アムステルダムの街では、すいすいと走り回るトラムの姿が目につきます。
路面電車は、現代の日本人にとってはあまりなじみがないのですが、ヨーロッパのさまざまな都市では、現役の市民の重要な交通手段となって愛用されています。
アムステルダムも例にもれず、通勤や通学はもちろん、観光で市内を巡る人にとっても大変便利で使いやすい交通手段となっています。
今回は、そのような「市民の足」であるトラムの乗りこなし方をお伝えします。文中ではアムステルダムの例を挙げますが、オランダ国内ではトラムの乗り方は各都市で共通している部分が多いので、他の街を訪れてトラムに乗るという方にも参考になるはずです。
トラムの利点
アムステルダムには、トラムの他にも電車、メトロ、バスという公共交通手段があります。
その中でもトラムの利点は何かというと、まず遅延が少ないことです。
事故や交通規制で道路に渋滞があっても、トラムは専用の線路をすいすいと走っていることが多いので、遅刻したくないときにはトラムを選ぶと確実です。
また、多くの路線が10-15分程度の定期的な時間46間隔で走行しているので頼りになります。
メトロや電車にも渋滞がないのですが、線路の工事などで電車が通っていなかったり、事故で止まったりすることがあるので要注意です。
まずは路線図をチェック
アムステルダム中央駅の正面口を出てすぐ左手に、トラムのチケットなどが買えるオフィスがあります。
アムステルダム市公式の観光案内所の隣に建っているのがGVBという交通会社のチケットセンターです。
ここでは対人窓口で確認しながらチケットが買えますし、路線図や地図などのパンフレットも入手できるので、「アムステルダムでトラムを便利に乗りこなしたい!」という方は、アムステルダム中央駅に到着したらトラムに乗る前に、まずこちらに立ち寄ることを強くおすすめします。
トラムの案内人
駅前の交通案内板の前には、黄色い蛍光色のベストを着ているGVBのスタッフが立っていることがあります。
彼らは公式のスタッフなので、市内のどこに行きたいか伝えれば、乗り場と時間、停留所の名前などを正確に教えてくれます。
市内で行われている工事など、グーグルマップなどの検索サイトではしばしば把握されていないような最新の情報がゲットできるので、何かわからないことがあればいつでも聞いてみてください。心強い存在です。
また、オランダの交通を語る上で外せないのがとても便利なルート検索サイト「9292.nl」。
オランダ国内の行きたい地名や駅名などを入力すれば、電車やトラム、メトロなど色々な公共交通手段を活用してたどり着く方法が検索すれば一発でわかります。オランダ語の他に英語版もあるので、ぜひ活用してみてください。
チケットの買い方
トラムの一般的なチケットは、車両先頭の入口で運転手から現金で直接買うことができます。
車両中ごろにチケットカウンターがある型のトラムなら、車両先頭よりもそちらで買った方がスムーズです。チェックイン(=タッチして使用開始して)から1時間有効の一般的なチケットは、2.9ユーロです。
一方、オランダ国民の間では、Ov chipcardという、東京でいうならばSuicaカードのような電子チケットが普及しています。トラムだけではなく電車・バスにも有効で、チャージすれば何回でも使えますし、一回乗るたびの金額も、定額ではなく距離によって計算されるので、一般的な紙のチケットよりも安く乗ることができます。
5年間有効の無記名カードは、券売機やカウンターで7.5ユーロですぐに購入することができます。オランダに銀行口座がある人なら、名前と写真入りのパーソナルカードを作っておくとよりお得です。
詳しくは以下のサイトで確認してみてください。
OV-chipkaar
Pagina niet gevonden - OV-chipkaart.nlPagina niet gevonden
お得な乗り放題のパスチケット
アムステルダムに数日間滞在して、トラムに何回か乗る予定がある方に断然おすすめなのが、GVBのパスチケット(GVB multi day ticket)です。
最短24時間、最長1週間有効のチケットがあります。
24時間チケットなら、最初に乗車した時点から24時間は、市内のGVBによって運行されているバス・トラム・メトロが乗り放題というとてもお得で使いやすいチケットです。
主にGVBのオフィスで販売されていますが、24時間もしくは48時間のパスチケットならトラムの車両内でも購入できるそうです。
お値段は、24時間7.5ユーロ、48時間12.5ユーロ、1週間のものが34ユーロと、長時間になるほどどんどんお得になっていく仕組みです。
詳しくは以下のサイトで確認することができます。
GVB day ticket or multi-day ticket
Attention Required! | Cloudflare
チケットをいつ使い始めるかを使い終わる時間から逆算してうまくコントロールすれば、3日間の滞在期間中ずっと一枚のパスチケットで済ませて、賢く節約して旅行できますね。
トラムへの乗車方法
行き先と乗るトラム番号が決まったら、まずは停留所へ向かいます。多くのトラムの停留所には、ひさしとベンチが設置されています。
プラスチックの掲示板に、この停留所を通るトラムの時刻表と停留所、ルートマップなどが書かれているので、行き先の停留所がちゃんと掲載されているかよく確認しましょう。
工事や交通規制による一時的なルート変更については、「!」の付いた小さな貼り紙に書かれていることが多いので要チェックです。
なお、日本の車道は左側通行ですが、オランダは右側通行です。日本から来る方は、これに最初かなりの違和感を覚えると思います。道路を横断する際や、トラムの進行方向を確認するときには「右側通行」を念頭に置いてチェックしてくださいね。くれぐれも逆方向のトラムに乗り込まないようにご注意を……!
トラムが停留所に泊まると、トラムの車両ドアがいくつか開きますが、そのうちの「入場禁止」マークがついていないドアからのみ入れます。
トラムが停まってもドアが自動的に開かないときは、点灯している緑のボタンを押せば、ドアが開きます。
入場禁止ドアのボタンや、発車間際で点灯していない緑のボタンは、いくら押しても開かないのでご注意ください。写真のドアは出口専用なので、降りる人がいなければ開きませんし、こちらから乗り込むこともできません。
基本的には、車両に乗り込んだら、車掌さんがいた場合は「ハロー!」と軽く挨拶して、こちらのチケットをピンク色の円形をした機械にスキャンします。
ピッと音がしたら、チェックインが成功したしるしです。時々、読み取りにくいことがあるので、ちゃんと音が鳴るか確認しましょう。
降りる時も、出口にある同様の機械を使ってチェックアウトします。これを忘れてしまうと、パスチケットが一時的に使えなくなってしまったり、OV chipカードなら罰金として6ユーロ引かれてしまったりするので気を付けましょう。
トラムの快適な旅を楽しもう
乗車したら、空いている席に座ってトラムの快適な旅が始まります。トラムはバスよりも揺れませんし、メトロでは見られない車窓からの街の眺めも楽しめます。
冷暖房も効いていてとても快適です。トラムが意外と早いスピードで走るのに驚かれる方がいらっしゃるかもしれません。
車内のディスプレイがちゃんと作動している場合、トラムの最終目的地と、次はどの停留所に停まるかがはっきり表示されています。
こちらを確認すれば、目的の停留所を逃すことがなくて安心です。
車内は禁煙で、特に温かい物を食べたり飲んだりすることは禁止されています。かわいらしいデザインのステッカーで、車内ルールが図解説明されていました。
最初は戸惑いますが、慣れてしまえば利便性が高いトラム。ぜひ大活用して、アムステルダムの街を巡ってみてくださいね!
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