街中が世界遺産の街ローマは建築の規制が厳しくて、新しい建物を建てることができません。そのため市中心部は、今でもほとんどが小規模なお店で、デパートやショッピングセンターがないことも特徴です。ローマのコルソ通りの真ん中にあったイタリアの老舗デパート「リナシェンテ」も数年前に閉店しましたが、この10月、ようやく新装オープンしました。この新名所についてご案内します。
イタリア唯一の老舗デパート「リナシェンテ」
ほとんどデパートが存在しないイタリアで、昔からの老舗といえば「リナシェンテ(RINASCENTE)」。約150年前にミラノで創業しました。ファッションの街ミラノの中心ドゥオモの近くにあって、超一流のファッションブランドが勢ぞろい、高級食料品や、屋上のテラスレストランからはドゥオモが見れるという充実ぶりです。日本のデパートに比べれば小さいけれど、イタリアでは十分大きな高級デパートです。
一方ローマには、コルソ通りの中心にあったのですが、数年前に閉店。リナシェンテのあった建物は、スペインのカジュアルブランド「ザラ」がすべて買い取り、ザラビルへ変身。そしてリナシェンテといえば、隣にオープンしたショッピングアーケード、「ガレリア・アルベルト・ソルディ」の片隅に、全く目立たない小さなコーナーとなってしまったのです。もう一店舗が、フューメ広場(PIAZZA FIUME)にありますが、中心からは少し離れているので、観光には不便な場所にある小さなリナシェンテです。
トリトーネ通りに待望の新装オープン!
ほとんど忘れ去られていたローマのリナシェンテですが、2017年10月に、突如トレヴィの泉からもほど近いトリトーネ通りに新装オープンしました。
この新しいリナシェンテ、オープンするまでに11年、1,850日もの工事を要しただけあって、外装はエレガントな1900年頃の建物で内部が吹き抜けのモダンなキューブデザインというローマには珍しい斬新なスタイルに仕上がっています。
この新店舗のオープンに当たっては、建物の購入に1,300,000,000ユーロ、構造の改築に46,000,000ユーロ、そして内装に約25,000,000ユーロ、計200,000,000ユーロという途方もない巨大な資金を投じての大事業の甲斐あって、オープン初日から、たくさんの人で賑わっています。
800ものブランドが何でもそろう高級デパート
8階建てで14,000㎡もの大きな店内には、イタリアをはじめ世界一流のブランドが勢ぞろいです。これまでローマの中心地にあるイタリアのブランド店は、それぞれが店舗を構えているので、それぞれガードマンのいる入り口から恭しく店内に入れてもらうというスタイルでしたが、この新しいリナシェンテでは、日本の百貨店のように、いろんなブランドを自由に見て回ることができます。日本人には嬉しいシステムですね。
グッチ、プラダ、フェラガモ、ルイ・ヴィトン、ティファニー、モンクレール、ボッテガ・ヴェネタ、エンポリオ・アルマーニなどなどのファッションブランドに、コスメのお店、グルメショップなど、なんでも一か所で揃うので、真夏や寒い季節には、ぴったりです。
ローマを一望できるテラスレストラン
なんといっても、この新デパートの目玉は、ローマ市内を一望できる屋上のオープンレストランMadelTerraneo(マーデルテラーネオ)。これまで、ローマでパノラマが楽しめるレストランといえば、一流ホテルの中にあるレストランがほとんどで、気軽に一般人が入れるようなお店はほとんどありませんでした。その点、ローマのほぼ中央に位置するデパートの屋上レストランですから、誰でも気軽に入れます。
メニューは地中海料理で、ピザやラビオリなどの定番イタリア料理のほかに、北アフリカ料理、ギリシア料理、スペイン料理などもあって、イタリア料理に少し飽きた人におすすめです。ローマで人気のシェフの本格的な料理を楽しめます。
階段状になっているオープンスペースの6階と7階の屋上部分は700㎡という広さにも関わらず、今のところいつも満席です。また食事をしなくても、7階のテラス部分に自由に出入りができるので、一目パノラマを見ようという人でもごった返しています。
入り口近くにはサンセットバーがあって、ここは、ビールとサンドイッチ、ピザなどの軽食を、比較的手軽な値段で食べられます。また、カクテルバーもあるので、おしゃれに食前酒を楽しむのにも最適です。
お寿司屋さんにスムージー!ヘルシー志向に合わせた店ぞろえ
イタリア人にとっての目玉の一つは、お寿司屋さん。でも、日本人のお寿司屋さんではなく、イタリアで人気のブラジル人日本料理シェフのレストラン、その名も「TEMAKINHO」。
残念ながらテレビでも和食と言うと紹介される有名なシェフで、ローマでは人気のモンティ地区やプラーティ地区に続く第3弾のお店です。
お寿司の美味しさだけではなく、再生利用した素材でできたお皿やカトラリーを使っていること、有機栽培にこだわっていて、魚も養殖ではなく天然ものを使っているエコロジーなレストラン、というのも人気のレストラン。お水も、ガラスの器に入って日本のように無料で飲めるところも人気です。でも、かなりエスニックなお寿司、これがますます日本料理として浸透しないか、日本人としては不安になります。
また、ローマで人気のオーガニックフードのお店「ViViBistro」も登場です。ヘルシーな食事だけではなく、豊富なサラダバー、スムージー、フレッシュジュースなども取り揃えているので、野菜不足になりがちな旅行中には嬉しいレストランです。
まさにローマ!地下には古代ローマの水道橋!
このリナシェンテのすごいところは、地下に古代ローマ時代の水道橋が通っているところです。アクアドット・ヴェルジネというこの水道橋は、今でもトレヴィの泉に水を運んでいる2000年以上も前のものです。
古代ローマの初代皇帝アウグスティヌスの時代に、皇帝の娘婿であったアグリッパが、パンテオン近くに建てた自身のテルマエに水を運ぶための目的で引いてきた水道橋。2013年に発掘されてから、考古学者たちによって調査が進められています。まさに遺跡の街。どこを掘っても出てくる遺跡に、古代ローマ帝国の上に生活しているということを実感させてくれます。
遺跡と最先端のモーダというコンビネーションも楽しい新しいリナシェンテ。このローマの新名所、一度足を運んでみることをお勧めします。
RINASCENTE ROMA VIA DELTRITONE
営業時間;9時30分~23時、年中無休
https://www.rinascente.it/rinascente/it/flagship-store/11115/roma-via-del-tritone/
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