ドイツというと何を連想しますか?
ビール、ソーセージ、ベートーベン、ナチスドイツの黒い歴史などなど色々あると思いますが、今回はソーセージについてお伝えします。
ドイツと言うとフランクフルトのソーセージなどを連想する人がいらっしゃると思いますが、実際にドイツ人は本当にそんなにソーセージを食べているのでしょうか?
結論から申し上げますと、これはイエスと言えると思います。
統計でみるとドイツでは肉の消費量が多く、中でもソーセージなどの加工肉の消費率が高いのですが、これは住んでみるとよくわかります。
ドイツに住んでいて驚かされるのは、ソーセージの種類の多さです。地域によって味も形も違うソーセージがあるのですが、どれもとても美味しいです。スーパーにはありとあらゆる種類のソーセージが並び、街角にはソーセージを売っているお店が必ずあります。
ドイツ人はどれくらいソーセージを食べているのか?
2017年の統計ですが、ドイツ人が加工肉(ソーセージ、ベーコン、ハム)を消費する量は 年間一人当たり29.4キログラムだそうです。単純に計算する一日に80グラム以上食べていることになります。
ソーセージの歴史
ところでソーセージはいつ頃からあるのでしょうか?
中世の頃かと思っていたのですが、どうやらもっと歴史は長いようで紀元前8世紀の頃からソーセージの原型といえるものがあったようです。
古代ギリシアの詩人、ホメロスの作品であるオデュッセイアには「山羊の胃袋に血と脂身を詰めた兵士の携行食」という描写があるそうです。ドイツ人が属するゲルマン民族は狩猟民族ですから、狩猟をする際にはこのようなソーセージを携帯して山の中を移動していたのかもしれません。
ソーセージとドイツの結びつき
ドイツ以外にもハンガリーやポーランドなどのソーセージも美味しいのですが、ソーセージというとやはりドイツのイメージが強いようです。
なぜドイツではソーセージの加工肉の食文化が発達したのでしょうか?
ドイツの土地は昔、とても痩せていたそうで作物があまり育たなかったそうです。雑草ばかり生えてくる土地を有効に使うため、雑草を食べる動物を家畜として飼うようになったのです。牛は牛乳やチーズを作るために必要なので牛肉ではなく、繁殖力の強い豚を食材として使うようになったそうです。
ドイツの冬は長く寒く、冬は豚の飼料である雑草も枯れてしまいます。そのため冬が来る前に豚をとさつして様々な部位を燻製などにして保存し、冬の間はこの保存食を食べていました。こうしてできたのがソーセージやサラミです。
つまり、ドイツの厳しい気候条件が美味しいソーセージを造り出すきっかけになったといえます。
ドイツの主なソーセージ
日本でソーセージというとフランクフルトやウインナーを思い浮かべるかもしれませんが、ドイツではすべてWurst(ヴルスト)と呼ばれています。
因みにこのWuの発音はヴになりますが、この発音をはっきり言わないとBürste(ブラシ)と聞こえてしまいます。スーパーで「Wurstはどこにありますか?」と聞いたのが「ブラシ」と聞こえてしまったようで、「はっ?」という態度を取られたことが何度かあります。
フランクフルトもウインナーも町の名前からつけられた
話を元に戻しましょう。日本のフランクフルトはフランクフルトの町のソーセージ、Frankfurter (フランクフルター)に由来するものです。またウィンナーとはオーストリアのウィーンのソーセージ、 Wienerに由来するもので、ソーセージが作られた町の名前がもとになっています。
向かって左はウインナー、右はレバーブルストというソーセージです。
他にもチューリンゲン地方のチューリンガー、ニュルンベルクのニュルンベルガーという名称でその土地の名前がソーセージの名前になっているものが多いです。
焼いたりゆでたりなど調理の仕方はソーセージによって様々です。また口に入れた時の食感もパリッとしていたり、肉汁がいっぱい出てくるものなど、種類によってすべて異なります。
ドイツのソーセージの種類は1500種類!
