ドイツに一定期間滞在することになったとき、何よりも気になるのは住むところです。出張などで滞在期間が短い場合は比較的見つかりやすいかもしれませんが、不動産会社との契約なんてハードルが高い!と思われるかもしれません。
ここでは短期滞在、長期滞在の場合に分けて、それぞれに適した住まいについてお伝えします。
短期で滞在される場合
ホテル
旅行者も出張者も、あるいは長期間住むことになった人も、滞在する市内にあるホテルを利用するのが一番手っ取り早いといえます。日本語サイトもあり、わかりやすいのはやはりブッキングコム (www.booking.com) ではないでしょうか。
滞在都市と宿泊期間や人数を入力すれば、空き室のある部屋が即座に表示されます。都心部までの距離や地図、ホテルの施設などについても詳細も記載されています。また利用者の評価も出ているので、予約する時には大いに役立ちます。
他にはドイツではHRSサイト(www.hrs.de )も比較的利用者が多いですが、こちらは日本語サイトがないので少々使いづらいかもしれません。以前は出張などに行く際によくこのサイトから予約していましたが、予約を急に変更する際に電話での対応が良かった印象があります。
ベルリン中央駅です。どの都市でも中央駅の付近に位置するホテルは便利ですね。
ウィークリー(マンスリー)マンション
ドイツ語ではFerienwohnungという言い方をすることが多いと思いますが、簡単に言うと家具付きアパートです。Ferienwohnungはリゾートマンションの意味で使われることが多く、バカンスに行く人が長期間(多くは1週間単位から)滞在することが多いです。でも大都会の中にも多くあり、一般の住まいを貸し出していることが多いです。
以下がその検索サイトです。
www.fewo-direkt.de
滞在先に希望の都市名を入力すると、写真付きで表示されます。(写真はベルリンの場合)
ルームシェア
不動産会社を通さないためここに記しますが、ルームシェアはどちらかというと長期滞在のタイプに入るのかもしれないです。ルームシェア(ドイツ語ではWG、ヴェーゲー、 Wohnungsgemeinschaftの略)はドイツではかなり普及しています。家賃を低く抑えられるので利用者は学生などが多いです。
何部屋もある大きなアパートを友達とシェアし、バスルームとキッチンは共同で使い、家賃は部屋の広さに応じて分担して払います。小さいアパートでは2人、大きいものでは6人くらいのWGもあります。生活パターンも様々。朝ごはんを一緒に食べたり、毎週末の夜は一緒にご飯を食べたりする所もあれば、まったく別生活を送る所もあります。
ただ共同生活をするにあたっては、ある程度気が合わないと難しいため、友人を通じての紹介や入居するために簡単な面接のようなものをしたりするケースが多いです。
長期滞在の場合
短期滞在と長期滞在の違いとは?
