出産は妊娠の終わり、そして育児の始まりです。
出産が終わり休む間もなく母親業が始まったのですが、長男を出産したときは何もかもわからないことだらけでした。入院していたのは2日だけでしたが、その間に病院の助産師さん達には大変お世話になりました。
親子同室の病室
ドイツの病院は新生児に問題がない場合は親子同室です。母親が寝ているベッドの隣に新生児が寝るベッドが置かれ、片時も離れない状況です。ただあまりにも母親が疲れている場合は赤ちゃんを助産師さんに預けることもできます。
次男を出産した時は「生まれたばかりの赤ちゃんを不安にさせないために、母親の温もりの中にいさせてあげて」と言われ、新生児用ベッドすら使いませんでした。次男はおむつをつけただけの裸の状態で、私のベッドの中で私が体を温めながら1日目を過ごしました。そのおかげもあり、とてもよく寝てくれました。
出産後はやることが山積み
まったく気づいていませんでしたが、出産後の入院中に子供の出生届はいつの間にか主人が提出してくれていたようです。ドイツの病院では出生届の申請書が置いてあるところが多いです。
下の写真は病院内にある表示です。上から二番目が出生届の受付所です。矢印の方向に進んでみます。
矢印の方向に進むと、待合室に出ました。ここで受付番号を申し込みます。写真下の機械の表示を見てみましょう。
下の写真の表示が出ます。ここで上から3番目のGeburten Meldestelle を選択します。
するとこのような表示が出ました。受付番号はG9、待ち時間は0分です。青色の部分Ticket Druckenを押すと、受付番号が印刷された紙が出てきます。
生後1週間内に出生届
一部例外もありますが、ドイツでは生後1週間内に出生届を出さなくてはなりません。期間が短いので、子供の名前は事前に考えておかなければならないですね。一つに決められず、いくつか候補を考えておき、実際に生まれた子供を見て子供に合った名前をつけている方も結構いらっしゃるようです。
必要な書類は以下の通りです。
結婚している両親の子供
1.子供の両親のパスポート(外国人の場合は滞在許可証があることが必要)
2.出産した病院が発行する出生証明書
3.両親の出生証明書
4.婚姻証明書
結婚していない両親の子供
1.パスポート
2.母親の出生証明書
3.(ある場合は)父親の認知
上記の書類に加えて、必要事項を記入した申請書を用意しなければなりませんが、これは大半の病院に用意されています。
とても重要:ハーフの子供が日本国籍を申請できるのは生後3か月まで
ドイツでは国籍法が改正され、現在では次の条件を満たしていればドイツで生まれた子供はドイツ国籍を取得できます。
その条件とは両親のどちらかかがドイツ国籍を持っている場合、あるいは両親のどちらかがドイツの永住権を持っている場合です。この条件を満たせば、ドイツで生まれた子供は自動的にドイツ国籍を取得できます。
もう一方の親が日本国籍を持っている場合、日本国籍も取得する事が出来ます。申請は国内の在外公館でできます。しかし期間は生まれた日を含めた生後3ヶ月までに限定されています。
下記のリンクの所定のフォーマットに必要事項を記入した出生届を二通、ドイツ語版の出生届、和訳(本人の翻訳でOK)を郵送で送る又は直接在外公館まで行って提出します。
ドイツ国籍(または日本以外の国の国籍)をすでに取得している場合は、この期間を過ぎてしまうと日本国籍は取れなくなりますのでくれぐれもご注意下さい。
https://www.muenchen.de.emb-japan.go.jp/jp/konsularisches/Todoke/Shussei%20todoke/shussei%20index.htm
名前はどうしよう?
