日本では、「サイダー」といえば、甘い炭酸水のことですね。
ところが、ここアメリカで「cider」といえば、生搾りのリンゴジュースのことなんです。
では、アメリカの「hard cider(ハードサイダー)」とは何でしょうか?
正解は、リンゴ果汁を発酵させて作ったお酒のこと。日本ではまだあまり知られていない、ハードサイダーの魅力を、この記事で皆さんにお伝えしたいと思います。
ビールに近い立ち位置のお酒
ハードサイダーは、イギリスでは「cider(サイダー)」、フランスでは「cidre(シードル)」と呼ばれている、リンゴを原料にしたアルコール飲料です。
色は、黄金色から淡いシャンパンゴールドまで。発酵過程で自然に生じた微炭酸が入っているため、見た目はビールやスパークリングワインに似ています。
「リンゴの発泡酒」と聞くと、日本ではおしゃれで特別なイメージがあるかもしれませんが、現地では、お手頃で一般的なアルコール飲料と考えられています。男女を問わず、幅広い年代に人気です。
飲み口は、すっきりとしていて甘すぎないのが特徴。食前や食事中に飲んでも、料理の味を邪魔しないお酒です。
麦から作るビールとは異なり、リンゴから作るハードサイダーにはグルテンが含まれていないことから、「グルテンフリー」の飲食物を選ぶ人にも好まれているようです。
アメリカのバーやレストランのアルコールメニューでは、ビールの一覧の中に、ハードサイダーもいくつか名を連ねていることがあります。ローカルな銘柄に出会えることもありますので、アメリカを訪れた際にはぜひお試しください。
山間の町で生まれる「Julian Hard Cider」
ライターの個人的なおすすめは、カリフォルニア南部にある、「Julian(ジュリアン)」という小さな町で作られているハードサイダーです。
名前はずばり、「Julian Hard Cider(ジュリアン・ハード・サイダー)」。
リンゴが名産のジュリアンで作られるこのハードサイダーは、生搾りのリンゴ果汁を材料にし、無濃縮、無添加の味を誇っています。
その魅力を味わうなら、まずはスタンダードな「Harvest Apple」から。
白ワインにも似たキリリとした味で、炭酸の口当たりも適度。食前・食中酒としても、単独で楽しむのにも適した実力派です。
シンプルな基本をじっくり味わった後には、「Black & Blue」や「Cherry Bomb」といった他のフレーバーを試してみるのもおすすめです。
名前やロゴからは、つい、奇をてらった雰囲気を想像してしまいますが、実際はどのフレーバーも、果物やスパイスなど、自然の素材で作り上げられたもの。
例えば、「Black & Blue」はブラックベリーとブルーベリーの果汁、「Cherry Bomb」は、酸味のあるサクランボ果汁を、基本のハードサイダーにブレンドしています。
各フレーバーとも、瓶のサイズは、日本でのビール大瓶に近い、22oz(約650ml)のみです。
遮光性の瓶には、アメリカを象徴するワシと、かつて金鉱で栄えた町の雰囲気を残したツルハシの絵柄が、直接印刷されています。
アルコール分は6.99%あり、お酒らしい酔いを感じることができます。
Julian Hard Ciderは、カリフォルニア州を中心に、アメリカ・カナダ各地の小売店でも販売されています。
取り扱い店舗は、公式サイトにある「Locator」メニュー(http://www.julianhardcider.biz/locator-1/)から調べることができます。
詳しい商品情報は、こちらの公式サイト(http://www.julianhardcider.biz/)からどうぞ。
年齢確認画面が表示されましたら、21歳以上の方のみ、「Yes」をクリックしてご覧ください。
手軽に見つかる定番!「Angry Orchard」
ハードサイダーはかなりポピュラーな飲み物ですので、スーパーマーケットなどの小売店でも購入することができます。
お店では、ビール売り場の棚などに、小瓶の6本セットや、大瓶のバラ売りで置かれています。
アメリカ各地で目にする定番は、大手メーカー「Angry Orchard(アングリー・オーチャード)」のハードサイダー。
目印は、ラベルに描かれた「怒った樹」のイラストです。
「Angry Orchard」の変わり種、「Elder Flower」のボトル。通常の味のラベルと同じく、トレードマークの「怒った樹」のイラストが目印。グルテンフリーであることを明記しています。
Angry Orchard のハードサイダーは、ラベルこそちょっとコワモテですが、リンゴジュースに近い、親しみやすい味。アルコール度数も5%程度と、決して強くないお酒です。
手軽に購入できるため、現地で生活する方にとっては、持ち寄り形式のホームパーティーなどでも重宝するかと思います。
主力の「Crisp Apple」と、さっぱりした「Green Apple」の2種類の味のほか、夏にはユニークな味を揃えたお試しセットも販売されています。
大手メーカー「Angry Orchard」のお試しセット。定番の「Crisp Apple」、「Green Apple」だけでなく、ホップの風味が加わった「Hop ’N Mad」や、ヨーロッパのハーブ、エルダーフラワーが香る「Elder Flower」など、ユニークなものも。
ライターも試しに購入してみましたが、ホップの苦味を持つ「Hop ‘n Mad」や、ヨーロッパのハーブ「エルダーフラワー」を使った「Elder Flower」など、夏らしい味が楽しめました。
Angry Orchard の公式サイトはこちら(http://www.angryorchard.com/)。
年齢確認欄が表示されますので、ご自身の誕生日を「MM(月)」、「DD(日)」、「YYYY(年)」の順に入力してご覧ください。
番外編:洋ナシのハードサイダー
通常、「hard cider」といえばリンゴの果汁でできたものを指しますが、各地の醸造所の中には、違った種類の果物でハードサイダーを作っているところもあります。
その中でも、リンゴに次ぐ位置を占めるのは、洋梨(pear)のハードサイダーです。
洋梨でできたハードサイダーは、リンゴに比べて酸味が弱く、なめらかな味わいになります。柔らかな香りがアルコールによく合い、特に女性の人気が高いようです。
(中には、リンゴよりも洋梨のハードサイダーのほうが好き、という方も)
担当ライターがスーパーマーケットなどでよく見かけるのは、「Wyder’s Hard Cider(ワイダーズ・ハード・サイダー)」から出ている「Dry Pear」。
ハードサイダーはビールと並んで売られています。中央は洋梨とラズベリーのハードサイダー。
アルコール度数は4%と低めで、洋梨のシルエットを描いた柔らかい色合いのラベルや、丸みのある瓶の形が可愛らしい製品です。
Wyder’s Hard Ciderのサイト(http://www.wyders.com/)では、他にラズベリーのハードサイダーも紹介されています。
まとめ
日本ではあまり見かけないハードサイダーですが、アメリカでは幅広い層に人気のお酒です。
旅先で立ち寄ったレストランで、スーパーマーケットで、ぜひ、その爽やかな味わいを試してみてください。
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