歴史的中心地区全体が世界遺産のローマの観光スポットで、なんといっても一番の目玉はコロッセオ!テレビや写真で世界的に有名な歴史的建造物ですが、実際の3 Dの大迫力にはかないません。8世紀にすでに「コロッセオが倒れるとき、ローマが滅びる。ローマが滅びるとき、世界が滅びる。」と謳われたコロッセオ。創建から2000年近くたった現在でも威風堂々としたさまに、歴史の奥深さを考えさせられます。ここでは、この有名な
コロッセオの魅力を探ってみましょう。
世界最大の豪華な古代闘技場、コロッセオ(COLOSSEO)!
コロッセオは古代ローマ帝国時代、西暦80年に完成した188×156mの楕円形の闘技場です。外周が527m、外壁の高さは49mもあり、5万人から7万人までもの観衆を収容できた現存する最大規模の古代円形闘技場です。しかも、海軍の兵士によって開閉する可動式の屋根まで完備していたので、現代でも立派に通用するスタジアムなのです。
しかも外観は、下からドーリア、イオニア、コリントというそれぞれ異なる様式で飾られた付け柱をもつアーチ窓が外周に沿って80づつ3層重なり、その上の4層目は壁体という芸術的な構成になっています。さらに当時のコロッセオは、各階80ずつあるすべてのアーチの中には彫像が飾られ、外壁は大理石で覆われていたという世にも豪華な円形競技場だったのです。
5世紀に古代ローマ帝国の崩壊後すっかり忘れ去られたコロッセオは、要塞として利用されたり、盗賊や娼婦などいかがわしい人々の住居として使われたりした後に、豊富な建築資材場としてローマ市内の教会や宮殿に使うために解体されていきました。またローマを襲った数回の大地震によって南側の外壁も破壊されており、残念ながら往時の完璧な美しさを保つことは不可能だったのです。
さらに、近年車の排気ガスなどによりすっかり薄汚れていたコロッセオですが、高級靴のブランドとして有名なトッズグループが、メセナ活動として約650万ユウロの資金提供をしたおかげで、外壁の汚れが落とされ美しく生まれ変わりました。さらに1900万ユウロの予算で資金提供は続けられ、今度は内部の修復が始まる予定です。
古代ローマ帝国民に人気の剣闘士試合を無料で提供!
コロッセオという名称はこの円形競技場の横にネロ帝の巨大な像(COLOSSUS、コロッスス)が立っていたことによるものだという説が有力ですが、正式名称はフラヴィウス円形闘技場(アンフィテアトロ・ディフラヴィオ、ANFITEATRO DI FLAVIO)といい、創建したフラヴィウス朝ヴェスパシアヌス帝の名まえにちなんでいます。
古代ローマ帝国の歴代皇帝の中でも特に悪名高いネロ帝の自死後、ローマ内戦を終結させ紀元70年に帝位についたヴェスパシアヌス帝は、まずネロ帝の痕跡を消すことに努めます。ローマの大火事後に2つもの丘にまたがる広大な焼け野原一帯にネロ帝が建てた黄金宮殿(DOMUS AUREA、ドムス・アウレア)の中庭にあった巨大な人工池を埋め立て、市民の娯楽のために最大級の円形闘技場を建設します。
当時のローマ市民に最も人気のある出し物はグラディエーターと呼ばれる血なまぐさい剣闘士同士の戦いでしたが、これは紀元前の共和制ローマの時代から死者への供養という意味で貴族などの間で伝統的に行われていた剣闘士試合が発展したものでした。さらに、剣闘士とライオン、クマなどの猛獣との闘い、死刑囚の刑の執行まで様々な見世物が無料で繰り広げられたので、市民は1日中食事をしたり卓上ゲームで遊んだりしながらコロッセオの中で楽しんだそうです。内部には当時のローマ人たちが使用した食器や食べていた貝殻など、いろんな物が展示されています。
現代も顔負けの高度な建築技術
2000年経った今でも古代の勇姿を誇るコロッセオは、施行開始の西暦75年から、わずか5年で完成しているという点に、まず驚かされます。しかも、人工池の跡地であったために、テベレ川までセメントの型抜きによる4本の排水管と2本のリング状の下水溝を作り、人口池の水を抜くことから始まっています。しかもこの排水管は、完成後、逆にテベレ川から水を引いてくることもできるように設計されていて、コロッセオ内に水を引き入れ、船を浮かべての模擬海戦までができたのです。
構造的には、放射状に交差する80のアーチ壁が座席部分と外壁を支えるシステムになっていて、さらに、座席下部分には環状の通路が張り巡らされていました。帝国民はそれぞれの階級に応じた出入り口アーチが事前に決められていたので、80のアーチそれぞれが、他のアーチからの入場者と混じり合うことなく、各自の座席にたどり着けるように独立した設計だっため、火事などの非常時には15分ほどで5万人を退場させることも可能だったそうです。今ではコロッセオは個人と団体用の2つの入場アーチしか使われてなく、いつでも入場するための長蛇の列ができていることを考えると何とも皮肉なものです。
またアレーナの地下も見物です。猛獣たちの檻として複雑に入り組んだ作りになっていて、何日も飢えた状態で暗闇に閉じ込めておいた猛獣を、手動のエレベーターでいきなり舞台の上に持ち上げることができる仕組みまであったのです。現在、アレーナの床がはがされているので、上からすっかり様子を覗き込めるので感慨深いです。
重機のない時代にこれだけの大建造物をたったの5年で完成できたのは、ヴェスパシアヌス帝の息子であるティトウス帝がエルサレム攻略の司令官としてエルサレムを占有し73年にはユダヤ戦争を終結させたという功績が理由としてあげられます。フォロロマーノにあるティトウス帝の凱旋門には、ユダヤ戦争の戦利品を運ぶ浮彫が残されていますが、この勝利により財政的にうるおい、また奴隷として連行されユダヤ人が労働に従事したのだと思うと感慨深いものがあります。
入場の行列を避けるには、予約が必要?
