北海道現代アートの中心!?広大な札幌芸術の森を堪能!

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札幌は人口約190万人の大都市でありながら、広大な大地に手つかずの自然が残る稀有な街です。その自然を生かした、札幌や北海道の芸術文化の一翼を担うのが、札幌市郊外にある「札幌芸術の森」です。すでに終了していますが、札幌国際芸術祭が行われている時期に、芸術の森を訪ねてみました。

 

約40haの広大な敷地に様々なアート施設あり

札幌芸術の森は、札幌市中心部からは約18㎞南の丘陵内にある、約40haという広大な施設です。昭和61年(1986年)7月にオープンし、約142億円の事業費、15年の歳月をかけ現在の形になっています。開放感あふれる敷地内には美術館や野外美術館、美術やクラフト体験施設、貸工房や研修用施設があります。アクセスは地下鉄さっぽろ駅から南北線で終点の真駒内駅下車、そこから「じょうてつバス」に乗り15分の場所にあります。

池の中の白い3対の造形物も「浮かぶ彫刻・札幌」という、マルタ・パン氏(ハンガリー)の彫刻で、芸術の森のシンボルのひとつだとか。風や水の流れを受け、市や向きを変えています。アート好きにはたまらない場所ですが、自然あふれる都市公園として、犬の散歩やウォーキングを行う市民の方々も目立ちます。また、演劇や野外コンサート会場としても使われている複合文化施設です。今回は、8月から10月1日に行われていた、札幌国際芸術祭の一環としての展示も行われていたので足を運んでみました。

 

3年に1回、札幌各地で行われる芸術イベント

札幌国際芸術祭は、3年に1回、札幌市全域の施設を舞台に行われるイベントです。第2回となる今回は、音楽家の大友良英さんを、ゲストディレクターとして迎え約2年もの準備期間をかけ開催を迎えたとか。

まずは、芸術の森美術館へ。1990年開館した同館は札幌や北海道ゆかりの作家の作品や、国内外の近現代美術作品を収集の中心とし、多彩で個性的な特別展を年5~7回開催し、美術に関する調査研究活動を行っています。

美術間はほかに、野外美術館佐藤忠良記念こどもアトリエなども併設しています。ここのメインは野外美術館になりますが、後程、紹介していきます。入館料は展覧会により異なります。美術館に入るとすぐ入口の部屋に、今回の芸術祭の展示が。

前衛芸術家として名高いという、刀根康尚氏の「雨が降る(Il Pleut)」という作品です。ニューヨークを拠点に先端的な仕事を続けている同氏の当作品はG.アポリネールの同名の視覚詩の朗読音声を、ポールに取り付けたいくつものスピーカーから響かせ空から音の滴として降らせるものです。

音声が文字通り、天井から降ってくることによって、鑑賞者それぞれの体験や感性の中で、意味が発生するような感覚です。芸術には無頓着な筆者ですが、非常に感覚的な、トリップするような気持になりました。

メイン展示に続くガラス張り廊下には大友良英氏らがディレクションした「(with)without record」という作品です。

いくつものアナログのレコードプレイヤーが並び、次々にむき出しになった回転盤が回っていき、不協和音を奏でていました。今回の芸術祭展示は映像や音を駆使し、人間の五感に訴えるものを感じます。

廊下を過ぎるとメインのクリスチャン・マークレーの展示です。ここからは残念ながら、撮影禁止となっています。マークレーは、30年以上にわたり、彫刻、ビデオ、写真、コラージュ、音楽、パフォーマンスなど幅広い作品を製作、聴覚、視覚との関係を追及してきました。多くは説明できませんが、今回の作品群は音とモニターや、古いパソコン、携帯電話から流れる繰り返される映像美がこれでもかと繰り返され、鑑賞する人は非日常の世界へ一瞬にして送り込まれる、そんな感覚でした。

美術館内にはカフェ「ラ・フォリア」もあり、焼き立てワッフルと紅茶をいただくことができます。カップルにもオススメです。

 

広い丘陵に74点もの彫刻が展示される野外美術館

美術館を出て、散策路を通って、野外美術館へ向かいます。敷地にある池にはマガモやカルガモが泳いでいます。

人が来ると、餌をもらえると思うのか、まったく逃げることもせず近寄ってきました。緑と山林に囲まれているので、開放感にあふれ散策にももってこいです。広大な敷地なので土日祝日は無料の園内循環バスも走っています。