ドイツではセカンドネームもつけられます
妊娠中に生まれてくる子供にどんな名前をつけるか考えるのは楽しいものです。ドイツではファーストネーム以外にセカンドネームをつけることもできます。一応、サードネーム以上もつけられるそうですが、長すぎるのもちょっと大変かもしれないですね。
私の子供は日本とドイツのハーフなのでファーストネームにドイツ名、セカンドネームに漢字で書ける日本名をつけています。とはいえセカンドネームはほぼシンボリックなもので、この名前で呼ばれることはまずありません。子供自身が混乱しないように、日本の親せきやお友達からもファーストネームで呼んでもらうことにしています。
名前を考える時には、長すぎず、書きやすく、日本人にも発音しやすくて、キラキラネームでないことを条件につけました。
セカンドネームもある場合、日本のパスポートには姓名の名の欄に両方の名前がつなげて記載されます。
ドイツで人気の名前とは?
ドイツで人気の名前のサイトがあるのでご紹介しましょう。毎年更新されるのですが、人気の名前は毎年少しずつ違っています。
例えば今年(2019年4月まで)の場合ですが、男の子の名前で人気なのは
1位Eliasエリアス 、2位Samuelサミュエル 、3位Julianユリアン、4位 Noahノア 、5位Linusリーヌス、6位 Alexanderアレキサンダー です。
女の子では1位Juliaユリア、2位Sarahザラ、3位Lauraラウラ、4位Leaレア、5位Linaリナ、6位Milaミラです。
どの名前も子供が通っている小学校で一度は聞いたことがある名前です。人気の名前であるのがよくわかります。
医療保険をチェックしましょう!ベビーボーナスがあるかも
医療保険によってはベビーボーナスというサービスがある会社があります。
これについては次男を妊娠している時に医療保険に電話する事があり、たまたま知りました。生まれた子供が母親と同じ医療保険に加入すれば、保険会社からはお金がもらえるのです。ただし一定の条件を満たす必要があります。
私が加入している公的医療保険では母親が出産準備コースに参加すること、生まれた子供が一定の月齢になるまで(確か半年だったと思います)検診を受けている事、その際に法律で推奨されている予防接種を受けている事でした。支給されたのは2013年時点で160ユーロでした。現在は200ユーロ近く支払われるそうです。
ただし、全ての医療保険にあるサービスではありません。ご自分が加入している会社に各自問い合わせてみてください。
児童手当の申請をわすれないでね
ドイツは児童手当の制度が充実しています。私は子供が二人いますが、月額388ユーロ支給されています。現在のレートは1ユーロ125円くらいですので、日本円では子供一人当たり月額2万4250円くらい国からお金が支給されます。
調べたところ、2019年の6月からはこの額がさらに引き上げられ、第一子、第二子は月額194ユーロ支給されます。第三子は200ユーロ、それ以上は225ユーロとなるそうです。
申請はちょっとややこしいです。何しろ、申請書に記入しなければならない事項がとても多いのです。でも申請がちゃんと通れば、毎月決まった時期に定額が振り込まれます。
原則的には子供が18歳になるまで毎月払われます。18歳を過ぎて子供が大学に通っている場合、また職業訓練などを行っている場合は25歳まで支給されます。
実際の育児費はこれ以上かかるとはいえ、大変有難い制度です。ドイツに住んでいる子供の保護者はこの手当を受けられます。
以下のリンクに詳細が出ています。
https://www.arbeitsagentur.de/familie-und-kinder/kindergeldantrag-online-bei-geburt
https://www.berlin.de/sen/jugend/familie-und-kinder/finanzielle-leistungen/kindergeld/
出産後コースにも参加しよう
出産後、体の不調を唱えるお母さんはいっぱいいますが、出産後コースへの参加をおすすめします。産後の骨盤矯正をするためのコースで、子連れで参加できます。
私は子供が月齢3か月くらいの時に参加しました。ずっとお世話になった助産師さんが産後コースも受け持っていたので、彼女のコースに参加しました。
休憩の時間にお茶を飲みながら他のお母さん達といろいろと交流でき、とても有意義な時間を過ごすことができました。「私だけではない、みんな大変な思いをしながら育児をしているのだ」と知ることができ、とても安心しました。このような交流の場所があると孤立しないですむので母親にはとてもありがたいです。
