カリフォルニア州で、ナパ・ヴァレーに並ぶ一大ワイン産地として知られているのが、Sonoma county(ソノマカウンティ)。
緑に包まれた素朴で美しい景色の中に、個性豊かなワイナリーが点在しているほか、ワインの作り手たちが「日常用のお酒」として好む、ビールの醸造も盛んです。
この記事では、自然豊かなソノマカウンティで楽しめる、ワインやビールの情報をご紹介します!
ソノマカウンティのワイン
サンフランシスコから車で1時間ほどのところにあるソノマカウンティ。
一大観光名所となっているワイン産地、ナパの近くにありながら、その雰囲気はナパと大きく異なります。
高級リゾートの装いに包まれたナパと比べて、ソノマカウンティは、素朴でくつろいだ趣を持つのが特徴的です。
ソノマカウンティのワインの魅力は、種類の豊富さ、そして、作り手の個性の多様さといわれています。
起伏に富んだ広大な土地を生かし、400軒以上のワイナリーによって幅広い品種のワイン用ぶどうが栽培されているソノマカウンティ。
しかし、ワインの作り手は決してオールラウンダーばかりではなく、各地域、各ワイナリーが、土壌や気候に合わせて選び抜いた品種を栽培している例が少なくありません。
眩しいカリフォルニアの日差しが健やかな完熟ブドウを育て、海辺を流れる寒流や、高低差のある斜面が、味や香りに豊かな深みを与えてくれます。
郡内各地でワイナリー訪問を楽しむ
広大なソノマカウンティには、その土地ごとの地形や気候に寄り添い、独自の味わいを作り出すワイナリーがあります。
郡内の地域ごとに、ワイナリーの集まる街をいくつかご紹介します。
【南部】ケンウッド、グレンエレン
ソノマカウンティ南部の Kenwood(ケンウッド)は、ソノマヴァレー沿いの傾斜地を擁する街。
老舗ワイナリーの「Kunde Family Winery」や、木目のような抽象画やオオカミのロゴが有名な大手「Kenwood Vineyards」、幅広い種類のワインを作る「Deerfield Ranch Winery」などが本拠地を構えています。
さらに南に位置するGlen Ellen(グレンエレン)は、独特の地形を持つ山間部の街。
有機農法とサステイナブルな製法に取り組む「Benziger Family Winery」や、個性的な品種を高品質のワインに作り上げる「Imagery Estate Winery & Art Gallery」など、こだわりのあるワイナリーに出会えます。
【中部】サンタローザ、セバストポル
郡庁所在地の Santa Rosa(サンタローザ)は、歴史ある街並みから高台のブドウ園へと連なる風景が魅力的な街です。
サンタローザの高台にある「Paradise Ridge Winery」は、日本ゆかりのワイナリー。
江戸末期の薩摩に生まれ、アメリカでワイン醸造の道を極めた長澤鼎(ながさわ かなえ)のブドウ園の一部を継承しています。
テイスティングルームでは、高台からの美しい景色を眺めながら、力強い味わいの各種赤ワイン、長澤鼎の名を冠したシャルドネなどが楽しめます。
同じくサンタローザにある「Angeline Vineyards」は、手頃な価格帯のワインを提供していながら、そのコストパフォーマンスは抜群。
特に、$13(2017年現在)から購入できるソーヴィニヨン・ブランは、高級ワインにも引けをとらないと評判です。
渓谷沿いの街、Sebastopol(セバストポル)は、涼しい気候が繊細な味わいのワインを作り出すと言われています。
ピノノワールとシャルドネが世界から賞賛を集める「Freeman Vineyard and Winery」は、ワインを愛する夫婦が、一からワイン造りを学んで作り上げた小規模ワイナリー。
世界トップクラスのワインを作り出してきたアキコ・フリーマン氏は、カリフォルニア州初の日本人女性ワインメーカーでもあります。
【北部】ヒールズバーグ、フルトン
ソノマカウンティ最北端の Fulton(フルトン)には、大手ワイナリー「Kendall-Jackson」のブドウ園・テイスティングルーム・庭園があります。
有機農法に力を入れている庭園は、テイスティング後の散策にもぴったり。
多様な品種のブドウを見比べられる区画や、オレンジ、洋梨、コショウ、バラなど、ワインの味を説明する時に使われる植物が植えられた「Sensory Garden」を覗いてみましょう。
街歩きやショッピング、レストラン巡りも楽しめるのは Healdsburg(ヒールズバーグ)。
洗練された高級感がありながらも、穏やかな雰囲気に包まれた街です。
ワイナリーやテイスティングルームが数十軒集まり、歩いてテイスティングを楽しむことができます。
コストパフォーマンスの良いワインが多く、複数のテイスティングルームを巡るのがオススメです。
個性派ビールも見逃せない!
