北船場の道修町はおくすりの町。難解な読みですが、「どしょうまち」と読みます。肥後橋と北浜を結ぶ土佐堀通りから、6筋南の通りが道修町です。今回は道修町を散策してみました。
軒を連ねる製薬会社
通りの両側には、武田薬品工業、塩野義製薬、田辺製薬、小林製薬を始め、名だたる製薬会社が軒を連ねています。
まずは、道修町がおくすりの町と親しまれる理由を。発端は江戸時代にまでさかのぼります。寛永年間に堺の商人である小西吉右衛門が、この地に薬種屋を興したことから、薬業者が集まるようになりました。124軒の薬種業者（株仲間）は、幕府から特権を与えられ、清やオランダなどからの薬に値をつけ、全国に流通させいったのです。以降、道修町での薬ビジネスが大きく発展していきます。
西洋医学が広がりを見せると、薬舗夜学校が開設され、洋薬の教育・研究が行われます。この薬舗夜学校は、大阪大学薬学部や大阪薬科大学の前身であり、このことからも、この町がどれだけ医療や薬学と密接に結びついているかがわかりますよね。
小西屋住宅
近代的なオフィスビルが立ち並ぶ中、この界隈にはレトロなビルも多いのです。いくつかご紹介していきます。
まずは、道修町の歴史を語るには欠かせない、小西屋住宅。
小西屋は、黄色い木工用ボンドでおなじみ、コニシ株式会社の創業時の商号。明治3年に小西儀助が製薬や洋酒や食品の製造販売を行う小西屋を創業します。
さて、このコニシ株式会社。実は著名人や商品を輩出しているのです。サントリーの創業者である鳥井信治郎氏は、小西儀助商店の丁稚をしていたとか、「アサヒビール」はこのコニシが初めて製造したのだとか。
建造物としては、大部分が国の重要文化財に指定されていることから、永久保存されることとなりました。
北垣薬品
北垣薬品は、大和屋清兵衛により創業された製薬会社です。
事業拡大していく製薬会社が多い中、当時の問屋という業態を保ちながら経営を続けています。
そして、当時の建物を現在も利用している、とても貴重な存在です。
かんてきや要
かんてきや要は、築100年の古民家をリノベーションした炭火海鮮焼きのお店。以前は医院兼住宅だったようです。
表屋造の木造2階建てで、案内されないと迷子になりそうな大きなお屋敷です。中庭には竹が植えられていて、何とも言えない雰囲気。大正ロマンですね。
少彦名神社
さて、この道修町には、少彦名神社という小さな神社があります。
「神農（しんのう）さん」と呼ばれ親しまれるこの神社は、とても小さな神社で、見落として通り過ぎてしまいそうな規模。
ここには、中国医薬の祖神「神農炎帝」と、日本医薬の祖神「少彦名命（すくなひこなのみこと）」が祀られています。江戸時代に、薬種の安全な取引と、商売繁栄を祈願して建立されました。
医薬に従事する人、医薬関係の学校への合格祈願、病気の治癒を願う人々、最近ではペットの健康祈願などで参拝する人も増えています。
春琴抄の碑
文豪 谷崎潤一郎氏が松子夫人への愛情を描いたことで知られる「春琴抄」は、この道修町を舞台に執筆されたことから、春琴抄の碑があります。
「神農祭」
さて、普段はどちらかというと殺風景な街並みですが、毎年11月22、23日には「神農祭」というお祭りが開催されます。オフィス街に突如現れる、季節外れのお祭り風景には、何やら興味をそそられます。
神農祭は、大阪で1年の最後に行われるお祭りのため、「止めまつり」、「とめの祭り」とも呼ばれて、親しまれています。
社務所の3階には、くすりの道修町資料館があり、道修町の歴史に関わる資料などが展示されています。
CHEESE CRAFT WORKS 淀屋橋
堺筋から御堂筋に出た角にあるレストランで、ランチをいただきました。
CHEESE CRAFT WORKS 淀屋橋は、珍しいチーズの専門店。
緑あふれるオシャレな外観。玄関には2頭の黄色い牛が。
白を基調にしたインテリアも、清潔感があり洗練された雰囲気です。
ランチは、サラダバー付のビュッフェランチ（4種類・1000～1180円）と、スタンダード（3種・880～980円）の2本立て。
スタンダードのローストビーフ丼（980円）が美味しそうで、かつビュッフェも魅力的でしたので、+300円でビュッフェを追加しました。
サラダバーは地野菜がメイン。滋賀産の豆苗や京水菜、白菜葉、わさび菜など葉野菜の他、パプリカ、ニンジン、きゅうりなどフレッシュな野菜が並びます。
アボガドレモンドレッシングは、とてもクリーミー。濃厚ですが、レモンが爽やかに香ってきます。これはどんな野菜にも合いそうです。焦がしニンニクドレッシングも気になります。
コーンポタージュスープもあります。
ローストビーフと卵黄のライスボウルがやってきました。ローストビーフには、オニオングレービーソースがかかっています。女子率の高いためか、ごはんは少な目にサーブされています。ローストビーフはとても柔らかく、玉ねぎを煮詰めて作る、オニオングレービーソースとの相性も抜群。
ドリンクビュッフェでは、コーヒー、紅茶、ジュースが飲み放題。コーヒーをいただきました。
カフェタイムには自慢のチーズを使った、タルトやシュークリームなどのスイーツが数多くラインナップ。メニュー選びに困ってしまいますよ。
またディナーでは、チーズとよく合う食材を使ったコースが人気。三種地野菜と自家製チーズの満足プラン（2500円）や、季節ごとのコースも用意されていて、女子会や宴会にもぴったり。
CHEESE CRAFT WORKS 淀屋橋
大阪市中央区道修町3-5-11
06-6226-4411
大阪ビジネスの中心淀屋橋や北浜からも、徒歩数分。レトロビルや近代建築、歴史的建造物の混在する道修町はいかがでしたか。
少彦名神社にある「くすりの道修町資料館」の他にも、塩野義製薬、大日本製薬、田辺三菱製薬、杏雨書屋には、医薬品に関する展示施設があり、「道修町ミュージアムストリート」と呼ばれています。いずれも入場無料です。勅許看板や、田邊五兵衛商店の売掛帳など、とても興味深い収蔵品が見つかりますよ。
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