ドイツでは3か月間までは滞在権がなくても、旅行者のステイタス(旅行ビザ)で滞在できます。そのあとはEU圏外に出なくてはなりませんが、1年間に合計で6か月まで旅行ビザでドイツに滞在できます。ここでは3か月以上の滞在を長期としましょう。
滞在期間が連続して3か月を超える場合はビザが必要になりますが、不動産を通して家を借りる場合はビザを持っている事は必須条件です。
ビザ取得については各市の外国人局 (Ausländerbehörde) に問い合わせましょう。首都ベルリンでは外国人局でのアポを取るだけで何か月も待たされるなどというケースもあるそうです。時間に余裕をもって早め早めに準備したいものです。
https://www.berlin.de/labo/willkommen-in-berlin/aufenthalt/
家を見つけよう
さあ、それではいよいよ家の見つけ方についてお伝えしましょう。
首都ベルリンはここ数年間に土地が高騰しており、それに応じて家賃も急速に高くなっています。ドイツのメディアによるとここ数年間で1.5倍くらいほど家賃が高くなっている物件が多いそうです。またベルリンに移り住む人が増えているため、住居を見つけるのはかなり難しくなっているようです。
ベルリンの市内はこのように建築ラッシュです。どこもかしこも工事現場ばかり。
最近建てられた物件についてはほぼエレベーターが完備されていますが、築100年以上の旧建築(アルトバウ)には階段しかないこともあります。
サイト
住居を見つけるときにかなり利用されているサイトのリンクを以下にお伝えします。
検索の仕方はほとんどどれも同じです。住みたい都市名、探している住居の広さ、部屋数、家賃の上限(下限)を入力し、エンターを押せば条件に適った住居が表示されます。連絡先にあるメールや携帯で連絡を取り、下見に行くというパターンです。
検索条件をもっと絞り込むこともできます。バルコニー付き、地下室付き、建築のタイプ(旧建築、新建築)、通りの表沿いの住居か否か、最上階などの項目をさらに入力できます。
https://www.immowelt.de/suche/wohnungen/mieten
https://www.immobilienscout24.de/
新聞など
今ではネットが主流ですが、各都市の地元紙やフリーペーパーには不動産Immobilien の欄があります。通常は週末に掲載されることが多いです。
知り合いの紹介、日本人がオーナーである物件など
手っ取り早いのは知り合いの伝手で物件を紹介してもらうことです。
ドイツ語がネイティブのドイツ人を相手に住居を見つけるのは、容易ではありません。そんな時に便利なのがオーナーさんや大家さんが日本人の住居です。住んでいて困ったことがあったら、日本語で何でも聞けるというのも大きな利点です。
ただし許認可の範疇外で貸している住居もあるそうで、その場合は住民登録ができません。日本人だからといって安心せず、入居する前に「この住所で住民登録ができるか」をきちんと確認することが大切です。
借主のステイタス(HauptmieterとUntermieter)
大家と直接賃貸契約を結んでいる人はHauptmieter(ハウプトミーター)といい、そのHauptmieterから借りて入居した人はUntermieter(ウンターミーター)といいます。どちらも借主であることには違いはないのですが、借主としての権利は以下のように異なります。
賃貸契約を解約する場合、通常Hauptmieter は家を出る日の3か月前までに書面でそれを伝えなければなりません(契約書によっては2か月や1か月の物件もあります)が、Untermieterにはこのような規約はありません。
Untermieterがさらに誰かにまた貸しすることは禁じられています。
Hauptmieterに家を出てもらうことが許されるのは、大家が自分でその住居に住む場合のみですが、Untermieterには通常、一か月前に通告すれば家を出てもらうことができます。
不動産を見に行く
気に入った物件を見つけたら、仲介業者に連絡を取った後に電話やメールで物件を見に行く日を伝えられます。
そうはいっても、人気のある物件で自分を選んでもらうにはどうすれば良いでしょうか?
決定基準
ガックリすることを言ってしまうかもしれませんが、ドイツ人が殺到する人気のある物件で滞在期間が限定されている日本人が選ばれることはあまりありません。「滞在期間が数年だから」、「トラブルがあった時にドイツ語が流暢でないと難しい」などが理由のようです。
ただ日本人であることの利点もあります。「日本人は綺麗に家を使ってくれる」「きちんとした収入源がある」「ずるをしない」などのイメージを持っている人が選んでくれることもあります。
