アメリカに暮らしている方、これからアメリカに引っ越す方の中には、現地で資格をとったり、働いたりするために準備をしている方もいるかと思います。その時に必要となるかもしれないのが、「live scan(ライブスキャン)」を使った身辺調査。耳慣れない名前ですが、検査内容自体はとても簡単です。いざ受けることになった時に焦らないよう、概要や手続きを確認しておきましょう!
Live Scan(ライブスキャン)とは
皆さんは、「live scan(ライブスキャン)」という言葉を聞いたことがありますか? あまりなじみのない言葉ですが、平たく言うと、これは「指紋採取」のこと。
専門資格のある検査員が、1本ずつ手の指の指紋をとっていく、特別な指紋採取法です。
ライブスキャンは、採取した指紋データを警察のデータベースと照合し、犯罪歴がないこと(または、申請資格を満たしていること)を調べるために行います。
アメリカで各種の資格・免許を申請する時や、子どもに接する仕事・公共機関での仕事に就く時などには、このライブスキャンを受けるよう求められることがあります。
どんな時に必要?
- 公共機関で働く時
- 子どもに接する仕事(幼稚園や各種学校の先生など)に就く時
- 各種の資格・免許(歯科衛生士、看護師、酒類取り扱いなど)を申請する時
- 永住権や市民権を申請する時
何のための検査?
過去の犯罪歴などを照合するため。
何をするの?
専用の機械で、手の指すべての指紋を1本ずつ読み取ります。
(※ 手が汚れることはありません)
どこでできるの?
警察署、司法局の施設、または、認定を受けた一般業者の事務所
Live scan で行う指紋採取は、空港の入国手続で行うような、平置き(flat)式の指紋採取とは異なります。
では、仕事や資格の応募先から「ライブスキャンを受けてきてください」と言われたら、どうすれば良いのでしょうか?
次の項目で、具体的な手続きを確認していきましょう。
Live Scan の手続き:事前準備
「指紋採取」と聞くとちょっと身構えてしまいますが、心配はいりません。
事前の準備をしていけば、当日の指紋採取(スキャン)は検査員にほぼお任せです。
スムーズにスキャンを受けられるように、下記の準備をしっかりしておきましょう。
1:申し込み用紙に記入する
ライブスキャンを受けるためには、専用の申し込み用紙に必要事項を記入し、採取場所に持参する必要があります。
スキャンの目的によって、申し込み用紙の種類が違うことがありますので、必ず、雇用主や応募先に確認しましょう。
下記のページでは、カリフォルニア州で司法局が使用している申し込み用紙(BCIA 8016)の書式を見ることができます。
https://oag.ca.gov/sites/all/files/agweb/pdfs/fingerprints/forms/BCIA_8016.pdf
以下の項目は、とっさに書こうとすると間違えやすいので、事前に確認しておきましょう。
- Height(身長):フィート、インチで記入
例)身長160cmなら、およそ5フィート3インチなので「5’ 3”」と記入。
- Weight(体重):ポンドで記入
例)体重50kgなら、およそ110ポンドなので「110lb」と記入。
- Eye color(目の色):アジア系の場合は、多くの人が「brown」となります。
- Hair color(髪の色):アジア系の場合は、「dark brown」または「black」。
※ 髪を染めている場合でも、地毛の色(染めていない場合の色)を記入します。
記入した書類は、控えとしてコピーをとっておいても良いかもしれません。
Live scan の申込用紙の例。用途や州によって異なりますが、レターサイズ1〜3枚という場合が多いようです。
2:予約をとる
民間の live scan 業者では、パスポート写真の撮影サービスや、契約書締結の立ち会い・確認を行う公証人(notary public)サービスを兼務しているところも。
ライブスキャンは、必ず資格を持った検査員のもとで行われます。
施設によっては予約なし(walk-in)で利用することもできますが、確実にスキャンを受けられるよう、できれば事前に予約をしておきましょう。
警察署、司法局といった政府関係の事務所のほか、地域によっては、認定を受けた民間業者の事務所や、一部の郵便局などもライブスキャンの会場になっています。
カリフォルニア州の場合、以下のページから、ライブスキャンを受けられる公共・民間施設と、連絡先や手数料を調べることができます。
Live Scan Locations
予約を終えたら、あとは会場に向かうだけです。
申し込み用紙と、身分証(ID:パスポート、もしくは運転免許証など)、そして手数料を忘れずに!
Live Scan の手続き:スキャン当日
1:スキャンを受ける
当日は、書類の確認がありますので、予約時間の少し前にスキャン会場に行きましょう。
会場といっても、あまり大げさなものではありません。
警察署のオフィスの隅だったり、雑居ビルの一室だったりと、カジュアルな場所に機械が設置されているだけ……ということが多いようです。
申し込み用紙と ID の確認を済ませたら、検査員の手引で指紋を採取(スキャン)します。
スキャンは、手の指すべてについて、1本ずつ順番に行います。
まず、検査員から、機械(スキャナー)の横に立ち(または、座り)、手を機械の近くまで伸ばすように指示されます。
すると、検査員が手の指を1本持ち、ウェットティッシュで拭き取った後、機械に押し当てて、左右に転がすようにしてスキャンします。
これを、すべての指に対して行います。
かかる時間は、それぞれの指につき数秒〜十数秒ほどです。
Live scan での指紋採取の様子を再現してみました。検査員が指を持ち、機械の上で転がす(roll)ように指紋を採取します。
2:支払いをする
スキャンが終わったら、支払いを済ませましょう。
現金での支払いのほか、クレジットカードやデビットカード、小切手(check)に対応している会場もあります。事前に確認しておきましょう。
最後に、スキャンを受けたことを示す書類(領収書など)をもらえば、ライブスキャンの手続きは完了です。
犯罪データベースとの照合結果は、仕事や資格の応募先に直接送られますので、スキャンを受けた人が事後に何かをする必要はありません。
ただ、手違いなどが起きた場合に備えて、領収書などの確認書類は、手元に置いておきましょう。
あとは、無事に照会が済むのを祈るのみ! お疲れ様でした。
まとめ
なじみのない検査を受けるのは緊張するものですが、書類をきちんと記入しておけば大丈夫です。
ライブスキャンそのものは、検査員に指を委ねるだけで、数分のうちに終わります。リラックスして、スキャンを受けましょう。
夢のお仕事や資格に近づくための第一歩、着実にクリアしていきたいですね。
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