本格的な京料理がいただける美濃吉

大阪

天満橋にある京懐石美濃吉。気軽に本格的な京料理を味わいたい時にぴったりの料亭です。

 

美濃吉は、来年で創業300年を迎えようとしていますが、江戸時代は徳川吉宗の時代に、京都は三条大橋のたもとに開かれた腰かけ茶屋が始まりとされています。腰かけ茶屋といいますと、時代劇によく出てくる赤い腰かけを彷彿させますね。創業当初は簡単な豆腐料理などを出していたのだとか。

店主は、美濃(現在の岐阜)から上京した、美濃屋吉右衛門。その後、川魚などを調理して提供するようになり、現在の形に近づいていったようです。

 

今回は、しっとりと個室(要テーブルチャージ10%)をご用意いただきました。華美な飾りはほとんどなく、落ち着いた雰囲気。機密性がありとても静かです。接待にも向いていそうなお部屋です。

 

ところで、懐石と会席の違いをご存じですか?

一言でいうと、懐石料理は「お茶」を楽しむためのお料理で、会席料理とは「お酒」と楽しむためのお料理なのだとか。

 

懐石料理とは、修行僧が、温めた石を懐に入れて暖を取った故事から来たもので、空腹しのぎという意味合いがあるそうです。
一方、会席は俳句や短歌を詠みあう席のことを指し、一汁三菜、酒の肴を主体としたコース料理です。つまりは会席の方が豪華に感じられるのですが、謙遜の意味を込めて「懐石」を謳っている料亭は少なくないでしょう。

 

深く考えることもありませんが、今回は花懐石(5400円)という、デザートを含む8品を楽しめるコースをいただきました。

 

まずはお通し特製湯葉と、彩り盛り合わせに食前酒が用意されてきました。

美濃吉のルーツともいえる豆腐料理・湯葉は、とろりとした食感で、舌触りもなめらか。生わざびと相性抜群です。花レンコンや黒豆、鶏の松風焼きなど、新春のおめでたい雰囲気を表現しています。

食前酒はすっきりとした飲み口の辛口日本酒でした。

 

そして、お造りの盛り合わせ

ここにも湯葉が。先ほどのとろり感のある湯葉とは違い、しっかりとした湯葉です。水っぽくなく豆腐の旨みが凝縮されています。イカはアオイカでしょうか、軽くあぶられています。しっかりした身でありながら噛み切れるほどの柔らかさ。中トロ、身がしまった鯛も新鮮さを感じます。黒い水前寺海苔があしらわれています。

 

里いも、金時人参、小餅、菜の花が入ったお雑煮です。

上質な白みそを使ったクリーミーなスープは、丁寧で上品な出汁がきいていて、本当に温まります。菜の花は辛し和えにしてあり、全体に辛味を感じます。

 

こちらがメインのお料理。天ぷらとお肉の贅沢な一皿です。

天ぷらは、大海老とカニの爪、かぼちゃなどのお野菜がカリッと揚げられていて、大根おろし入りのおつゆでいただきます。海老の柔らかさ、カニ身の甘さに顔がほころびます。

 

お肉料理は、国産牛の炙り焼きで、食べやすいサイズが4切れ。中はきれいなピンク色で、まるでローストビーフ。とても柔らかいお肉でコクのあるソースとよく合います。

 

小さなサラダが添えられています。水菜、揚げ湯葉に、ジュレ状の和風ドレッシングがかかっています。こんなに小さな一皿にも、凝った一面が見られますね。

 

鰤と蕪の炊き合わせです。少し辛味のある蕪は、きれいな形のままトロトロに柔らかく煮てあります。

柚子の皮の香りよく、さっぱりといただきました。

 

炊きこみごはん、香の物、赤だしです。

炊きこみごはんに赤いものが見えますね。これは梅ではなく、近江の赤こんにゃくだそうです。赤こんにゃくは、日本料理では時々目にすることがある食材ですが、普通のこんにゃくと同じように刺身や煮つけにして食べることができます。普通のこんにゃくよりも弾力が強く、パンチの効いた色ではありますが、辛くはありません。薄揚げと一緒に炊き込んであり、つや感があるごはんが美味しくて、ついお代わりしてしまいました。

 

香の物は控えめな塩味。赤だしも深みがあり、きれいにいただきました。

 

コースの最後はお楽しみのデザート6種盛りオレンジ、バニラのアイスクリーム、りんごのコンポート、栗きんとん、メロン、わらび餅の6種を1口ずついただきます。わらび粉にはランクがあり、黒に近づくほど高級なものとされるのだとか。この黒いわらび餅の弾力がたまりませんでした。

 

やはり最後に甘味をいただくと達成感がありますね。

食後の温かいほうじ茶も、身に染み渡りました。

 

 

お料理もさることながら、器の美しさに見惚れてしまいました。

そして、西洋料理の豪快さと比較した時の、和食の繊細さ。どちらもそれぞれの良さがありますが、少しずつ色々なお料理を楽しめるところは、こういった和風懐石・会席の魅力の一つだと改めて感じました。

 

温かいお茶を何度も替えてくれるなど、仲居さんのふるまいやサービスにも、心温まるものを感じました。たいへんリーズナブルに本格的な京料理をいただけるとあって、連日、年齢層を問わず多くのお客さんで賑わっています。

 

川沿いという好立地から、大川や中の島の眺望を楽しむお席もあります。色々なシチュエーションで使い分けてみてはいかがでしょう。

 

 

美濃吉 天満橋店

大阪市中央区天満橋京町1-1 京阪シティモール8F

06-6910-8760

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