アメリカは「人種のサラダボウル」とも言われるように、様々な国や地域から人々が集まる国です。その多様性を楽しむ一番の方法は、そう、「食べる」こと!
この記事では、オリジナルのレシピを保ったエスニック料理から、米国風アレンジを加えた独自の料理まで、アメリカで食べられる個性豊かな世界の料理をご紹介します。
メキシカンで手軽に栄養補給
南の国境がメキシコに接しているアメリカでは、あちこちで気軽にメキシコ料理を食べられます。野菜とタンパク質、炭水化物が揃ったメニューが多く、万能料理と言えそうです。
チェーン店では、いずれもカリフォルニア州で創業したファストフード店、「Rubio’s(ルビオズ)」や「Taco Bell(タコベル)」が有名。
「Rubio’s」は魚介類が中心のさっぱり系、「Taco Bell」はグリル中心のアメリカ式メキシコ料理を提供しています。
また、カリフォルニア州南部など、中南米に近いエリアでは、メキシコ系移民が経営する個人店舗に出会うこともできます。
スタンド方式やコンテナ車(food truck)方式で営業しているテイクアウト店、食堂のようなカジュアルなレストランが中心ですが、中には、高級志向のメキシコ料理店も。
定番のタコス(tacos)は、サンドイッチやおにぎりのように、テイクアウトでも手軽に食べられるのが魅力です。
具材は、レタスやトマトに加えて、海の近くではエビや魚、内陸部では肉が多く使われます。
アメリカで「フィッシュ・タコス」と呼ばれる人気タコスは、メキシコ西部で生まれたもの。白身魚を天ぷらのように揚げたフライが入っていて、衣の優しい甘みと、サクサクとした食感が、日本人の口にもよく合います。
刻んだアボカドと生野菜をベースにしたペースト「guacamole(ワカモーレ/グアカモーレ)」は、とうもろこしのチップス「tortilla(トルティーヤ)」につけたり、タコスなどに載せたりと、いろいろな場面で楽しめます。
メキシコに近い地域では、スーパーマーケットのサラダ売り場やレジ横の冷蔵庫に置いてあることもある、身近な素材です。
同じくさっぱりとした一品には、魚介類を野菜と柑橘類のソースで和えた「ceviche(セヴィーチェ)」もあります。こちらは、お酒のおつまみにもぴったりですので、レストランに入ったらお試しを。
テキサス独特のメキシコ料理:Tex-Mex
地域色の強いテキサス州では、独特に変化したメキシコ料理「Tex-Mex(テクス・メクス)」を楽しむこともできます。
テクス・メクスにはいくつかの特徴がありますが、ライターが実際にテキサスを訪れた際には、
- タコスなどの皮をパリッと揚げている
- 牛肉を使用するメニューが多い
といった点が印象に残りました。
例えば、「enchilada(エンチラーダ)」という料理は、通常、具材を柔らかいトルティーヤで巻き、上からソースをかけたボリュームたっぷりのもの。
しかし、ライターがテキサス州で食べたものは雰囲気がまったく異なり、揚げ春巻き風のパリパリとした筒状で、食べやすいおつまみ風のメニューになっていました。
メニューによっては、本家メキシコ料理よりも、テクス・メクスのほうが親しみやすく感じられることもあるかもしれません。
仕事や旅行でテキサス州を訪れる際には、ぜひ候補に入れておきたいジャンルです。
テキサス州独特のメキシコ風料理「Tex-Mex(テクス・メクス)」の一例。通常、柔らかい皮で包まれている「enchilada(エンチラーダ)」が、テキサスでは揚げ春巻風に。
「旨味」が懐かしい、ベトナム料理
アメリカに長く滞在しているうちに、日本の「だし」の味が恋しくなる時もあるかと思います。
近くに日本料理店があればもちろん良いのですが、そうはいかない時におすすめしたいのは、ベトナム料理です。
