国立古典美術館バルベリーニ宮殿

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ローマの美術館といえばヴァチカン美術館やボルゲーゼ美術館が有名ですが、スペイン階段からもほど近い国立古典美術館バルベリーニ宮(GALLERIA NAZIONALE D’ARTE ANTICA PALAZZO BARBERINI、ガッレリーア・ナッツィオナーレ・ダルテ・アンティーカ・パラッツィオ・バルベリーニ)は、見逃せない珠玉のコレクションが揃っている隠れたおすすめ美術館です。有名な映画「ローマの休日」で、オードリー・ヘップバーン扮するアン王女が滞在し脱出する大使館として登場するバロック時代の優雅な建物、バルベリーニ宮殿についてご案内します。

 

ウルバヌス8世とバルベリーニ一族

 

国立の古典美術館として数々の名画を揃えているバルベリーニ宮殿は、もとはフィレンツェの裕福な商人だったバルベリーニ家の所有する建物でした。このトスカーナの一族がローマで有力な貴族となったのは、1623年にマッフェオ・ヴィンチェンツィオ・バルベリーニがローマ法王ウルバヌス8世(URBANO VIII、ウルバーノ・オッタ―ヴォ)に選出されたことに端を発します。

ローマ法王であるにも関わらずウルバヌス8世はその治世に置いて聖職者とは距離を置き、イタリアの悪しき風習ネポティズム(親族登用主義)を存分に発揮して、バルベリーニ家の親族を次々と重要なポストに登用し一族の勢力拡大に貢献したのです。

当時のヨーロッパはプロテスタントの反乱に端を発した三十年戦争の時期と重なりますが、ウルバヌス8世は聖職者というよりも政治家のような外交政策を行い、ローマ教皇領の領土を最大にした最後の法王です。また、文化の庇護にも熱心で、サン・ピエトロ寺院をはじめとしてローマのあちこちでバルベリーニ家の紋章である三匹の蜂の描かれた芸術作品を見ることができます。特にお気に入りの芸術家はベルニーニでした。

ウルバヌス8世はさながらイタリアにおけるルイ14世と例えられるほど強力な権力を手にしバロック時代のローマを輝かせましたが、彼の残した巨額な負債のためにローマ教会の弱体化を進める結果を導きました。また、地動説を唱えたガリレオ・ガリレイを異端の罪で糾弾したのもウルバヌス8世でした。

 

バロック建築の傑作、バルベリーニ宮殿

 

ウルバーノ8世は法王に選出された2年後、甥であるフランチェスコのためにクイリナーレの丘にあったスフォルツォ家の宮殿を買い取ります。当初は古い宮殿を取り壊し一族のために新しく建て直すはずでしたが、仕事を依頼した当時の一流建築家カルロ・マデルナが元の宮殿に翼面を付け加えるというプランを設計します。マデルノによって中庭を付けないH型の建物というそれまでとは全く新しいスタイルの建築様式となったバルベリーニ宮殿はバロック建築の傑作と称されています。

宮殿の完成を待たずしてマデルノが死去したため、バロック時代を代表する芸術家フランチェスコ・ボッロミーニ、ジャン・ロレンツォ・ベルニーニがその後の建築に携わり、それぞれボロミーニが窓などの細部の装飾、続いてジャン・ロレンツォ・ベルニーニが建物正面の装飾に主に担当し1633年に完成しました。

宮殿内部にはボッロミーニの美しい楕円形のらせん階段を始め、数々の当代一流の芸術家が手掛けた美しい作品で飾られていて、それだけでも美術館の価値の高い建物です。2階のロビーにあるベルニーニが手掛けた「ウルバヌス8世の胸像」も見逃せません。

1955年までバルベリーニ家の子孫がこの宮殿に住んでいましたが、イタリア政府が購入し国立美術館として一般公開しています。

 

天井画の傑作、コルトーナの大広間

 

このバルベリーニ宮殿は美術品を展示しているほとんどの部屋が、美しい天井画が飾られているので、天井も忘れずにチェックしましょう。その中でも特に美術史上最も有名なピエトロ・ダ・コルトーナ(PIETRO DA CORTONA)の大広間があります。

