イタリアといえばスパゲッティ、パスタの国です。イタリア人のパスタの消費量は当然世界で一番で、続くヴェネズエラの約2倍、1人当たり年間25キログラムを食べているのです。せっかくパスタの本場イタリアに来たからには、有名なアルデンテの美味しいパスタを食べることをお勧めします。イタリアではパスタのソースよってパスタの形が決まっているので、いろいろ日本では見られない形のパスタがあります。生のパスタは無理だけど、乾燥のパスタならお土産に持って帰ることも可能です。ここでは、イタリアで買いたいパスタについてご案内いたします。
パスタのルーツは中国?イタリア?
パスタの起源については諸説いろいろあります。中国でも早くから小麦を練った麺を食べていたので、マルコ・ポーロが中国からヨーロッパへもたらした、という説が有名ですが、小麦の歴史はとても古く、紀元前3000年ころから地中海で小麦の栽培が始まり、古代ローマの時代には小麦と水を練ったピザの原型のようなものやパンなども食べられていたことを考えると、イタリアはイタリアで、中国は中国それぞれの地域で独自に発達していったような気がします。
何はともあれ、現在のイタリア人の食生活に、パスタはトマトソース、ミートソース、アマトリチャーナにカルボナーラと、様々な形で毎日登場する欠かせない食べ物です。年間一人当たりの消費量が25キログラムということは、平均で毎日70グラム弱のパスタを食べている計算です。これだけ食べているのですから、当然イタリアのパスタ文化というのは世界一発達して、美味しい本場のパスタが食べられます。
1600種類もあるパスタの形!
ところで日本で人気のスパゲッティとパスタってどう違うのでしょうか?実はスパゲッティとは、麺類を意味するパスタの種類の1つです。イタリアではスパゲッティだけではなく、いろんな種類があるのです。スパゲッティのような長いパスタをパスタ・ルンガ(PASTA LUNGA)といいますが、切り口がスパゲッティのように丸いものと四角いもの、丸だけど中が空洞になっているもの、きしめんのように幅広いフェットチーネなどがあります。また、それぞれ細いものから太いものまで、実にバラエティにあふれています。
一方、マカロニのように短いパスタをパスタ・コルタ(PASTA CORTA)と言います。イタリアでは、スパゲッティよりもパスタ・コルタのほうが一般的です。なぜなら、スパゲッティのようにくるくるしなくても、フォークで突き刺して食べられる手軽さと、スパゲッティのようにソースが飛んだりして洋服を汚す心配がないからです。特に子供には、スパゲッティよりパスタ・コルタが向いています。離乳食に使えるお米のような小さなパスタまであります。また、パスタ・コルタのほうがスパゲッティより火の通りが遅いので、たくさんの量を作るときはソースを絡める間に伸びすぎることなく上手にできて便利です。
このほか、ラヴィオリのような詰め物入りのパスタ(PASTA RIPIENA、パスタ・リピエナ)もイタリア人の大好きなメニューです。大きく薄く伸ばしたパスタに、リコッタチーズやハム類などを詰めて調理したものですが、その形によって、ラヴィオリ、トルテッリーニ、カネローニ、ラザニアなど、種類が豊富です。このワンタンや餃子を思わせる詰め物入りパスタは、イタリアではスープの具にしたり、茹でてトマトソースやバターと和えたりします。
イタリアで手打ちパスタを堪能する
これまで見てきたように様々な形状があるパスタですが、さらに日本でもおなじみの袋に入って売っている乾燥パスタ(PASTA SECCA、パスタ・セッカ)と新鮮な生パスタ(PASTA FRESCA、パスタ・フレスカ)に分かれます。イタリアではパスタのみ扱うパスタ専門店(PASTIFICIO、パスティフィーチョ)があり、いろんな種類のパスタを買うことができます。
生のパスタは日本まで持ち帰れないので、イタリア滞在中にぜひ試してほしいもののひとつです。レストランなどで、手作りパスタ(PASTA FATTA A MANO、パスタ・ファッタ・ア・マーノ)とあれば、ぜひお試しください。
