東北以西はすっかり桜も散りましたが、南北海道はGWが桜の見どころで各地は花見や観光客でにぎわいました。今回は、北海道屈指の桜の名所、函館・五稜郭公園と、近年、北海道を中心に人気が高まっている、桜並木が美しい函館市松陰町にある桜ヶ丘通りを訪れてみました。
ソメイヨシノが五稜星を取り囲む
箱館戦争関連や、冬場のライトアップで、函館観光の有名どころ、五稜郭公園は何度も紹介していますが、春は北海道でも屈指、そして北日本でも青森県・弘前公園に並ぶ有数の花見どころだと思います。そして、満開は毎回GW真っ盛りの5月初旬となるので、地元民と観光客で文字通りごった返します。人込みが苦手な筆者は、しばらく桜の時期の五稜郭は避けていましたが、久々に素晴らしい桜の咲き乱れを鑑賞しに5連休の初日の5月3日に同公園へ向かいました。
こちらが、五稜郭タワーから見下ろしたソメイヨシノが満開の五稜郭公園です。筆者もぜひ五稜郭タワーから桜の時期の公園全景を撮影したいと思っていました。しかし、予想通り公園周辺やタワー乗り場はかなり込み合っていて、待ち時間が30分という、今まで経験したことのない混雑ぶりです。下の写真は展望室から降りた後の2階から見下ろした行列です。ここまで混むのはGW期間しかありません。
20分ほど並んで受付に到着。大人900円です。ちょっと高いかなという印象が正直なところ。そして10分ほど待ってようやくエレベーターに乗ることができました。展望室もいつもの10倍ぐらい混雑ぶりでしたが、1枚目の全景写真のように並んだ甲斐がありました。外堀から内堀まで五稜星の形にソメイヨシノがひしめいている光景はまさに美麗。
大正3年(1914年)に市民に一般開放された五稜郭公園は、当時の函館毎日新聞が同年から約10年をかけ、数千本のソメイヨシノを植樹し、現在も約1600本が残っています。このような星形の城を取り巻く桜をタワーから見下ろす光景は日本でも五稜郭だけかも知れません。桜の数はそれほど多くありませんが、様式美はピカイチだと感じています。
五稜郭は冬場のライトアップイベント「五稜星の夢」とこの桜の時期が一番オススメかと思います。季節によって、色々な表情を見せてくれますが、桜に囲まれた五稜郭を綺麗だと思わない方はいないはずです。大変な混雑ぶりですが観る価値はあると言い切っちゃいます。
北海道の花見はジンギスカン!
さて、今度はタワーを降りて、公園内を散策します。もちろん、公園内も大混雑です。昨年も北海道新幹線開業の効果か、観光客が目に見えて増えていましたが、今年もすごい、という印象です。
そして、北海道の花見と言えばバーベキューでジンギスカンパーティーとなります。五稜郭公園も花見の時期に限って、外堀で火器の使用を許されます。昼間から地元の方々はドンチャン騒ぎをしています。
桜の木の下は焼肉の匂いと煙に包まれます。遅い春を楽しむ道産子の鉄板の習慣です。筆者も参加したいぐらい楽しそうでした。
外堀・内堀も撮影スポットだらけ!
五稜郭公園の桜はタワーだけではなく、公園内外からでも撮影スポットだらけです。自分の工夫次第でスマホでも素晴らしい写真が撮れるでしょう。まずは外堀から歩いてみます。
満開なので、まだ花びらはあまり散ってはいませんが、散り始めると堀のそこかしこに「花いかだ」ができ、これもきれいです。
この時期の函館にしては異例の摂氏20度を超えたので、堀の中でボートを漕ぐカップルや家族連れも多かったです。また、ジンギスカンパーティーのおこぼれを狙っていたのか、五稜郭はやや内陸部にも関わらずいつもよりカモメが多かったのも印象的でした。
やはり、五稜郭タワーをバックにあらゆる角度から撮影するのも定番ですね。本当に、どこから撮っても絵になります。みなさん、スマホやカメラを構えベストポジションを探し撮影しています。
北海道のソメイヨシノは、本州のそれと比べて色が白っぽくほんのり淡いピンク色が特徴です。寒冷な気候がそうさせるのか、控えめながら上品な表情がとても美しいと感じます。写真で撮ると白く写るのがたまにキズですが。
太陽が傾いてきた時間帯に、逆光で水面が照らされるお堀と桜とボートの写真をとってみました。綺麗なシルエットの写真になったと思います。
さて、外堀の撮影にある程度の目処がついたら、内堀に入場しましょう。もちろん、無料です。内堀からも撮影場所がまさに無限と言っていいほど存在します。自らのイマジネーションを駆使して、良い写真を狙って下さい。基本的には、内堀の上に登って周囲を散策するのが基本でしょう。
