日本に比べて医療費の負担が大きいアメリカ。体調を崩さないために、自分での健康管理を心がけている人も増えています。
健康的な食事をとるのはもちろんですが、そこは合理的なアメリカのこと。足りない栄養素をサプリメントの錠剤で手軽に補うことも、選択肢の一つです。今回の記事では、忙しい生活を送る方や、海外旅行で時差ボケに悩む方などにおすすめの、アメリカのサプリメントをご紹介していきます。
サプリメントはどこで買える?
アメリカの生活にすっかり浸透している、栄養補助のサプリメント(英語では「supplement:サプルメント」)。
現地では、ドラッグストアの専用コーナー、スーパーマーケットの健康食品・化粧品コーナーなど、身近な店舗にも商品が並んでいます。
棚一面にサプリメントの容器が揃っている様子は、なかなか壮観です。
自然派スーパーマーケットの広告にも、サプリメント類が大きく載っています。
さらに専門的な品揃えを期待するなら、「The Vitamin Shoppe(ザ・ヴァイタミン・ショップ)」などに代表される、サプリメント専門店を覗いてみましょう。
小規模のショッピングモールの中など、各地に展開されています。
店内にスタッフはいますが、一般的な量販店のように、自分で気楽に見て回ることができるので、接客されるのが苦手…という方もご安心を。
また、日本の100円ショップと似たディスカウントストア(「Dollar Tree」、「99¢ Only Stores」など)でも、小さなパッケージのサプリメント剤を販売しています。
手頃な価格で少量だけ購入したい場合には、試してみてもよいかもしれません。
定番のマルチビタミン
では、ここからは、アメリカで購入できるおすすめのサプリメントを紹介していきます。
まず、迷った時の基本となるのが、複数のビタミン・ミネラル類を配合した、いわゆる「マルチビタミン」というタイプのサプリメントです。
英語では「Multivitamins(マルティヴァイタミンズ)」、といった名称で呼ばれています。
「for Women」、「for Her」などという名前がついているのは、女性向けのもの。
抗酸化作用のあるビタミンA、C、E、骨の強化に重要なビタミンD、Kのほか、鉄分(Iron)、妊娠を考えている女性に重要とされている葉酸(Folic Acid または folate)などが含まれているものが多いようです。
「for Men」、「for Him」と書かれた、男性向けのマルチビタミンもあります。
糖分をエネルギーに変える時に使われるビタミンで、男性は女性よりも必要量が多いとされるビタミンB1(Thiamine)、髪や皮膚の維持に重要なビタミンB2(Riboflavin)やビオチン(Biotin:バイオティン)、生殖面での働きにも使われる亜鉛(Zinc)など、さまざまなビタミン・ミネラル類がまんべんなく含まれています。
血流改善効果により、脳機能をサポートすると言われている、イチョウ葉エキスのサプリメント。イチョウは英語で「ginkgo(ギンコウ)」です。
食べやすいグミタイプのサプリメント。
時差ボケ対策に、メラトニン
続いて、旅行でアメリカを訪れて、時差ボケに苦しんでいる方におすすめしたいのは、体内リズムを整えるホルモン「メラトニン」のサプリメントです。
英語では「Melatonin:メラトーニン」と呼ばれています。
メラトニンは、普段、体の中で自然に作られ、睡眠・覚醒のリズムを調節しているホルモンです。
人間の体は、
- 辺りが明るくなると、体内のメラトニンの量が減って目が冴える
- 暗くなると、メラトニンの量が増えて眠くなる
…というリズムを繰り返しています。
ところが、海外旅行で1日の周期が崩れたり、夜勤の仕事や悪天候などで、太陽の光を浴びる機会が減ったりすると、メラトニンの分泌リズムが乱れます。
これにより、不眠や日中の眠気など、いわゆる「時差ボケ」の症状が出てしまうのです。
そこで、眠る数時間前に外からメラトニンを取り入れることで、体内のメラトニン量のリズムを整え、時差ボケによる睡眠不足を軽くする…というのが、サプリメントの使い方です。
年配の方が朝早く目覚めてしまうのも、年をとるにつれてメラトニンの分泌量が減り、しっかり眠れなくなることが原因なのだとか。
