前回の記事では、オーストリアの首都、ウィーンで妊娠がわかってから産婦人科を訪れるまでの流れについてお話ししました。今回は、出産する病院探しや、ムッターキントパスの検診の内容や流れなどについて、詳しくご紹介していこうと思います。
1.出産する病院を探して予約しよう
かかりつけの産婦人科では、定期検診を受けることは可能ですが、出産(ドイツ語でEntbindung(エントビンドゥング)と言います。)するための設備までは整っていないので、出産する場所は新たに探す必要があります。
ウィーンの中には、プライベートの病院を含めて現在12施設の出産可能な病院があるので、それらの病院の連絡先をご紹介します。
■保険が適用される病院
Hanusch Krankenhaus
住所: Heinrich-Collin-Straße 30,1140 Wien 電話: +43 1 910 21
Krankenhaus Rudolfstiftung – Standort Semmelweiß-Klinik
住所: Bastiengasse 36-38, 1180 Wien 電話: +43 1 476 15–0
Krankenhaus Hietzing
住所: Wolkersbergenstraße, 1130 Wien 電話: +43 1 801 10-11
Sozialmedizinisches Zentrum Ost-Donauspital 住所:Langobardenstraße 122, 1220 Wien 電話: +43 1 288 02–0
Sozialmedizinisches Zentrum Süd – mit Gottfried von Preyer’schem Kinderspital
住所: Schrankenberggasse 31, 1100 Wien 電話: +43 1 601 13–0
Allgemeines Krankenhaus der Stadt Wien
住所: Währinger Gürtel 18-20, 1090 Wien 電話: +43 1 40400–0
Wilhelminenspital
住所: Montleartstraße 37, 1160 Wien 電話: +43 1 491 50–0
■産院があるプライベートの病院
Goldenes Kreuz Privatklinik BetriebsGmbH
住所:Lazarettgasse 16-18, 1090 Wien 電話: +43 1 40 111–0
Krankenhaus Göttlicher Heiland
住所: Dornbacherstraße 20-28, 1170 Wien 電話: +43 1 400 88-9201 http://www.khgh.at
Geburtshilfe Privatklinik Döbling
住所: Heiligenstädter Straße 57-63, 1190 Wien 電話: +43 1 360 66–5450 www.geburtshilfe-wien.at
Rudolfinerhaus Privatklinik GmbH
住所: Billrothstraße 78, 1190 Wien 電話: +43 1 36036-0 www.geburtshilfewien.at
St. Josef Krankenhaus
住所: Auhofstraße 189, 1130 Wien
電話+43 1 878 44–0
出産する病院をどうやって選べばよいのか、それはなかなか難しい問題だと思います。出産するまで何度も通う病院ですし、いざ陣痛や破水が来たら、すぐに行かなければならない場所なので、通いやすい場所にある、ということはとても大事なポイントでしょう。また、出産中になんらかのトラブルがあった時に、すぐに対応してくれるような場所なのか、生まれてきた子供に何かあった場合、新生児の為の救急ステーションがあるのか、なども病院を決定するにおいて知っておきたいポイントです。
それぞれの病院に、それぞれの設備やカラーがあるので、ホームページを見たり、実際に病院を見学してみたりして、慎重に選択するようにしましょう。
ただし、患者数が多い病院では、ベッドの数に限りがあることもあり、かなり早い時期に予約しないと、いっぱいになってしまうことが多いようです。
筆者の場合、妊娠6週の時点でSozialmedizinisches Zentrum Ost-Donauspitalに電話した所、「今すぐ予約していただかないと、数日中にはいっぱいになってしまう。」と言われて、とても驚いたことを覚えています。このように、妊娠が分かった時点ですぐに予約しなければならない病院と、中期を過ぎるあたりまでは予約すらできない病院などまちまちなので、妊娠が分かった時点で、希望する病院に電話をして問い合わせてみることをお勧めします。
