バンコク市街には、MRTと呼ばれる地下鉄と、高架鉄道BTSとエアポートリンクという2系統敷設されており、合計3つのラインの鉄道が走っています。逆に言えば電車はその3本だけで、それ以外はバスを含めて全て道路を利用するため、世界有数の交通渋滞を巻き起こすわけです。
しかしながら、この3つのうちMRTとBTSはあちらこちらで拡張工事が続いており、現在のカバーエリアがかなりの範囲で拡大される計画で、近い将来、バンコクの移動手段が劇的に効率化する方向に計画が進んでいます。
その計画が完成すれば、世界ワースト渋滞ランキング常連の汚名返上が出来るかもしれません。
本記事では、その鉄道の2017年における状況と今後の計画についてご紹介してみたいと思います。
2017年現在の鉄道の状況
2017年現在の地下鉄MRT、高架鉄道BTS、エアポートリンクの路線の状況は図のようになっています。
このうち、バンコク在住者がバンコク内を移動するためのメインの鉄道は、MRTとBTSです。どちらも、バンコクで最も栄えているエリアを通りながら、郊外へ向かう路線になっています。
それに対してエアポートリンクというのは、スワンナプーム国際空港からそのMRT及びBTSの駅に接続するのが主目的の鉄道で、生活用にはあまり利便性の高い鉄道ではありません。
エアポートリンクは、駅数も少なく、また本数が他の2つに比べて圧倒的に少ないため、ラッシュ時などは、マッカサンなどの主要な駅では、プラットホームがすぐに人で溢れてしまい、タイローカルユーザーの間でも非常に評判が悪いです。
また、スワンナプームという国際線が発着する空港に接続しているため、タクシー代を節約したい世界中の旅行者がバカデカイ荷物とともに大挙して乗ってくるため、車内もとても狭苦しい中に身を置くことになります。
BTSは、北はウィークエンドマーケットで有名なチャトチャック公園に隣接するモチット駅から南下してバンコク市街の要所であるサイアム駅を通過し、日本人にはお馴染みのプロンポン、トンローというエリアがある東方へ向かいます。
また、サイアム駅からは、旧市街の方へ向かうシーロム線という別の線も出ています。
BTSは、バンコクの主要な場所ほぼ全てにアプローチができ、本数も非常に多いので生活者に取っても観光客に取っても利便性が高い鉄道です。さらに、ビクトリーモニュメントという大きなバスターミナルに接続しているため、非常に利用客が多いです。
MRTは、バンコク市街の南西部である旧市街近辺から、シーロム、スクンビットという一番の繁華街を通過して、ラチャダーピセーという居住者の多い通りの下を北上して、最終的にチャトチャック公園まで行っています。MRTは、最も利用客の多いスクンビット駅のラッシュ時には積み残しは発生するものの、本数も多く利用しやすいため、バンコクの生活者にとっては極めて便利な鉄道です。しかも、BTSに比べて若干割安なのも好印象なところです。
今後の計画
BTS、MRTともに、現在、方々で伸長工事が進んでいますが、2020年までが一つの区切りの目安になっています。それらをここに記述してみますと、
1.BTSスクンビット線の拡張(バンプーまで)
2.BTSシーロム線の拡張(ボロッマラチャチョンナニまで)
3.MRTブルーライン(フアランポーンとバンカエまで)
4.エアーポートリンク レッドライン(バンスーからマッカサンまで)
5.BTSオレンジライン(タリンチャンからミンブリまで)
6.BTSイエローライン(ラプラオからサムロングまで)
7.BTSピンクライン(カエライからミンブリまで)
さらに、2020年以降の計画(先すぎて、変更になる可能性が高い気がしますが、この国の場合)は、以下のようになっています。
8. ダークレッドライン(ランシットからタマサート大学まで)
9.スワンナプームレール(バンナからスワンナプーム空港まで)
10.BTSライトブルーライン(プラチャソンクローからチョンノンシまで)
11.BTSグレーライン(ワッチャラポーンからトンローまで)
12.BTSゴールドライン(クロントンブリからワットアナカラムまで)
以上の計画が全て開通をすると、以下のようなマップになることになります。
どうでしょう?上に示した2017年の現状のものに比べると、まぁ如何に充実するかが絵的にもよく分かりますね。日本の都市と比較すれば、東京や大阪のようには行きませんが、福岡クラスは超えてくる事になりそうです。
ちなみに、BTSの2017年6月現在の東端の駅は、Samrong(サムロン)駅。そのプラットフォームに立ってみると、その先に建設中の次の駅が見えます。ちょうど進行中のフロンティアの感じが見て取れます。
まぁ、あくまでも計画通りに行ったら、の話ではあります。時間的な遅れなどあって当たり前の世界ですが、遅れても完成すれば大したものと称賛したいところです。
鉄道の使い方
現行のBTS、MRT、エアーポートリンク、いずれの鉄道も、基本的には乗り方同じです。改札のそばにある自動販売機でチケットを、行き先を選んで購入するのですが、ここでBTSはMRTに比べて若干融通が利きません。
MRTの場合は、自動販売機には札が入りますし、また、窓口でもチケットを購入することができます。この点、BTSの場合は、まず札を受け付けず小銭しか通用しない自動販売機が圧倒的多数で、しかも窓口では基本的にチケットの購入ができず、基本的には札を小銭に崩すことしかしてくれません。
特に、乗降客の多いサイアム駅やアソーク駅あたりのラッシュ時には、いちいち小銭に崩すのに並び、さらに自販機の前で並ぶという二重苦のような状態で、そもそも絶対的な人の数が多い上に、その流れが悪くなりカオス的状況が発生します。
MRTやBTSには、チャージ式のプリペイドカードも用意されているので、頻繁に使うユーザーは殆ど全ての人がこれを利用するのですが、これを家に忘れたりすると悲惨な目に会うことになります。
また、BTSは効果鉄道すなわちモノレールなので、駅も全て地上よりも高いところにあるわけですが、エスカレーターやエレベーターの設置が極めて少ないです。エレベーターに至っては、普通には使えず、利用するにはスタッフを呼び出して許可を得るという工程が必要になります。大きな荷物やベビーカー、車椅子といった特に必要な場合のみ、利用できるというレギュレーションなのかもしれませんが、観光客の非常に多いこの街でこのインフラは配慮が足りないと言わざるをえないという印象です。
進行中の建設工事の状況
上でご紹介したように、現在は街のあちらこちらで様々な形で工事が進行中です。BTSの路線図には、すでに工事が進行している駅がすでにうっすらと描かれていました。
車内の電光板形式の路線図も、工事の進捗に合わせて継接ぎがしてあり、いかにも拡張中という様子がありありと伺え、何か微笑ましい気分になります。
バンコク生活者のみならず、旅行者にとっても2020年以降の画期的な利便性向上に期待を膨らませるところですが、逆に言えば、工事中の現在は、暫定的な車幅の縮小などで通常の渋滞よりもさらに酷い渋滞を巻き起こしています。特に、雨季の酷い雨が重なると、道路が冠水し、それによりスタックする車が出てきて、ニッチモサッチモ行かないような状況が頻発します。
とにかく、バンコク生活者としては、現在工事中のどこの線に関しても、1日でも早い工事完成を祈るばかりです。
まとめ
生活者も旅行者も、世界でバンコクのファンは多いのですが、誰にとっても一番の頭痛のタネは渋滞。
この鉄道の拡張計画で、劇的な変化が生まれることを切に願います。
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