みなさんは、“マレーシア”にどんなイメージをお持ちですか?緑いっぱいの南国にビーチ、ペトロナスツインタワーなど、まだ来たことがない人でも、漠然とした印象があると思います。日本人にとって人気の移住先であるだけでなく、人気観光地でもあるため、すでに来られた人は住むとどんな感じか想像ができるかもしれません。マレーシアに住んで早くも9ヶ月が過ぎた筆者ですが、アメリカ、シンガポール、ドバイ、スリランカと過去に住んだ他国と比べても「マレーシアに住んで良かった!」と”ママ目線で”思うことがあります。具体的にどんな点で住みやすいのか、下記にご紹介します。
KLCC中心にバリアフリーな「スカイブリッジ」
クアラルンプールに住み始めてまず驚いたのが、マレーシアの中の都心、KLCC中心部が意外にも“バリアフリー”で歩けるエリアがあること。例えば、ペトロナスツインタワーから、KLCC水族館が入っているコンベンションセンター、そしてブキ・ビンタンエリアのショッピングセンター『Pavillion(パヴィリオン)』までがずっとスカイブリッジ(屋内歩道橋)で繋がっています。コンベンションセンターから『Pavillion』へ向かう際に、一度外に出てスカイブリッジに戻る際も、隠れた場所にエレベーターが設置されているので、ベビーカーを押して快適に歩いて行かれます。
観光客が必ず訪れるであろうペトロナスツインタワーと『Pavillion』が、下道を通らないで行かれるのはうれしい限り。理由は、2点です。KLCCはスリや引ったくりなどの危険が多い地域として有名なため、スカイブリッジなら人ごみから隔離され、ブリッジ内には各所に警備員が立っていてセキュリティもばっちり。筆者も子連れでよくその行程を歩きますが、歩いている人がビジネスマン・ウーマンや、観光客なので安心して通ることができます。2点目の理由は、スカイブリッジは屋内のため、マレーシアでほぼ毎日のようにある突然のスコールでも大丈夫。筆者はそもそも車社会のマレーシアで、徒歩でしかもバリアフリーで歩ける場所があることに期待していなかったため、ビックリしました。夕方や金曜には混雑極まりないKLCC中心部、タクシーで移動するより歩いたほうが早いことも!『Pavillion』には日本人好みのお店が沢山入っているので、観光客にも使えるスカイブリッジ、ぜひ覚えておいてくださいね!
他人種に寛容でストレスフリー
マレーシア人は、マレー系、中華系、インド系と人種問わず人懐こい傾向があります。エレベーターで会った知らない人に話しかけることもあるし、特に子供連れで行動するとよく話しかけられるため、フレンドリーな人々だと感じます。特に、日本の文化やアイテムが好きな人々が多いので、日本人だとわかると余計に親しみを持ってくれます。昔から多民族共存で、様々な人が暮らす生活に慣れていることが、他民族にもやさしい理由の一つでしょうか。また、東京で暮らしていた頃には考えられないほどのノンビリムードは、まさに南国気質。時間や計画通りに物事が進まないことに焦りを感じない人々の中で暮らすと、「まぁ、あくせくしてもしょうがないよね〜。」と少し思考が似てくる気がします。というか、一人だけあくせくしていても何も変わらず仕方ないから、ということもあります。ノンビリムードなのはドバイ、スリランカも同じでしたが、やはりどの国に共通するのが暑い国ならではの「生産性を追求しても自然には勝てないから、ゆったりいこうや。」という考え方。生活していて、彼らのペースに慣れてしまえば、やきもきもせず、楽になります。他人と“迷惑をかけあって当たり前”なので、“人に迷惑かけないように、このように行動すべき”的プレッシャーやストレス度が、かなり低いと言えます。これが、次に挙げる項目の“チャイルド・フレンドリーさ”につながっています。
チャイルド・フレンドリー
子連れで外出する際に、子連れであるために不便・不快な思いをすることはまずありません。それが、のびのびと育児ができていいなぁと感じています。特にマレー系やインド系は子沢山なので、子どもが大好き。他人の子どもにも進んでにこにこ話しかけ、ぐずっていても優しいまなざしを向けています。東京だと、駅やデパートなどで他人と肩がぶつかり合うほど混雑する場所が多いですが、マレーシアはスペースが広いため、他人との物理的距離が少し遠くなります。それも、子どもに寛容になれる理由のひとつかと感じます。今まで住んだ他国の中でシンガポール以外は、同様にチャイルド・フレンドリーさを感じました。いずれも人口密度が低く、広いスペースでのびのび暮らせる国です。他人との物理的距離が子連れに及ぼす心理について、因果関係を感じずには、いられません。
日本食が豊富!