ドイツにはソーセージの種類がなんと1500種類もあるそうです。ドイツはやはりソーセージ大国だなと思わされます。
長い間ドイツに住んでいる私ですが、これまでに食べた種類はせいぜい20種類くらいのように感じます。1500種類もあるのであれば、もっと試してみなくてはと思います。
とあるスーパーのソーセージコーナーです。多数の商品が置かれているのがおわかりになるでしょうか。
その主な種類をここで紹介しましょう。
ソーセージの種類は大別すると3つに分かれますが、これはソーセージの生成過程で分けられ、加熱ソーセージとドライソーセージ、調理ソーセージに大別できます。
加熱ソーセージ
加熱ソーセージは、原料である豚肉や牛肉を煮たり焼くなど加熱して作るソーセージです。このタイプは種類も多く、肉製品全体の3分の1がこの加熱ソーセージに該当するそうです。以下、主な製品を紹介しましょう。
Bockwurst (ボックヴルスト)
ベルリンの軽食店で必ず売っているのが、Bockwurst(ボックヴルスト)という粗びきソーセージです。色はオレンジ色で太く、一本食べるだけでおなかがいっぱいになります。家で食べる時は沸騰したお湯にさっと茹でて食べます。
ウィキペディアで調べたところ、このソーセージが初めて売られるようになった居酒屋として知られるJACK’S AND LEWISはベルリンに今でもあるようです。
Frankfurter (フランクフルター)
他には日本でフランクフルトとして知られている、フランクフルターです。焼いて食べることもできますが、数分間茹でると皮がパリッとして噛むと肉汁が口に広がって美味しいです。
先に紹介したボックヴルストと見た目が似ているのですが、製造の仕方と材料が違います。
Weißwurst (ヴァイスウルスト)
他には白ソーセージも過熱ソーセージのカテゴリーに入ります。日本ではあまり知名度が無いですが、ミュンヘンの名物です。名前の通り色が白くとても柔らかいです。原料は仔牛肉と豚の脂身や香辛料で食べる際には皮をむき、甘めのマスタードをつけて食べます。
ソーセージというよりはやわらかいミートローフのような食感です。ミュンヘンの人たちが誇る名物ではありますが、味も食感もいわゆるソーセージとはかけはなれているので、私はあまり好きではありません。白ソーセージは朝に食べる食材でブレッツェルというパンと一緒に食べます。
Bratwurst
Bratとは焼くという意味なので焼きソーセージの意味かと思っていたのですが、元々の語源はBrät(脂肪分の少ない豚ひき肉)からきているそうです。
街角のスタンドで販売されているホットドッグや焼きソーセージはほとんどこの種類のソーセージです。代表的なものはテューリンガーThüringer Rostbratwurstとニュルンベルガー
Nürnberger Rostbratwurstでどちらも油で表面をカリッと焼いて食べるととても美味しいです。
Bierwurst (ビアヴルスト)
Bierとはビールの事なので原料にビールが使われているのかと思っていたのですが、ビールにとても合うソーセージということでこの名前がつけられたそうです。塩漬けにした豚肉と脂身を合わせて作られた太いのソーセージで薄く切って食べます。
ドライソーセージ
こちらは加熱せず低温で乾燥、熟成したり燻製して作られたものです。パンなどに塗って食べるスプレッドタイプと普通に食べるタイプに分かれます。加熱ソーセージに次いでドイツ人がよく食べています。サラミはこのタイプに属します。
胡椒などの香辛料で味が付いており、スプレッドタイプには玉ねぎが入っているものが多いです。生肉に近い食感があり、私はあまり好きになれませんがドイツでの人気は高いようです。
Mettwurst (メットヴルスト)
Mettとは脂肪分の無い挽肉という意味で、胡椒や玉ねぎと混ぜられたスプレッドタイプがメジャーだと思われます。
サラミ
ドイツのサラミは脂分がたっぷりで塩味が強いです。食べ応えがあり、ビールのつまみなどにはぴったりです。
調理ソーセージ
調理した肉やレバーなどを腸詰にしたソーセージです。
Leberwurst (レバーヴルスト)
名前の通り、豚や牛のレバーに内蔵を混ぜ様々な調味料を混ぜて作ったもので、パンに塗って食べます。
Blutwurst (ブルットヴルスト)
Blutとは血の意味で、日本語に訳すと血のソーセージです。豚の血が入っているので、色が赤黒く濃厚な味です。人によって好みは色々あると思いますが、私はどうしてもこのソーセージは食べられません。
ソーセージの美味しい食べ方とは?
ドイツを旅行する事があったら、ぜひ一度はドイツのソーセージを食べてほしいものです。
ソーセージの種類自体は地域色が高いですが、食べ方はどの町も同じような感じで次のようなところで食べられます。
屋台や街角のスタンドで食べる
クリスマスマーケットやお祭りなどでは必ず見かけるのがソーセージのスタンドです。
ジュージューと音を立てて炭火で焼かれたあつあつのソーセージを食べると最高です。暑い日にはこれによく冷えたビールがよく合います。
また街角ではホットドッグがよく売られています。ブロートヒエンという小さな丸いパンに長いソーセージを挟み、ケチャップかマスタードをつけて食べます。
バーベキューの定番アイテム
ドイツの家庭では庭や広めのテラスやバルコニーでもバーベキューをすることが多いです。ホットプレートで焼いても良いですが、炭火で少しだけ焦げ目をつけて食べるととても美味しいです。
オーブンやフライパンでそのままグリル
野菜やじゃがいもなどと一緒に焼くときは、ソーセージの方が早く焼けるので別の鉄板で焼くのをおすすめします。マストではないですが、私はオーブンでソーセージを焼くときも少量のオリーブオイルをかけています。
ソーセージをフライパンで焼くときは、油をひかないと肉が乾燥してしまうのでオリーブオイルなどをひいて焼いたほうが良いと思います。
レストランではソーセージを使った前菜やメインディッシュが食べられる
お酒のつまみとしてだけでなく、ソーセージを使ったメインディッシュもあります。
大皿に付け合わせのじゃがいもやサラダと一緒に太いソーセージが一本だけドカンと載せられて出来るものもあれば、ニュルンベルガーのような細くて小さめのソーセージが数本、ザワークラウトと一緒に並べられたお料理もあります。
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