桜は日本を代表する樹木で、可憐な表情を見せますが、日本人の死生観と結びつく木でもあります。わずか1週間程度の儚げで美しい花を咲かせ、潔く散っていく。桜が散る明治2年(1869年)5月18日に、箱館戦争は終結しています。時代に抗い、潔く函館で散った新撰組・土方歳三はこの五稜郭公園内のどこかで眠っている可能性が高いと言われます。桜を見ると土方ら旧幕府軍兵士の最後を想像してしまいます。
写真のように内堀の内部と、外部は見下ろす形で桜が連なっています。まさに白い桜の花びらの海です。
非常に立体的な様式美を見せてくれます。日が傾くと、桜と太陽のコラボレーションも美しいですよ。
時間帯や天候で見え方が様々に変化
陽が沈むとマジックアワーになり、五稜郭タワーもライトアップされます。桜との対比がまた見栄えがします。時間帯によって様々に見え方が変化するので、カメラ好きには何時間いても飽きない景色です。
結局、午後7時の閉門まで、撮影を行い、裏門から外堀に出る羽目になりました。筆者以外にも、若い方も含め結構いましたので、この景色にすっかり魅せられた人が多いということでしょう。日も暮れて、夜桜も一部分ですが、ライトアップされます。
タワーの周りは提灯が照らされて、桜が朱色に染められて夜祭のムードに。夜9時近くなっても人の流れは衰えず、酔客の宴はより盛り上がっていました。
久々に来た花見の名所・五稜郭公園。少なくとも北海道では第一級の価値があると改めて感じました。
まさに桜のトンネル!新名所・桜ヶ丘通り
函館で桜の名所といえば第一に五稜郭公園、その次に函館山山麓の函館公園が挙げられます。ですが、近年、北海道で注目を浴びているのが、五稜郭に程近い電車通り沿いにある「桜ヶ丘通り」です。湯の川温泉からは市電で約10分の柏木町電停下車、徒歩2、3分の細い通りです。
柏木町と松陰町の町境を走る一車線の同通りは800mあり、約100本のソメイヨシノを中心とした桜が両脇に植えられています。昭和初期に沿道の住民の皆さんが植樹し、その後、枯れ死などしましたが、苗木を購入するなどして町内会で自主的に再生に乗りだし、現在に至っています。現在も、並木の意地と清掃を怠らずに、桜たちの晴れ舞台に備えているといいます。筆者が訪れた時もまさに満開でした。
桜が見事なまでのアーチ状となり重なり合い、桜のトンネルのようになっています。近年はローカル雑誌やテレビで紹介されるようになり、花見の時期は見物の乗用車で常に渋滞となります。個人的には歩いて散策をオススメしますが、道幅が狭く歩道もないので乗用車が危険です。できれば桜の期間中は歩行者専用にできれば、もっと人気が出ると思うのですが、基本的に住宅街の公道なので難しいのかも知れません。どちらにせよ歩行者も、乗用車もマナーをしっかり守って楽しんでほしいと思います。
わずか800mの通りですが、本当に見どころは十分です。通り沿いには函館では有名な天然酵母のパン屋「パン研究所 神戸こむぎ館」が人気。
今回は自宅用に、フランスパン「パン・ドゥ・カンパーニュ」を購入しました。人気のパンは午前中に売り切れになってしまうようです。また、お寿司屋さんや、新しいカフェも数軒ありますので、散策に疲れたら、ひと休みすることもできます。
住民の方の努力で、新しい桜の名所となった桜ヶ丘通り。五稜郭や湯の川温泉からも近いのでGWの時期にぜひ訪れてみて下さい。
まとめ
函館出身の筆者が数十年ぶりに訪れた花見の時期の五稜郭はちょうど満開の時期で、タワーからも公園内からも素晴らしい景色でした。個人的には青森県・弘前公園にも様式美としては決して負けていないと思います。桜ヶ丘通りの桜並木も、100本ながらまさに桜の白いトンネルといった様相で、見応え十分です。住民の方の再生の努力を無駄にしないよう、見学者も最低限のルールを守って楽しみたいものです。
<スポット情報>
五稜郭公園
住所:北海道函館市五稜郭町44
TEL:0138-31-5505(管理事務所)
URL:http://www.hakodate-jts-kosya.jp/park/p_goryokaku.html
五稜郭タワー
住所:北海道函館市五稜郭町43-9
TEL:0138-51-4785(五稜郭タワー株式会社)
URL:http://www.goryokaku-tower.co.jp/index.html
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