イタリアに行ったら絶対試してみたいのが、本場のエキストラヴァージン・オリーブオイルとバルサミコ酢。イタリアでは、サラダを食べるときに日本のような市販のドレッシングは使わず、野菜の上に直接、オリーブオイル、塩、そして好みでヴィネガーをかけて混ぜ合わせるだけです。こういうシンプルな食べ方をするだけあって、オリーブやヴィネガーの品質にもこだわるのがイタリア人。
南北に長いイタリア半島では、気候が土地によって違うので、その土地土地の特徴のあるオリーブオイルがあるので、お気に入りを見つけるのも楽しいですね。特に、毎年オリーブの実は秋に収穫をするので、晩秋にイタリアを訪れる場合、その年に取れた新鮮なオリーブオイルが手に入ります。
ここでは、イタリアならではの調味料であるオリーブオイル、バルサミコヴィネガー、について、ご案内いたします。
イタリアのオリーブオイル
イタリア料理に欠かせないオリーブオイルは、日本でも日常の食材のひとつです。オリーブオイルは、オイルという名前とは異なり、新鮮なオリーブの実を絞っただけの混じりけのない天然のオリーブジュースとも言うべきものです。イタリアでは、毎朝小さじいっぱいのオリーブオイルを飲むと健康にいいともいわれているほど、身近なヘルシー食材です。
イタリアでは、どちらかというとお醤油のような感じで、何にでもたらして使います。食欲がないときや、台所に何もないときでも、パスタやパン、野菜にオリーブオイルと塩をかけただけで、おいしい一品に早変わりできるという便利さも人気の秘密です。ただ、こういうシンプルな料理の場合には、特にオリーブオイルの品質がものをいいます。
エキストラヴァージン・オリーブオイル:オリオ・ディ・オリーヴァ・エクストラ・ヴェルジネ(OLIO DI OLIVA EXTRA VERGINE)
エキストラヴァージン・オリーブオイルは、オリーブオイルの一番搾りである最上級の品質です。せっかくオリーブオイルを買うのなら、絶対にエキストラヴァージンを選びましょう。瓶のラベルには、必ず表記がしてあるので、買うときは必ず確認しましょう。
EUの共通のルールでは、収穫後48時間以内に、28度を超えない冷却抽出製法で、オリーブの実の油分のみをろ過したオイルだけが、エキストラヴァージン・オリーブオイルの表記をすることができます。また、酸味は0.8%以内という品質制限も指定されているのです。
また、ワインと同様に、製造する地域、製法によって、DOP、IGPという格付け認定されているオリーブオイルも存在します。有機栽培で製造されたオリーブオイルには、オーガニック認定されているので、選ぶ際の判断の基準になります。
DOP:デノミナツィオーネ・ディ・オリジネ・プロテッタ(Denominazione di Origine Protetta)保護指定原産地表示
製造に関するすべての工程が、指定する地域で行われていることが義務付けられています。
IGP:インディカツィオーネ・ジェオグラーフィカ・プロテッタ(Indicazione Geografica Protetta)保護指定地域表示
製造に関するある工程が、指定する地域で行われていることが義務付けられています。
有機栽培のオリーブオイル:オーリオ・ビオロジコ(OLIO BIOLOGICO)
EU共通の有機栽培農業の認定ルールを満たしたものに、認証マークが付けられています。
地域ごとのオリーブオイルの特徴
・北イタリアのリグーリア地方(LIGIRIA)
タジャスカ(TAGGIASCA)種という小粒のオリーブ。マイルドでデリケートな香りが、 魚介類にぴったりです。色は淡い黄緑色。
・中部イタリアのトスカーナ地方(TOSCANA)
オリーブのフルーティな香りに、ピリッとした刺激のある辛みがある、華やかな強い味わいです。色は黄緑色。
・南イタリアのプーリア地方(PUGLIA)
イタリアの生産量の大部分を占めるオリーブオイルの一大産地。南イタリアの熱い太陽に育てられたオリーブは、フルーティながらもマイルドな味わいです。色は淡い黄緑色。
・ローマ近郊のラツィオ州サビーナ地方(SABINA)
ローマで味わうなら、地元のDOP認定されているオリーブオイル。香も味もフルーツの香りで、甘さと苦みとピリ辛さのバランスが取れている新鮮な感覚のオイルで、おすすめです。
オリーブは、地域の特徴のほか、収穫年、そしてオリーブの実がなっていた木の樹齢によっても味が変わってきます。ワインのように、オリーブオイルのソムリエという資格があるくらい奥が深い食品です。機会があれば、ぜひ、パンにたらしていろんな種類を試して、味の違いを比べてみてください。
オリーブオイルは、瓶に詰めた時から18か月が賞味期限です。オイルは劣化しやすいので、買うときには、製造年も確認しましょう。ちなみに、2015年のオリーブオイルは、質、量ともに当たり年でした。
バルサミコ・ヴィネガー:アチェート・バルサミコ(ACETO BALSAMICO)
バルサミコ・ヴィネガーとは、簡単に言えば、ブドウを原料としたお酢を樽の中で長期熟成したものです。バルサミコとは「芳香のある」という意味のイタリア語です。
バルサミコ・ヴィネガーは、1000年以上もの歴史があり、かつては高貴な人の不老長寿の薬として珍重されていたというくらい、独特の味と香りのある特徴的なお酢です。
中部イタリアのエミリア・ロマーニャ州のモデナ、またはレッジョ・エミリアで、伝統的な製法で作られたものだけが、伝統的なバルサミコヴィネガー、ACETO BALSAMICO TRADIZIONALE(アチェート・バルサミコ・トラディッツォナーレ)と名乗れます。そのうえ、最低でも12年、または25年以上熟成させたものがDOP認定されています。25年以上熟成させたものは、ストラヴェッキオ(STRAVECCHIO)と呼ばれ、50年、100年物の長期熟成のものまであり、味覚はお酢とは思えないほどまろやかな深い味わいです。
こうした長期熟成させた伝統的なバルサミコヴィネガーはとても高価なので、一般には、熟成期間の短いものや、カラメル色素などで色を付けたものなのが一般に出回っています。また、最近では、使いやすいバルサミコ風味のソースも各種販売されています。イタリアの食材は、ラベルに原料名を正確に記載することが義務付けられているので、買うときにはどういう製品か、きちんと確認しましょう。
実は、普通にサラダにかけるのであれば、酸味が少なくなったDOP認定の伝統的なものでなければならないというわけではないので、普通のバルサミコヴィネガーでも、十分風味を楽しめます。伝統的なものに似た味を楽しみたいのなら、小鍋でじっくり焦がさないように煮詰めると、まろやかな味わいが出てくるので、アイスクリームやイチゴにかけて、一風変わった味覚を楽しめます。
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