エゾリスやエゾシマリスも現れるようで、写真のような看板もありました。丘陵の階段を上がると、野外美術館が現れます。

石造りのシンボルレリーフも向井良吉氏の作品です。写真左のブロンズの造形物も「昇」というライモ・ウトゥリアイネン氏(フィンランド)の作品が出迎えてくれます。園内に森林に囲まれ、起伏に富んだ7.5haという広い敷地の中には64作家、74作品の美術品が展示されています。日本を中心にノルウェーの彫刻家グスタフ・ヴィーゲラン氏の作品、札幌の姉妹都市(ポートランド、瀋陽)からの寄贈作品など多士済々です。見忘れた作品もあり、すべての作品を紹介することはできないので、個人的に印象に残った作品をピックアップしていきたいと思います。入り口から階段を登ってすぐ目についたのは5つの帆をめぐらした「雲の牧場」という新宮晋氏の作品です。

風に吹かれて帆は舞い踊り、目に見えない自然からのメッセージが伝わるように意図した作品だとか。

「ふたり」という朝倉響子さんの作品です。女性2人がゆったりと腰を下ろしてくつろぐ姿は、そこはかとない女性美が感じられました。

印象に残ったのが、なだらかな丘陵に沿って、ダニ・カラバン氏(イスラエル)の7つの造形物を巡り歩く連作「隠された庭への道」です。

遊歩道沿いの木陰に高さ7メートルの門が置かれています。内側に金箔が張られていて、非日常の体験を予感させます。その向こうには2つの直径7mのドーム(丘)があり、鑑賞する人が、自分が立つ地面を意識させます。

その向こうには7つ直径1.4mの四角の造形物が7つ並び、そこから、噴水が噴き上げます。向こうは直径、高さ7mの円錐です。入り口から中に入ることができ、森が奏でる音が集約され響いてきました。

円錐を過ぎると水路があり、約70mの蛇行した水路に水が流れています。水の流れは、ダニ・カラヴァン氏にとって生命の象徴だとか、水路の向こうの2つめの門を通りすぎ、小道を登ると、森の茂みの中の「隠された庭」にたどり着くのです。

円形の直径7mの庭に包囲に合わせて8個のベンチが置かれています。自然との対話や自分との対話を意識させる、不思議ながらも落ち着いた空間でした。気づいた方もいるかも知れません。この作品は数字の「7」がカギとなっているようです。「7」に作家がどのような思いを込めているのか、こちらが想像するのも感性を刺激されますね。

 

ユニークな人気作品「椅子になって休もう」

多くの作品は、作家が芸術の森を訪れて、地形や周囲の状況、札幌の気候を元に製作されたものです。その中でも、人気の作品をひとつ紹介しておきましょう。

福田繁雄氏の「椅子になって休もう」という作品です。ポリエステルでできた人の像が椅子の形となって幾重にも輪になって重なり合っています。座った人は誰かのために椅子になる。その輪が続けば最後尾の人も座れるはず、というコンセプトだとか。人数は21人。助け合いの精神に満ちた21世紀への期待と思いが込められているようです。観光客やカップルにも写真スポットとして1番人気です。

北海道出身の作家・砂澤ビッキ氏の「四つの風」という作品です。木材の作品をあえて野外に設置し風雪により作品が変化していくことを望んでいます。元々は4つの柱状の作品でしたが、1986年からの展示で、2010年、2013年と次々に倒壊し、現在は1本となっています。作品が土に還っていくまで展示を続けるそうです。風化を含めて作品のひとつということなのでしょう。

 

旧有島武郎邸もおすすめ

野外美術館以外では、有島武郎旧邸もおすすめです。

有島武郎は近代日本文学を代表する小説家です。農学者を志し、札幌農学校(北海道大学の前身)に入学。「カインの末裔」「生れ出づる悩み」「或る女」など、札幌を舞台にした代表作を生み出しています。この旧邸で暮らしたのは1年足らずですが、幾度かの変遷を経て北大の持ち物となり、職員や大学院生の寮として使用されました。昭和58年に廃寮となってから芸術の森に移築され、有島武郎の資料室となっています。大正浪漫あふれる洋風の建物は有島のこだわりを随所に感じさせるものです。

 

まとめ

今回、紹介したのは芸術の森の約半分の地域でしょうか。作品もわずかしか紹介しておりませんし、広大な野外ステージやアートホールなども見応えがあります。すべてを回るには1日では足りないかもしれません。市民の皆さんはもちろん、アートに興味のある観光の方も訪れてみて欲しいスポットです。北海道のスケールの大きさを感じられると思います。

 

▽スポット情報

札幌芸術の森

住所:札幌市南区芸術の森2丁目75番地

TEL:011-592-5111

URL:https://artpark.or.jp/

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