタリアを代表するデザートのティラミスに使われるほか、青かびチーズのゴルゴンゾーラチーズと一緒に登場します。
モッツァレッラチーズ(MOZZARELLA)の仲間
イタリアを代表するチーズの筆頭、おなじみのモッツァレッラチーズ。あっさりしているのに、特有の風味で、世界中で人気のチーズです。そのまま食べても、熱を加えて溶かしても、いろいろ楽しめる便利さも人気の秘訣でしょう。
イタリアでは、豆腐のように水に入った状態で売られています。鮮度が大切なチーズなので、ぜひ、お楽しみください。
1.牛乳のモッツァレッラチーズ(MOZZARELLA、モッツァレッラ、またはFIORI DI LATTE、フィオリ・ディ・ラッテ)
あっさりしているだけど、栄養満点の優れものチーズです。プチトマトやサラダと一緒に、そしてパンを添えれば、簡単にバランスの良い一品ができあがります。旅行中、あまり食欲のないときに、うってつけです。
有名なローマのピッザに使われるのは、この牛乳のモッツアレッラチーズです。
2.水牛のモッツァレッラチーズ(MOZZARELLA BUFFARA、モッツァレッラ・ブッファラ)
ナポリ近辺のカンパニア州には水牛がいて、この水牛の乳から造られるのが、本物のモッツァレッラと言われています。牛乳に比べると、ずっと凝縮した濃厚な味わいで、一度食べると病みつきになる美味しさです。ただ、カロリーはとても高いので、1つで、十分メインの食材として通用します。
ピザでも、時々水牛のモッツァレッラチーズを使うお店もあります。当然、溶けても濃厚な味わいを醸し出します。
3.ブッラータ(BURRATA)
南イタリアプーリア州の名産だったのですが、最近ではローマでも簡単に手に入るようになったチーズです。牛乳で作ったモッツアレッラチーズのなかに、トロリと濃厚な生クリームがびっしりと詰まった充実のチーズです。さっぱりとした柔らかい外側のモッツァレッラと、脂肪分44パーセントもある中の生クリームの凝縮されたミルクの香りと甘さが口の中に溶け合います。賞味期限は3日と短いので、絶対現地でなければ味わけない、おすすめのチーズです。
4.スカモルツァ(SCAMORZA)
モッツァレッラを凝縮させて燻製にしたチーズ。そのまま食べると、あっさりして癖のないチーズで、万人むきの美味しさです。イタリアでは、よく、スライスして焼いて食べるのですが、加熱すると、濃厚な味わいになり風味が強まる不思議なチーズです。
ハードチーズ
熟成期間が長く、水分が少ないチーズです。消化も良いのですが、凝縮されている分、カロリーが高いので、食べすぎには注意です。比較的、長旅にも耐えうるのは、このタイプです。
1.ローマの羊のチーズ(PECORINO ROMANO、ペコリーノ・ロマーノ)
ローマを代表するチーズ。最低8か月の熟成期間が義務付けられています。かなり独特の塩辛さと刺激味を持つ特徴的なチーズです。春には、生のソラマメと一緒に食べるのがローマっ子の定番です。
日本でも人気のスパゲッティ・カルボナーラに欠かせないのがこのチーズ。ローマ料理には、頻繁に登場する大切な存在です。
2.パルミジャーノチーズ(PARMGGIANO REGGIANO、パルミジャーノ・レジャーノ)
イタリア中部、エミリア・ロマーニャ地方の伝統的なチーズですが、今では、イタリアチーズの王様として、イタリア料理にはなくてはならない基本的な食材です。日本では、パルメザンチーズとしてすりおろして筒に入った製品が出回っていましたが、まったく比較にならない別の食べ物です。
香もよく、豊かな味わい特別なチーズであるパルミジャーノチーズは、パスタに振りかけるだけではなく、赤ワインと合わせるとそれだけで十分立派なおつまみになります。他のチーズに比べても、消化も良く、カルシウムの含有量も多いという、文句なしのチーズです。
青かびチーズ
ゴルゴンゾーラ(GORGONZOLA)
青かびの付いた強い匂いのする独特なゴルゴンゾーラチーズは、好きか嫌いかはっきり分かれる個性の強いチーズです。意外とクリーミーでなめらかなのですが、強い刺激臭とともに、味覚もピリッとした風味があり舌に優しい刺激のあります。
そのままで、セロリやくるみ、洋ナシなどと一緒に、また、パスタに絡めたり、いろいろに使われます。また、栗の木からとれるあまり甘くない蜂蜜との相性は抜群です。ぜひ、お試しください。
いかがですか、おいしいうえに栄養も満点なイタリアのチーズ。ぜひ、その本場のおいしさをご堪能ください。
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