代々の権力者の居城である大統領府クイリナーレ宮殿を訪ねる

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ローマ7つの丘のうち1番高いクイリナーレの丘にあるイタリア版ホワイトハウスというべきクイリナーレ宮殿(PALAZZO DEL QUIRINALE、パラッツォ・デル・クイリナーレ)。ローマ法王、イタリアを侵攻したナポレオン、イタリア統一したサヴォイア王家、その後はイタリア大統領まで、最高権力者は常にクイリナーレ宮殿を選んできたのです。現在も大統領府として使われているクイリナーレ宮殿ですが、じつは事前の予約をすれば見学が可能なのです。まだ日本人観光客は少ないけれど、イタリアの直近約400年間の歴史の中心であったクイリナーレ宮殿は一見の価値ありです。ぜひ訪れてみませんか?

3000年以上の歴史を誇るクイリナーレの丘

平地を好む日本と違い、高い丘の上に住むことを好んだイタリア人は、紀元前1200年ころの鉄器時代からテヴェレ河畔で一番高いクイリナーレの丘に歴史の足跡を残しています。古代ローマ時代からクイリナーレの丘は住宅地で、キリスト教を公認したコスタンティヌス帝による大浴場も建設され賑わった場所でした。ところがローマ帝国が崩壊する過程で蛮族によって水道橋が破壊されたために水の供給が絶たれた丘のうえは、住む人もなくなり中世を通して木々のみ生い茂る場所として放置されてしまいます。

中世になってキリスト教の都としてローマに人が増えてくると、クイリナーレの丘もコスタンティヌス帝の浴場などの古代の建築遺跡を利用した教会や邸宅などが建てられ始めます。現在のクイリナーレ宮殿は、ティヴォリにあるヴィッラ・デステの所有者であるデステ枢機卿の邸宅として建てられましたが、1587年シクスト5世が4ヘクタールもの美しい庭園のある邸宅を法王の夏の離宮として購入しました。その後、1592年にクレメンス7世がクイリナーレ宮殿に本格的に移り住み、法王の居城となったのです。

このローマの法王たちは、ジャン・ロレンツォ・ベルニーニをはじめドメニコ・フォンターナ、フラミニオ・ポンツォ、フェルディナンド・フーガなどの建築家や、グイド・レーニ、ピエトロ・ダ・コルトーナ、アントニオ・カラッチなどの芸術家により、当時超一流の人材を用いることにより広大なクイリナーレ宮殿を美しく造り上げていきました。また、ヨーロッパの大部分を占領することに成功したナポレオンも、ローマでの住居にはクイリナーレ宮殿を選び、約2年間をかけて自身のアパートメントを築きましたが、結局住むことのないままに失脚してしまいました。このナポレオンの部屋は一般公開されているので、眺めの良いフランス風の豪華な部屋を見ることができます。

サヴォイア王家からイタリア大統領へ

1870年に北イタリアのサヴォイア家がイタリア統一に成功したため法王はヴァチカンへ引きこもり、主のいなくなったクイリナーレ宮殿にサヴォイア一族が移ってきます。このイタリア王家はクイリナーレ宮殿の大部分をフランス風のネオ・ロココ式に改装し、イタリア中から豪華な宮殿にふさわしい絵画、家具や織物などを集めてきます。法王時代のものは一部しか残っていませんが、サヴォイア家のコレクションはほとんど残っていて、現在見学が可能です。

第二次世界大戦後、1946年国民投票により王政が廃止されたため、サヴォイア家のあとにイタリア共和国大統領の居住地となります。王制時代の調度品をそのまま使い続けるだけではなく、400年に及ぶ芸術品の修復にも力を入れています。また、2015年より積極的に一般への公開や美術展の開催などを行っています。特別な行事がない限り毎週日曜日、クイリナーレ広場で衛兵交代式を行います。10月から6月2日までは16時、6月3日から9月末日までは18時です。

サンピエトロを見つめるオベリスクのある広場

クイリナーレ宮殿の前に広がる開かれた空間、クイリナーレ広場(PIAZZA DEL QUIRINALE、ピアッツァ・デル・クイリナーレ)には、ひときわ目立つオベリスクのある芸術的な噴水があります。この、ベリスクは、アウグストゥス帝の霊廟前に置かれていた2本のオベリスクのうちの片割れで、ローマ帝国時代にローマで造られました。(もう1本はサンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂)。オベリスクの下の巨大な水盤は、フォロ・ロマーノの神殿(TEMPIO DI CASTORE E POLLUCE、テンピオ・ディ・カストル・エ・ポルス)跡にあったもので、18世紀にこの場所へ運ばれました。

この5メートルを超える巨大な双子と馬の彫像は、近くにあったコスタンティヌス帝の浴場跡から見つかったものを17世紀にこの場所へ移しました。この双子は水盤のあった神殿にちなんだカストールとポルクスというギリシア神話のゼウスとレダから生まれた双子で、ディオスクーリ(DIOSCURI)と呼ばれています。伝説によるとこの双子は共和制ローマ時代の戦闘時に、有能な騎手としてローマ側に立って戦いローマを勝利に導いたといわれていて、ローマのもう一つの双子伝説です。古代ローマ時代に造られた美しい彫像です。

スクデリエ・デル・クイリナーレ美術館

(LE SCUDERIE DEL QUIRINALE、レ・スクデリエ・デル・クイリナーレ)

クイリナーレ宮殿の斜め前に位置する国立美術館。1階と2階の展示スペースは約1500㎡という大きな美術館ですが、常設展はなく企画展のみ開催しています。この大規模な美術館の名称スクデリアとは、実は馬小屋を意味します。1722年から10年かけて建設された総面積3000㎡のクイリナーレ宮殿付属の法王専用の馬小屋だったのです。とても馬小屋とは思えないスケールに、法王の権力の強さを実感できます。

一番高いクイリナーレの丘に位置しているだけあって、総ガラス張りになっている2階のエレベーターからは、ローマ市街の一望が楽しめます。内部には展示会が開催されている時期のみ営業している本屋やカフェテリア、レストランが併設されています。興味深い企画展が多いので、おすすめの美術館です。

クイリナーレ宮殿を見学するには?

ヨーロッパでテロが頻発している現在、クイリナーレ宮殿もかなり安全対策に力を入れているので、必ず事前に予約が必要なうえ、見学者の氏名や生年月日などが必要です、当日は身分証明書の提示が義務付けられていて、予約データと照合確認されます。予約時間の30分前までに、到着することが必要です。また、見学は最大30人までのグループで、イタリア人のボランティアガイドの案内になります。予約は見学日の5日前まで、オンラインで。http://www.coopculture.it/en/events.cfm?id=334

コース1は、1階と2階分の案内で所要時間が約1時間20分。料金は予約手数料1.5EUROのみ。

コース2は、コース1に加え、陶磁器美術館、庭園、馬車博物館をめぐり所要時間は約2時間30分。料金は10EURO。

 

クイリナーレ宮殿(IL PALAZZO DEL QUIRINALE)

住所:PIAZZA DEL QUIRINALE(ピアッツァ・デル・クイリナーレ)

開館時間:9時30分~16時、

(月、木、12月19日~1月6日、6月2日、8月休み)

http://www.quirinale.it/

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