乾燥パスタの王様!IGP認証パスタのグラニャーノ
パスタのルーツはともかく、乾燥パスタのルーツは、イタリア半島南部やシチリア島。12世紀ごろには小麦粉を水で練り乾燥させた現在の乾燥パスタのようなものを保存食としていたそうです。その後、16世紀頃にパスタ生地に強い圧力をかけてパスタの形の穴から押し出して成形する圧力機が登場したのをきっかけに、パスタ産業がナポリ地方で一気に花開きます。
特にナポリ郊外の街グラニャーノ(GRAGNANO)は、もともとシルク製品の製造で有名な街だったのですが、18世紀にはパスタの街としてすでに名を馳せていました。ここは小麦の産地プーリア州からの原料が集まる街道があり、しかも、この町の暖かい太陽と湿った風が、パスタをゆっくりと乾燥させていくのに最適だったからです。また、パスタの原料として大切な良質の水が豊富にあり、この地方のパスタに特徴的な美味しさを生み出していったからです。1845年には当時のナポリ王ボルボン家のパスタ御用達となるほどの美味しさだったのです。
いまだに昔ながらの製法を大切に守り続ける小さなパスタの製造業者の町グラニャーノでは、2005年にEUが定めるIGP(INDICAZIONE GEOGRAFICA PROTETTA、指定地域保護認定)という認証を与えられ、GRAGNANO CITTA DELLA PASTA(グラニャーノ・チッタ・デッラ・パスタ)という組合を作っています。このIGP認証は、パスタだけではなく、あらゆる食品について選ぶときの安心な基準になります。
お土産にしたいおすすめパスタは?
パスタの本場だけあって、いろんなパスタがあります。スーパーへ行ってみるとあまりの多さに驚くことでしょう。できることなら、100%イタリア製の小麦で造られた製品を選びたいものですね。実は硬質小麦を使って作る乾燥パスタは、原料にカナダ産の小麦が使われていることが多いのですが、せっかくイタリアで買って帰るのなら、100%イタリア製にこだわりたいところです。
パスタの形もいろいろありますが、スパゲッティは折れてしまう可能性が高いので、出来るだけショートパスタを選ぶほうが安心だと思います。おすすめはリボン型のファルファッラ(FARFALLA)やねじれたパスタのフジッリ(FUSILLI)。また、最近イタリアで人気なのが、茹でずに使えるラザニア用のパスタ。オーブン皿にホワイトソースとミートソース、そしてそのままパスタを重ねていってオーブンに入れるだけで、本格的なラザニアが簡単にできてしまいます。その他、ミネストローネに浮かべたり、離乳食にも使える小さなパスタもお土産には面白いと思います。ぜひ、お試しください。
100%イタリア製のパスタ
1.GRAGNANO CITTA DELLA PASTA(グラニャーノ・チッタ・デッラ・パスタ)・・・ IGP認証を受けた12件のパスタメーカーの製品。特におすすめは次のメーカー。
DI MARTINO(ディ・マルティーノ)
GENTILE(ジェンティーレ)
DEI CAMPI(デイ・カンピ)
2.VOIELLO(ヴォイエッロ)
一般的なパスタメーカーとして有名なBARILLA(バリラ)から100%イタリア製シリーズとして最近登場しましたが、テレビなどでのCMも多い甲斐あって人気上昇中です。アブルッツォ、モリーゼ、カンパーニャ、プーリア州のAUREO(アウレーオ)種の小麦を使用していてたんぱく質分が14.5%もあり、従来のバリラシリーズの12~13%に比べてかなり硬質なパスタです。普通の乾燥パスタと違い、表面がざらざらした白っぽいパスタで、ソースとのからみがよいそうです。
3.GRANORO DELICATO(グラノーロ・デリカート)
20世紀の初頭から6代続くプーリア州のパスタメーカー。130種類もあるプーリアの小麦の種類のうち6種類を厳選して使用し、イタリア産100%にこだわるブランド。
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