2.母子手帳の定期検診を受けよう
母子手帳に書かれている全ての定期検診を受けることは、母親にとっても、生まれてくる子供にとっても、健康を管理をしたり、何らかしらの問題があった場合、それを早期に発見できるという意味で、大変重要です。この定期検診はMutter-Kind-Pass-Untersuchungen(ムッターキントパスウンターズーフンゲン)と言われます。
妊娠中に必要なムッターキントパスウンターズーフンゲンは、6回です。
6回というと、あれ?たったの6回?案外少ないな、という印象を受けるかもしれませんが、案外あちこちで様々な検診を受けることになるため、実際に妊娠して、検診を受ける身になってみると、結構忙しいと思われるのではないかと思います。
前回の記事でも少し触れましたが、この検診は、全て必ず受けて、お医者さんから母子手帳にサインをもらうようにしてください。検診を受けていないと、Kinderbetreungsgeld(キンダーベトロイウンクスゲルト)と呼ばれる子供が産まれてからもらえるはずの手当てがもらえなくなってしまいます。
全ての定期検診は、保険が適用されている病院で行うのであれば無料です。
3.1回目の定期検診(~16週)
■産婦人科での検診
妊娠16週までに産婦人科で行う検診です。妊娠8週から12週にかけて無料の超音波の検査を受けることができるので、この時期に合わせて予約をとると良いでしょう。この時期には既に、小さな赤ちゃんを目で確認することができると思います。超音波の写真はもらえるので、大切な記念になるのではないかと思います。
妊娠中の注意事項などを、この時お医者さんが説明してくれるでしょう。オーストリアは、皆かなり大らかに妊娠期間を過ごすので、あまり禁止事項のようなことはありません。ただ、生魚や生肉はトキソプラズマの危険性があるため、食べることを控えるように指導されるかもしれません。日本のように鮮魚が手に入る国では、妊娠中にお刺身を食べることは特に大きな問題ではありませんが、海のないオーストリアでは新鮮なお魚が手に入らないため、生のお魚は控えた方がよいでしょう。
■血液検査
16週までに行わなければいけないもう一つの検査に、血液検査があります。これは産婦人科では行えないので、Labor(ラボーア)という場所に行くことになります。どこに行けばよいかわからない場合は、産婦人科の先生が紹介状を書いてくれると思うので、そのラボーアに予約をとり、検査に行くと良いでしょう。この検査では、血液型やHIV、トキソプラズマ、梅毒に感染していないかなどがチェックされます。
4.2回目の定期検診(17~20週)
■産婦人科での検診
妊娠17週から20週の間に、再び産婦人科での検診があります。体重(Gewicht(ゲビヒト))を量ったり、血圧(Blutdruck(ブルートドルック))を測ったり、尿検査(Harnuntersuchung(ハーンウンターズーフンク))を行ったりします。
ドイツ語がよく分からない人は、一体何を指示されているか分からないことも多く、不安もさぞかし大きいことでしょう。でも、とにかくこの時期、窓口で紙コップを渡されたら、それは尿検査のことだと思って間違いありません。大抵の場合トイレの中、又は出てすぐの所にある小窓が着いた紙コップを置けるくらいの幅の台のようなものがあるので、そこにコップを置いてくれば大丈夫です。
2回目の産婦人科の検診には超音波検診がありません。もしも、個人的に希望する場合は、有料で行ってもらうことができます。料金は病院によって異なるかと思いますが、筆者の場合は60ユーロで行ってもらいました。
■健康診断
17週から20週の間に行うべきもう一つのことは、かかりつけの内科医(ドイツ語でHausarzt(ハウスアルツト)と言います。)で健康診断を行うことです。これを、Interne Untersuchung(インテルネ ウンターズーフンク)と言います。
もしも、かかりつけの内科医がいないようでしたら、前回の記事でご紹介した方法で、探してみてください。この健康診断では、血圧を測ったり、聴診器で心音を聞いたり、口頭で健康に問題があるか聞かれる程度の問診が行われる程度で、あまり大がかりなことはしません。
まとめ
いかがでしたか?今回はウィーンで出産できる病院についてと、2回目までのムッターキントパスウンターズーフンゲンについてお話ししました。次回も続けてウィーンでの妊娠期間の検査等の流れについてお話しを続けていきたいと思います。
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