クアラルンプール伊勢丹だけでなく、近所のスーパーでも普通に日本食材が売っているマレーシア。うどん、寿司、めんつゆ、カレーに日本のお菓子など、割高ですがかなりの充実度。シンガポールと同様に、日本食が入手しやすい環境にあります。他国にも日本食材専門スーパーはありましたが、マレーシア(シンガポールも同様)は普通のスーパーで売っているため、便利度が違います。ドバイでは日本食材専門店が1点ありましたが、広いドバイで日々の買い出しをできるようなロケーションではなかったため、次第に日本食を食べなくなりました。でも、海外で暮らしていて、特に子どもが病気になると、日本食しか体が受け付けなくなることを度々経験しています。いつでもどこでも日本食を入手出来るのは、心強いですよね。子どもだけでなく、リタイヤした人々の人気移住先マレーシア。移住理由に、やはり食生活を大幅に変えなくて良い、というのもあるのでしょう。
メイドさんが安く雇える
物価が安い国に住むことの特権のひとつ、メイドさん。メイドさんに掃除を頼むと、1時間20リンギット(約497円)程度で、数時間かけて部屋中をピカピカにしてくれ、洗濯物も終わらせてくれ、ベランダに水もまいてくれます。贅沢に思うかもしれませんが、マレーシアのコンドミニアムは一般的な日本の住居よりかなり広く作られていて、2〜3ベッドルームで1,500スクエアフィート(139平米)以上ある部屋も当たり前。それぞれにバス・トイレが付いているため水回りが多く掃除も大変!また、トロピカルな気候から雨に湿気が多く、すぐに埃がたまったり、ヘイズ問題に虫など、いつも清潔に保たないと暮らしにくくなるため、メンテナンスが日本よりも必要になってきます。日本人でもメイドさんを通いや住み込みで雇う人が多く、メイドさんの人種はフィリピン人、インドネシア人かマレーシア人がほとんど。掃除の他、ベビーシッターを頼む人もいます。盗難やドタキャンのリスクと背中合わせではありますが、信頼できる方を見つければ、忙しいママにとって生活がしやすくなることこの上ないのが、メイドさんです。
スーパーで重い荷物を運んでくれる
スーパーで買い物をする際、大量に購入したり、ウォーターサーバー用の10リットル入り水ボトルを購入して手で持ち歩けなかったりする場合がありますよね。(マレーシアでは、水道水を飲むことはお勧めできません。大体の家庭で、ミネラルウォーターを購入します。)そんな時、スーパーのスタッフが駐車場やタクシー乗り場など、ショッピングカートを代わりに押して手伝ってくれるので、とても便利です。特に小さい子供連れで買い物をする人には大変ありがたいサービス!運んでくれたスタッフには、チップをあげない方もいると聞きますが、筆者は5リンギット(約120円)あげるようにしています。ショッピングカート押しのスタッフは、大体ネパールなどからの出稼ぎ労働者が多く、チップを渡すとビックリしたような顔をして、そして笑顔になります。このようなサービスは、ドバイ、スリランカでもありました。このようなサービスに慣れてしまうと、久しぶりに日本帰国した際にギャップを感じることも。スーツケースを複数、ベビーカーに子連れでも空港でポーターサービスがなく、ひいひい言いながら「日本はこれが当たり前だったんだよなぁ。」と思いながら、自分で荷物を運びました。2020年のオリンピック前に、例えば買い物の際の過剰包装などよりもこうしたところへの“おもてなし”も充実すると、外国人観光客に喜ばれるだけでなく、日本人にとってもありがたいサービスだと感じます。
以上になります。複数国に住み感じたことは、“世界のどこにも完璧な国はない”ということ。移住先選定には、治安、食生活、物価、人、ビザ、仕事など複数のポイントがあると思います。どの国にも、自分にとって良い点とそうでない点があり、すべてにおいて問題がない場所はありません。どこにプライオリティを置くか、それだけだと考えています。独身者、家族、子ども有無など移住時点の自分の状況により、そのプライオリティすら変わってきます。今回は、特に子どもがいる家族にとって、マレーシアに住む快適さについてご紹介しましたが、マイナス面を特に挙げるなら、治安とヘイズによる空気汚染。それ以外は、海外移住初心者にとってもかなり住みやすい国だと断言できます。
- 参考:
Avenue K Shopping Mall(チャイルド・フレンドリーの写真):
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