ワインで知られているソノマカウンティですが、実は、ビール醸造所(ブルワリー)があることでも有名です。
ワイン造りは重労働を伴う仕事。そのため、ワイナリーで働く人々は、仕事の後にビールでリフレッシュすることが多いのだとか。「ワインのあるところにビールあり」とも言われているそうです。
ソノマカウンティのブルワリーの中でも、有名なのはこちらの2ヶ所です。
Russian River Brewing Company
ソノマカウンティを流れる川、ロシアンリヴァーにちなんだ名前のブルワリー。
サンタローザ市のダウンタウンにパブを構え、平日、休日を問わず、長い行列ができています。
このブルワリーは、ホップの苦味を効かせたIPA(インディアペールエール)、香り豊かなベルギー風のエールも有名ですが、ぜひ試しておきたいのが樽熟成ビール(barrel aged beer)。
「Temptation」は、ワインの名産地という土地柄を活かし、地元ワイナリーのシャルドネの樽で9〜15ヶ月熟成させたブロンドエールです。
樽熟成ビールは全部で5種類あり、期間限定でそれぞれの味を楽しむことができます。剪定バサミなど、道具をデザインした個性的なラベルも魅力です。
Russian River はソノマカウンティで1、2を争う人気ブルワリーですが、その分、直営パブは混雑することもしばしば。
行列が苦手な方は、地元のスーパーマーケットや酒店でもビールを購入できますので、ぜひ店頭で探してみてください。
Bear Republic Brewing Company
ワイン生産の中心地、ヒールズバーグのダウンタウンに拠点を置くブルワリーです。
赤、黄色、緑の目立つブランドカラーと、カリフォルニアの州旗にちなんだ熊(カリフォルニアグリズリー)のロゴが目印。
無殺菌、無濾過の生きたビールで、数々の賞を受賞しています。
ラベルに書かれた数字の「5」と、チェッカーフラッグの柄が目を引くのは、「Racer 5 IPA」。
口にすると、ホップの苦味と麦の香ばしさが立ち上がり、ほんのりオレンジのような香りが残ります。
アメリカでもっとも多くの賞を受賞しているIPA(インディアペールエール)で、全米にファンがいるそうです。
Bear Republic では、醸造に使用した穀物を有機農法の家畜の餌として寄付したり、廃棄物を利用したバイオエネルギー発電を行ったりと、環境に配慮したビールづくりにもこだわっています。
これからも、地元に根ざした姿勢で、全米や世界で愛されるビールを作り続けていくことでしょう。
もっと知るには
ソノマカウンティの公式ウェブサイト内にある日本語ページ(http://www.sonomacounty.com/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA)では、ソノマワインの概要や、各地の見どころ、気候などをわかりやすく紹介しています。
英語ページに移動すると、地元ワイナリーのリストや、ビールやハードサイダー(リンゴ酒)の醸造所、蒸留酒の製造所などの情報も見られます。
ツアーやタクシーなど、現地での見学・移動手段の手配もオンラインで可能です。
お目当ての訪問先を決めたら、テイスティングでお気に入りの1本を見つけてみましょう。
旅を終えてからも、ぜひご自宅でソノマカウンティの味を楽しんでください!
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