幅15m奥行25mもある巨大な天井画は、まるで天井に青空が開けていて無限にどこまでも広がる空間に登場人物たちが浮遊しているかのような壮大な幻覚効果で描かれています。どこまでが建築でどこからが絵画であるかがわからないローマのバロック時代を代表する作品は、写真では表すことが不可能な躍動感にあふれた傑作です。ローマ法王ウルバヌス8世の治世を讃える「神の摂理の勝利」(TRIONFO DELLA DIVINA PROVVIDENZA)と題されたこの作品は、バルベリーニ家の紋章である3匹の蜂が空を舞っています。天井画を横になって見れるように大広間にはソファが置かれているので探してみてください。

このほかにもピエトロ・ダ・コルトーナがフレスコ画を手掛けた礼拝堂やアンドレア・サッキ(ANDREA SACCHI)作の「神の英知の寓意」(ALLEGORIA DIELLA DIVINA SAPIENZA)の天井画もお見逃しなく。

 

美術館のおすすめ名画

 

バルベリーニ美術館は、数々のローマ法王を排出した由緒あるローマの貴族コルシー二家、コロンナ家、キージ家、そしてバルベリーニ家の所有していた美術コレクションを揃えた超一流の美術館です。

1階は中世のキリストの磔刑図や聖母像などの宗教画から始まり、フィリッポ・リッピの「受胎告知と寄進者」やロレンツォ・ロットの「若い男性像」などが展示されています。

2階には、ラファエッロの「フォルナリーナ」、カラヴァッジョの「ホロフェネスの首を斬るユディト」、「ナルシス」、ハンス・ホルバインの「ヘンリー8世の肖像画」、ティツィアーノの「狩りに出かけるヴィーナスとアドニス」、ティントレットの「キリストと姦淫でとらえられた女」、グイド・レーニの「ベアトリーチェ・の肖像」、グエルチーノの「手紙に封をして懺悔する聖ヒエロニムス」「われ、アルカディアにありき」、エル・グレコの「羊飼いの礼拝」、ソドマの「サビーナ族の略奪」など、数えきれないほどの名画が並んでいます。

3階にある1700年代のアパートメントには、カナレットの「ヴェネツィアの風景画」、ヴァンピテッリの「ローマの田舎の風景画」、ジャン・オノレ・フラゴナール、フランソワ・ブシューの作品も見ることができます。

 

イタリア庭園とミトラ教地下遺跡

 

バルベリーニ宮殿は、正面入り口に面した大きな噴水のある前庭だけではなく、建物の中央部から奥へ向かって進むと、建物後部にはイタリア様式庭園が広がっています。17世紀には大公園のようだった庭園は、現在ではかなり縮小されていますが、オレンジなどの木が植えられている緑の空間を散策することができるので、晴れた日にはぜひ絵画鑑賞の後に立ち寄ることをお勧めします。

1936年に行われた工事で、偶然宮殿後部の庭園に面した側の地下に2~3世紀頃のミトラ教神殿の遺跡が発見されました。ミトラ教は古代ペルシアに起源を持つ太陽神で、キリスト教が公認される前のローマ帝政期に発展した古代の宗教で、ローマにもかなりの数の信者がいたと言われています。この地下遺跡もイタリア語のガイド案内付きで見学が可能です。

 

 

国立古典絵画美術館バルベリーニ宮(GALLERIA NAZIONALE D’ARTE ANTICA PALAZZO BARBERINI )

住所:VIA DELLE QUATTRO FONTANE 13

開館時間:8時30分~19時(チケット売り場18時まで)、月曜休み

料金:7EURO

バルベリーニ宮殿の地下遺跡(MITREO DI PALAZZO BARERINI

住所:VIA DELLE QUATTRO FONTANE 13

開館時間:第2、第4土曜日、10時~(所要時間1時間、イタリア語のガイド案内付)

料金:5.5EURO(別途、予約料2EURO)

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