観光客であふれているコロッセオに優先的に入場するためには、事前予約をするか、ローマパスを持っていて無料の美術館の枠がまだ残っている、またはコロッセオの入場チケットを事前購入することが必要です。
事前予約は手数料がわずか2EUROなので予約をするほうがよさそうですが、コロッセオは安全面の理由か3000人までしか一度に入れないので、せっかく予約の時間に予定を繰り合わせて行ってももすぐに入場できるとは限らないのです。大きな団体が入っていたりするなど混雑がひどい場合は、予約していても1時間近く待たされることもあるそうです。
おすすめは当日入場前にコロッセオのむかいにあるチケット売り場で入場チケットを購入し、優先列に並ぶことです。地下鉄の駅を出てコロッセオを左手に見ながらまっすぐ進むと、すぐ右側に行列のある小さなチケット売り場があるので、地下鉄の駅に向かって並んでいる行列の最後尾につくだけです。大きな看板がないのでわかりにくくあまり並んでいる人はいないうえに、支払い方法がクレジットカードのみのため意外とスムーズに列が進みます。
コロッセオへ入場する列は、コスタンティヌス帝の凱旋門方向に伸びています。何列もありますが、コロッセオに沿って内側の列はチケットを内部で購入する一般の長い列で、外側の列が優先になっています。
コロッセオの入場チケットの種類
コロッセオ入場券
パラティーノの丘/フォロ・ロマーノ共通入場券で、有効期間は2日間以内にそれぞれ1回のみ入場できます。
料金:12EURO、 18歳以下無料。予約料は別に2EURO追加
アルケオカード(ARCHEOCARD)
考古学関連の以下の観光スポット共通入場券で、有効期間は7日間以内にそれぞれ1回ずつのみの入場(コロッセオ、パラティーノの丘/フォロ・ロマーノ、カラカッラ帝の浴場跡、クインティ―リ荘、チェチーリア・メテッラの墓、4つのローマ国立博物館であるマッシモ宮、アルテンプス宮、クリプタ・バルビ、ディオクレティアヌス帝の浴場跡)あまり有名ではない博物館ですが、古代ローマを知るには最適な豊富な展示が揃っています。古代ローマファンにはおすすめのお得なチケット。
料金:23EURO、18歳以下無料
コロッセオ(COLOSSEO)
住所:ピアッツァ・デル・コロッセオ(Piazza del colosseo)
電話:0639967700(予約)
開館時間:8時30分~17時(2月16日~3月15日)
8時30分~17時30分(3月16日~3月の最終土曜日)
8時30分~19時15分(3月の最終日曜日~8月31日)
8時30分~19時(9月)
8時30分~18時30分(10月1日~10月の最終土曜日)
8時30分~17時30分(10月の最終日曜日~2月15日)
1月1日、12月25日休み
公式予約サイトhttp://etickets.coopculture.it/index.php/it/index.php?option=com_snapp&view=event&id=C1F4480E-9F88-41FE-BD39-1C2283FF1AF9
コロッセオのガイドツアーはイタリア語、英語、スペイン語のみですが、オーディオガイド(5.5EURO)とipod touchを利用したオーディオ・ビデオ・ガイド(6EURO)は日本語が用意されています。せっかくのコロッセオ、知識を深めるために上手に活用すればより楽しめること請け合いです。
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