気に入った物件を見に行くと何人ものライバルが見に来ていてがっくりしますが、あきらめないで何度もトライしてみてください。私の知り合いは、「大家や管理会社に何度も連絡を取り、押しに押しまくって無事に入居できた」と言っていました。
期間限定の物件
もし滞在期間が数年と最初から決まっている場合、期間限定で貸し出している物件を探すのは一つの手です。海外赴任などで特定の期間、家を空ける人が空き家となった家を貸し出しているケースもけっこうあります。このタイプの物件に殺到することは無いので、貸し出している期間が合致するのであればおススメです。
解約期限が短い物件
先に家を出る時の解約期間は3か月前と書きましたが、物件によっては2か月、1か月前というものもあります。
その分、家賃は高めに設定されているのですが、払える範囲内であるならばこのような物件を狙うのは良いかもしれません。
いよいよ、賃貸契約へ
住む家が無事決まったら、次には賃貸契約を交わしましょう。必要な書類は身分証明書と収入証明書になります。また家賃を引き落としにする場合は、銀行口座情報も必要になります。
因みに銀行口座を開設する際にも、パスポート、ビザ、収入証明書が必要になります。
日本人の場合、身分証明書はパスポートになるのですが、この時に一定期間ドイツに滞在することを証明するために、滞在ビザを提示する必要があります。
賃貸契約はきちんと読もう
入居後のトラブルを避けるために、賃貸契約書をきちんと読んだうえで署名することは大切です。通常はドイツ語の契約書なので、理解困難な場合は誰かの助けを借りて読むのが良いと思います。
入居したら、万が一のためにアパート内の避難経路をあらかじめチェックしておきましょう。
入居する時は敷金 3ヶ月分と礼金を払う
入居の際には日本と同様に、敷金と礼金を払います。一般的に敷金は共益費や管理費を含まない家賃の3か月分で礼金は1か月分です。仲介業者を通さない場合、礼金は不要です。
敷金は家を出る際に入居期間中の修繕費や改装費などを差し引いた金額が、タイムラグをおいて返金されます。数か月近く経って返金される場合もあります。
家賃を払う
ドイツの家賃は以下のように設定されています。
Warmmiete:住居費に加えて暖房費、共益費、管理費を含んだ家賃。ここに水道料金が含まれていることが多い。
Kaltmiete:住居費のみ
暖房費、共益費、管理費は住んでいる人がどれだけ消費したか、またはその年にどれだけ暖房を使ったかによって金額が変わってきます。そのため最初に凡その金額で設定し、一年が過ぎたら管理会社が支払った分と実際に消費した分の金額を調整します。その通知が来るのは次の年の半ばから終わりにかけてのことが多いです。
その結果、使った分が多ければ不足分の家賃を払い、逆に少ない場合は家賃が戻ってきます。Warmmieteが含む範囲が広いので、次の項目、光熱費関連の記事で詳細を述べることにします。
家賃を滞納すると:何か月も滞納すると訴訟に
家賃を滞納していると督促状が届く上に催促料金が徴収されます。一定期間、滞納すると裁判で提訴されますので、家賃はきちんと期日までに払うようにしましょう。
家賃の期日を守るためには、銀行の自動引き落としシステムがおすすめです。残高を確かめさえすれば、安心ですね。
住むときのルール
近所の人に迷惑をかけないように騒音には注意しましょう。楽器は弾くのが許されている時間帯は普通は朝は9時以降、夜は8時までのことが多いです。
また日本人の感覚だと焼き魚などを食べたくなりますが、ドイツの食文化はいたってシンプルで、夕ご飯は火を使わないkaltes Essen(カルテス・エッセン。冷たい食事の意味。パンにチーズやハムなどを載せて食べる)が多いです。夜に煙がもくもく出るようなにおいの強い料理すると、びっくりされるかもしれません。
簡単な食事でもテーブルデコレーションにこだわれば、ぐんとお洒落になります。
パン屋で売っているバゲットサンドイッチ、または自宅でパンにチーズやハムを載せてオープンサンドを作り、夕飯を済ませてしまうのがドイツ式カルテス・エッセンです。
解約する時は
前述しましたが、家を出る際には3ヶ月前に管理会社(大家)に書面で伝えなくてはなりません。また原状回復が原則とされ、経年劣化による壁の汚れなどを綺麗にして引き渡さなくてはなりません。これらは管理会社が業者に依頼し、その代金を敷金から払うことが多いようです。
Eigenebedarf(家主が自分の持ち家に住むこと)
すでに述べましたが、住居の持ち主が家に住む場合、そこを借りて住んでいる人は家を出なくてはなりません。
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