南カリフォルニアに咲く春の花たち セイヨウカラシナ・ナッツの木など

アメリカ

ロサンゼルスやサンディエゴなどの観光地がある、アメリカ西海岸の南カリフォルニア地域は、年間を通してからっとした気候が続くエリアです。

雨が少ない土地柄、普段はあまりたくさんの花を見かけることはありませんが、春の時期だけはその光景が変わり、砂漠にも花畑が出現します。

この記事では、南カリフォルニアの春の景色を彩る、色とりどりの花たちをご紹介します。

黄色い菜の花「セイヨウカラシナ」

まずは、明るい野の花から。

春の訪れとともに、南カリフォルニアの野原に黄色い花を咲かせるのは、アブラナ(菜の花)の仲間の「セイヨウカラシナ」です。

英語では、Mustard green(マスタード・グリーン:マスタードの草)と呼ぶそうです。

 

セイヨウカラシナの花は、草むらや空き地など、郊外であれば、場所を問わずに楽しむことができます。見頃は、3月下旬から4月の終わりごろまで。地域によって、多少前後します

都市部に旅行する時でも、空港から目的地まで移動する間に、バスや車の窓から見ることができます。

カラシナは、菜の花によく似ていますが、花びらや葉のつき方が違っています。

菜の花の場合は、それぞれの葉が茎を囲み込むようについていますが、カラシナの場合は、茎から柄が伸びていて、その先についている葉は、茎から独立しています。

 

ところで、セイヨウカラシナが野原を一面に染めている様子は、どことなく日本の春の風景に似ています。

実は、日本の土手などに咲いている黄色の花も、多くはこの「セイヨウカラシナ」の仲間(変種)の「カラシナ」なのだとか。

日本では、辛味のある漬物・おひたし等の材料に使われますが、アメリカでは葉や茎を食用として使うことは少ないようです。

 

桜そっくりの花が咲くのは、あのナッツの木

続いて、日本の春を彷彿とさせる花をもう1つ。

アーモンドの花。この写真では白い花をつけていますが、ピンクの花はさらに桜そっくりです。

カリフォルニアの街を車で走っていると、時々、桜のような木を見かけることがあります。

花びらは、薄いピンク色や白。花のつき方や幹・枝の様子なども、日本で見る桜とかなりそっくりです。

この木の正体は、実はナッツでおなじみの「アーモンド」。アーモンドは、桜と同じ、バラ科サクラ属の植物なのです。

カリフォルニア州は、アーモンドの実の世界最大の生産地です。農園で大規模にアーモンドの木を育てているほか、民家の庭木や街路樹などとしても植えられています。

 

アーモンドの花は、春の早い時期(2月ごろ)から咲き始め、満開に近い状態が何日も続きます。木によって開花時期は違うため、花を見るチャンスは4月ごろまで続きます。

満開の時期が過ぎると、ひらひらと花びらが辺りに舞い落ち、桜吹雪ならぬ、アーモンド吹雪を見せてくれます。

はかないイメージのある日本の桜とは違い、長い期間、ゆっくりと楽しむことができる花です。

 

さて、インターネットで「California almond field」と検索すると、何千本ものアーモンドの木が並んだ写真が出てきます。

これは、ナッツを収穫するためのアーモンド農場の様子。

整然と並んだアーモンドの木が、満開の花をつけている光景は、日本の桜並木とは違った迫力があります。

こんな農場でお花見をしたら、さぞ壮観な眺めが楽しめそうですが……開花の時期には、受粉のために大量のハチを放しているそうで、観光には向かないのだとか。

ちなみに、大規模な受粉の光景が気になる方は、ドキュメンタリー映画「More than Honey」(日本語版「みつばちの大地」)にその様子が紹介されていますので、DVDなどでご確認を!

 

柄つきタワシそっくり?の赤い花

優しいピンクの花の後は、カリフォルニアの眩しい日差しがよく似合う花をご紹介します。

南カリフォルニアの公園や庭などでよく見かける木の中に、ふさふさとした赤い花をつけるものがあります。

この木は、英語で「bottlebrush tree(ボトルブラッシュ・トゥリー)」と呼ばれているもの。瓶などの内側を洗うための柄つきブラシ(ボトルブラシ)に、花の形が似ているからなのだとか。

長く伸びた花を見かけると、確かにボトルブラシそっくり!と感じさせられます。

ボトルブラッシュ・トゥリーは、オーストラリア周辺が原産地とされています。

乾燥に強く、手入れが楽なので、雨の少ないカリフォルニアで、庭木としてよく植えられているようです。

成長した木の高さは3メートルほどで、ハチドリやミツバチ、蝶などが、鮮やかな赤い花と蜜の香りに引き寄せられてやってきます。

ボトルブラッシュ・トゥリーの花は、春から夏にかけて、比較的長く咲いています。南カリフォルニアを訪れる時には、ぜひ探してみてください。

 

多肉植物「マツバギク」の花

地面を覆うように生え、多肉質の葉を持つマツバギクの仲間は、ビーチや公園の緑化などによく使われる植物です。

細く長い花びらがぱっと開いた様子は、よく晴れた日中にしか見られないのですが、日当たりの良い南カリフォルニアなら、ほとんど毎日楽しめます。

英語では、「マツバギク属」を表す分類名のLampranthus(ランプランタス)」と呼ばれているようです。

マツバギク属の植物は、日本でもガーデニングなどによく使われています。

ただ、南カリフォルニア(アメリカ)で見かける種類のものは、花びらや葉が大きいものが多く、日本で見かけるものとはずいぶん違った雰囲気を感じられます。

花の部分は、直径5センチ以上。空に向かっていっせいに花びらを広げた姿は、南カリフォルニアの空気にマッチした、のびのびとした印象です。

花の色も、日本で栽培されているマツバギクは紫色のものが多いですが、こちらのものは、ピンク、黄色、オレンジなど色とりどり(種の違いによるようです)。

年や地域にもよりますが、ほぼ4月いっぱい、各地で花を楽しめるかと思います。

 

春の終わりを飾る「ジャカランダ」の紫の花

さて、5月に入ると、南カリフォルニアで春らしい景色が楽しめる時期は終わりに近づいてきます。

その締めくくりを飾るのが、街をやさしい紫色で染める「キリモドキ」の花。

英語では、「Jacaranda(ジャカランダ)」と呼ばれています。

公園に咲いているジャカランダの紫の花(中央)と、実をつけたジャカランダの木(左)。平たく大きな実から、ひらひらとたくさんの種子が落ちてきます。

街路樹としてよく使われているジャカランダは、普段はあまり目立ちませんが、5月になるとぱっと紫の花を咲かせ、その存在感を示します。

花びらがひらひらと散るのではなく、花ごとすとんと落ちてしまうので、去り際も一瞬です。

落ちた花も綺麗ですが、布や肌などに色がつくと落ちにくいので、触れる時にはご注意を。

 

まとめ

街中にジャカランダの紫色が現れると、春の終わりを感じさせられます。

その紫が消えた時が、南カリフォルニアの夏の始まりと言ってもいいかもしれません。

短いながらも色鮮やかな春を、ぜひ、現地へ楽しみに来てください!

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