本記事担当ライターの家族は、実は皆、味覚に関しては「超」のつくほどの保守派。アメリカでの生活は決して短くないはずなのですが、好きな食べ物は日本で慣れ親しんだものばかりです。
そんな家族が、アメリカに来てすっかりはまってしまったのが、ベトナム料理のレストランでした。
その理由を聞いてみたところ、
- 優しい味付けで、「だし」のような旨味がある
- 香草類(レモングラス、パクチーなど)が別添えになっているので、好みに合わせて味を調節できる
- 油の少ないメニューが多く、胃にもたれない
とのことでした。
ベトナム料理の「Pho(フォー)」。別添の香草は、好みで量を調節できます。
メニューの中では特に、うどんに似た米麺「pho(フォー)」と、揚げ春巻(英語では「egg roll(エッグ・ロール)」)が気に入っているそうです。
ライター自身は、弾力のある素麺のような麺と、おかずを盛り合わせた、サラダうどん風の「Bun(ブン)」が好みです。
ベトナム料理の「Bun(ブン)」の一種。上に載っているのは、甘じょっぱい豚肉と、「egg roll(エッグロール)」と呼ばれる揚げ春巻。エッグロールは、薄い皮と、優しい味の中身のバランスが絶妙です。
また、フランス植民地時代の名残をとどめる、フランスパンを使ったサンドイッチ「bánh mì/餅麵(バインミー)」も人気メニューになっているとか。
エリアにもよるかと思いますが、我が家の近くでは、日本食レストランに比べて、ベトナム料理レストランは店舗数がずっと多く、お値段もお手頃です。
味も価格もほっとする外食に出会いたいなら、ベトナムの味を試してみては。
じわじわ人気の地中海料理
アメリカの食生活に徐々に浸透しつつあるのが、ギリシャやレバノンなどを由来とする地中海料理(Mediterranean cuisine:メディテレーニアン・キュズィーン)です。
豆や野菜、お米を使ったレシピや、シンプルな味付けのグリル料理が多く、日頃の食生活や味覚の乱れをリセットできるかもしれません。
英語で「hummus(フムス/ハモス)」と呼ばれている、アラブ地域の伝統的なヒヨコ豆ペーストは、いまやアメリカのパーティー・軽食に欠かせない存在。
地中海料理のつけあわせで出てくる、豆のペースト「hummus(フムス)」。アメリカのスーパーマーケットでも、このようにパック入りで売られています。
柔らかいマッシュポテトのような舌触りと、オリーブオイルや松の実、ガーリックなどの風味が奥深い副菜で、ライターもお気に入りです。
フムスの食べ方は、薄焼きのパン(pita:ピタ)に挟んだり、他の料理につけたりと自由自在です。
アメリカでは、メキシコ由来のアボカドペースト(ワカモーレ)と同じく、トルティーヤやクラッカーのディップソースとしても楽しまれています。スーパーマーケットでは、パンのお供として、チーズ・ハム・サラダなどといっしょに並んでいることも。
レストランで地中海料理を食べる場合には、フムスに加えて、さっぱりとした味わいのギリシャ風サラダ(Greek salad:グリーク・サラド)や、ひよこ豆でできたコロッケ(falafel:ファラフェル)などのサイドディッシュが楽しめます。
メインディッシュは、シンプルな味わいのグリル・ロースト料理(kebab/kabob)に、ピタや、細長いお米を蒸したもの、ピラフに似た Biryani(ビリヤニ)などを組み合わせたものが多いようです。
お腹がいっぱいになりますので、2人以上で分け合いながら食べることをおすすめします。
まとめ
今回ご紹介した他にも、アメリカでは世界各地からやって来た人たちが、レストランなどで故郷の料理をふるまっています。
ステーキ、バーベキュー、ハンバーガーなどを存分に楽しんだ後は、ぜひ、アメリカで食べられる世界の味に挑戦してみてください。
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