アメリカでは身近なサプリメントとして活用されているメラトニンですが、日本では、製造・販売が許可されておらず、似た作用のお薬も、医師の処方がなければ手に入れることはできません。
一方、海外で個人購入したメラトニンを、日本に持ち帰ることは許可されていますので、アメリカ旅行の際に購入しておくという方が多いようです(2017年現在、日本への持ち込みは、1人につき2ヶ月分まで許可されています)。
時差ボケになりやすい方は、アメリカに到着したら、寝付けなくなる前に現地のドラッグストアを覗いてみてください。
価格は、30日分で10ドルほど(濃度・メーカーによって多少異なります)とお手頃です。
疲れると唇が…口唇ヘルペスには「L-Lysine」
風邪や疲労をきっかけに、唇が腫れたり、プツプツと水疱ができたりする、「口唇ヘルペス(cold sore:コールド・ソア)」。
原因となるウィルス(単純ヘルペスウイルス)に一度かかると、その後完治することはなく、たびたび症状が出てしまう厄介な病気です。
日本人の60パーセント以上がウィルスに感染しているとの推測もあり、悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
この口唇ヘルペスの症状を予防するのに役立つと言われているのが、日本語では「L型リシン」と呼ばれている「L-Lysine(エル・ライシン)」のサプリメントです。
口唇ヘルペスは、体力が落ちている時に、普段は体の中に隠れているウィルスが増殖することで、水疱や痒みなどの症状が出てきます。
現在の医学では、隠れているウィルスを体から完全に追い出すことはできないのですが、サプリメントや薬でウィルスの増殖を防ぐことで、厄介な症状が起きにくくなるとされています。
1970年代から現在にかけて、「L-Lysine を数ヶ月間摂取することで、口唇ヘルペスの症状の再発率が低下した」との医学研究結果が複数報告されているそうです。
口唇ヘルペスに感染している人は、1日に1250mg程度の L-Lysine をとることで、症状の出る頻度が下がる可能性があると言われています。
また、実際に症状が出てしまった時にも、緊急対処として多め(3000mg)にとることで、症状が早く収まり、重症化しにくくなる傾向があるとのこと。
口唇ヘルペスは、水疱がつぶれた時に感染が広がるので、家族や周りの人への影響が心配な方にとっても、再発対策は気になる問題です。
アメリカで市販されているサプリメントは、糖衣錠タイプで、1錠に L-Lysine が1000mg含まれているものが多いようです。
60錠分が約10ドルで販売されていますので、再発時の薬代と比べてもお手頃。
長年、口唇ヘルペスに悩まされている方にとっては、試す価値のあるサプリメントかもしれません。
成分表示をしっかり見よう!
さて、ここまでいろいろなサプリメントをご紹介してきましたが、商品を買ったり使ったりする際に気をつけたいのは、成分が「多すぎないか」という点です。
「体にいいものならたくさん摂りたい」と思いがちですが、過剰摂取は成分がムダになってしまうだけでなく、使いきれなかった成分の排泄・蓄積のために、内臓や骨などへの負担がかかってしまう場合があります。
特に、水に溶けにくい脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)は、過剰な分を尿から排出することができないため、とりすぎが「ビタミン過剰症」と呼ばれる症状につながってしまいます。
吐き気や頭痛、腎臓・肝臓・秘蔵の障害など、深刻な症状となるおそれもありますので、「サプリメントを余分に飲む」ことは避けましょう。
アメリカで販売されているサプリメント類には、通常、成分表示のラベルがついています。
このラベルには、原材料のほか、各有効成分が、1日の必要量に対して何パーセント分含まれているのかが書かれていますので、購入時の参考にしてみてください。
錠剤タイプのサプリメントなら、半分に割って使うのもおすすめです。
まとめ
「サプリメント」という言葉は、本来「助ける・補うもの」という意味を持っています。
その名前の通り、サプリメントはあくまで「補助」のために使うもの。生活習慣や食事に気をつけながら、上手に取り入れていきたいですね。
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