通常、このコースも医療保険で支払われます。
こんな風に親子で参加できます。
キンダーカフェに行ってみよう
キンダーカフェとは子供が遊べるカフェです。キッズスペース付のカフェはお母さんがメインですが、キンダーカフェは遊べるスペースがメインで、お母さんはそれを見守りながらお茶をしながら一息つける所です。
インターネットKindercaféでと検索すれば、近所で何箇所かヒットすると思います。ベルリンの場合は以下のリンクのような感じです。
https://www.top10berlin.de/de/cat/familie-275/kindercafes-1263
また新しいママ友に出会ったり、情報交換の場としても大いに活用出来ます。
レストラン
スペースに余裕があり、なおかつ超高級レストランでない限り、バギーで入店するのは基本的にオーケーです。
郊外に行くとレストランのお庭にちょっとした遊具があるレストランがよくありますが、お天気の良い日はおすすめです。
ただ子連れで入った場合でも基本的なマナーは必ず守りましょう。
子供が大声で泣いたり叫び出したりしたら、落ち着くまで外に出るなどして、他のお客さんの迷惑にならないように心がける事は必要なのではと私は思っています。
出産に関する現在の保険制度など
最後に、医療保険制度に関することでこれまでに書ききれなかったことを記します。
不妊治療は3回まで保険でカバーされます
日本と同様にドイツでも不妊治療で出産される人は多くなっています。その背景には医療保険でカバーされることも関係しているようです。
公的医療保険の場合は、不妊治療は3回まで保険でカバーされます。ただし医師が治療を必要と認めた場合に限ります。また年齢制限もあります。女性は25歳から40歳まで、男性は50歳まででそれ以外の年齢の方は自己負担となります。
https://www.krankenkassen.de/gesetzliche-krankenkassen/leistungen-gesetzliche-krankenkassen/gesetzlich-vorgeschriebene-leistungen/neue-leistungen/kuenstliche-befruchtung/
他、現在の健康大臣が改革を進めています
その一つが、助産師になる条件を厳格化させるというものです。これまではいわゆる中卒の資格があれば助産師の職業訓練を受けられたのですが、今後は高卒の資格が必要となるようです。
また大学で専門の勉強をすることが義務付けられる方針だそうです。具体的には一般的な医療の知識、薬学、産婦人科や出産に関する勉強をするようです。
メディアによると「医者や看護師と同等な立場になれるから良い」と賛成する声もあれば「助産師は学術的な勉強でなく、実践が何よりだ」と反対の声もあるようです。
最後に:ドイツで仕事をしている女性に知っておいてほしいこと
妊娠が発覚したら、迷わず会社に報告しよう
出生率が下がってきた背景には、核家族化が進んだことや女性の社会進出があります。女性にとって家庭と仕事の両立が難しいのはドイツも日本も同じですが、ドイツでは法的整備がある程度整ってきたと思います。
ドイツの労働保護法では「妊娠したことが理由で解雇する」は禁じられており、一般に「勤め先で女性が妊娠を報告した場合、解雇されない」と考えているが多いようです。また採用面接で「妊娠しているか否か」を聞くことも禁じられているそうです。
もっともこの法律には例外規定があります。被雇用者数が一定以上の人数でないといけないなど、ある程度規模が大きくないと適用されないようにできています。小規模の会社では従業員数が一人減ると、企業活動にも大きく影響するためだそうです。
母親保護期間
出産予定日の6週間前から出産後8週間までを母親保護期間といい、被雇用者である妊娠中の女性は仕事をすることを禁じられています。これは母親となる女性の体を保護するためです。その間、雇用主は給与を全額支払う義務があります。一般に給与は被雇用者が加盟する医療保険会社が払うそうで、雇用主の負担は無いそうです。
とても細かい話なのですが、ドイツでは正規雇用で働いている被雇用者と正規雇用でなくフリーランスとして働いている人の権利がずいぶんと違い、被雇用者の方がずっと優遇されています。
母親保護期間の制度ですが、以前はフリーランサーには適用されていませんでした。私の周囲では出産日の当日まで仕事をしていたという人すらいます。
しかし2018年に制度が変わり、現在ではフリーランサーにも母親保護期間が適用されるようになっています。
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