数年ほど前まではイタリア人ほど食に保守的な民族はいないと思っていたけれど、ここ10年くらいですっかり様変わりして、ローマでもなかなか美味しい日本食(CUCINA GIAPPONESE、クチーナ・ジャッポネーゼ)を比較的容易に食べることができます。まだまだ日本食というと寿司というイメージですが、醤油、味噌汁や豆腐などの食品にも注目が集まっていて、大きなスーパーなら問題なく手に入るようになってきました。ローマで美味しい日本食を食べる方法について、ローマのレストラン、食材店などをご案内します。
日本食は健康的!
ローマの名物料理といえばカルボナーラや仔羊の肉など、どちらかというと肉料理が中心でこってりした料理が多いのが特徴です。ところが最近では「肉料理は健康によくない」というヴェジタリアンやマクロビオティックのブームなどとも相まって、肉を食べない日本食、あっさりしている日本食は体に良い、などという理由で和食は人気上昇中です。
少し前までは、生魚といえばレモンとオリーブオイルでマリネしたイワシくらいで、生魚を食べるのは気持ちが悪い、という意見が主流でしたが、やはり肉より魚、しかも、生魚のほうが体にはよいうえに美味しいと、寿司はすっかり市民権を獲得しています。
本格的な日本食レストラン
きちんとした日本食が食べたいと思ったら、やっぱり日本人経営のレストランですね。平日の昼なら、寿司定食なども20EURO以下のお得なランチメニューがあって気軽に食べられます。もちろん食材が全く同じというわけにはいかないので、日本そのままではありませんが、漬物や味噌汁と一緒に美味しく楽しめます。
客層はもちろん観光客のほか地元の駐在員など日本人が多いですが、夜9時を過ぎると店内はほとんどがイタリア人をはじめとする西洋人になることが多いようです。器用にお箸を使って美味しそうに和食を食べている光景は、日本人であることがなんだかうれしくなる瞬間です。
おすすめ本格的日本食レストラン
・濱清(HAMASEI):スペイン階段からもほど近い有名店。入り口近くには寿司カウンターもあり、日本人の板前が目の前で寿司を握ってくれる。広い店内は清潔感あふれるすっきりとした印象。http://www.roma-hamasei.com/
・支倉(HASEKURA):人気のモンティ地区にある老舗の高級店。店主自らが魚を選び、野菜はイタリア人の奥さんの実家で作っている新鮮な野菜を使うこだわり店。http://hasekura.it/
・どうぞ(DOOZO):共和国広場に近いモダンなレストラン。晴れた日には中庭で食べることもできる。よく写真展などの展示会を行っているので、オシャレなイタリア人に人気な店。http://www.doozo.it/
中華料理&日本料理レストラン
最近ものすごい勢いで増えているのが、中国人経営の日本食レストラン。イタリア人でも、和食がだめな人も中華なら、またその反対に中華がだめでも和食ならという風に、一緒に行く人に選択肢が増えるので、このアジア風レストランはかえって人気のようです。また値段がかなり安いのも人気の理由。もともと、イタリアでは中華料理のレストランは、格安なのですが、最近では食べ放題システムを行っているところが多く、お昼は13EURO前後、夜も20EURO以下の金額設定をしています。食べたことがない人でも、お寿司がこの値段で食べられるのなら試してみようという気になるのですね。
メニューを見ると日本語を間違えていることが多く、日本人から見れば残念ながら少し怪しい感じですが、若者を中心に気軽な値段で食べられるという意味で日本食の普及にかなり貢献しています。カリフォルニアロールのような各種の巻き物や寿司の船盛り、そして天ぷら盛り合わせ、味噌汁が人気のメニューのようです。
自分で作るなら、材料はどこにある?
日本食の材料となる生鮮食料品は意外と簡単に手に入ります。まず、日本独特という感じの白菜や大根、もやしなどは、ローマ市内であれば比較的大きな市場やスーパーでも売っています。中国人が多く住んでいるので中国人の食べる野菜は、かなり流通しているのです。手に入るのです。特にテルミニ駅近くのヴィットーリオ・エマヌエーレ市場(NUOVO MERCATO ESQUILINO、ヌオヴォ・メルカート・エスクイリーノ)には、レンコン、長芋、里芋、ニラ、チンゲンザイ、オクラ、タケノコなどまで、ほとんど揃っています。また本場エジプトのモロヘイヤまであります。逆に絶対に手に入らないのはゴボウです。ゴボウを食べるのは日本人だけだそうです。生のキノコ類もマッシュルームは同じですが、なめこなどはありません。
肉はもちろん、何でもそろいます。魚も大体手に入りますが、サンマ、さわら、ブリ、カレイは見たことがありません。アジはイタリアではあまり食べないので、1キロ3EURO くらいであります。
ローマの日本食材店
珍しいことに、ローマには日本人経営の食料品がありません。韓国や中国の食料専門店で醤油、日本酒、味噌、海苔などの基本的な食品以外にもお好み焼きソースや、ゆであずきの缶詰まで、様々な食材が揃います。おそらく商品のラインナップが多いのは、サンタ・マリア・マジョーレ大聖堂近くのKOREAN MARKET(コレアン・マーケット、http://koamart.com/)もちろん日本で買うよりかなり高めですが、納豆、かまぼこなどまで何でもあります。また、ここでは美味しいキムチがあります。
ヴィットーリオ・エマヌエーレ市場の近くは、中国人街のように中国人のお店がたくさん並んでいて、日本食材も置いている中国人食材店も多数あります。地下鉄A線のヴィットーリオ・エマヌエーレ駅を降りて市場へ向かう間にも数件あります。ここは、海苔や醤油が市内のスーパーに比べてかなり格安で売られています。カップヌードルはもちろんのこと、本場の中華麺や春雨、本格的豆板醤なども売っているので、ほぼ日本料理化した中華を作るのにも役立ちます。また、日本風の餃子や春巻きなどの冷凍食品もあります。
意外なことに日本の食品を置いているのが、有機の食材店。特にイタリア中にチェーン展開しているNATURA SI(ナチューラ・シ)という有機食材専門のスーパーには、マクロビオティックのコーナーがあって、梅干しやこんにゃく、日本とは違ういろんな種類の豆腐が売っています。
イタリアも食の分野でかなりのグローバリゼーションが進んでいます。もちろん日本そのままというわけにはいかないけれど、ぜひ工夫しながら気軽に試してみてください。
コメント