おしゃべりが大好きなイタリア人。どこにいっても、あちこちで電話をしている姿を多く見かけます。携帯電話はイタリア人にとってなくてはならない大切なもの。大手の携帯電話は、次々に新しいキャンペーン料金を打ち出し、顧客の獲得に必死です。イタリアの携帯電話はSIMカード形式が主流なので、イタリアの携帯電話の番号を取得するのも、契約の携帯電話会社を変更するのも簡単なのです。ここでは、イタリアの携帯電話事情についてご紹介します。
「どう?問題ない?」と1日何度も家族間で電話をかけあうイタリア人
イタリア人は老若男女を問わず、携帯電話が大好きです。というのも、イタリア人は家族の絆がとても強く、同居している夫婦や親子であっても、1日に何度も電話で様子を話し合うのです。特にマザコン(?)として有名なイタリア男性は、年齢を問わず毎日マンマに電話する、というのは当たり前。おばあちゃん世代だって、息子たちの声を電話で聞くために携帯電話を使いこなすのです。最近では、スマートフォンで簡単に写真が送り合えるので、スマートフォンも若者のように自由自在に操ります。
イタリアではシンプルなタイプの携帯電話なら20EUROくらいから、スマートフォンでもマイナーなブランドだと100EURO以下でも手に入るという気軽さも、携帯電話が普及している理由かもしれません。
携帯電話の料金システムは?
日本のように携帯電話会社と契約する基本料金方式のほかに、プリペイドカードの先払い方式もあります。しかも、プリペイドカードは5EUROから購入できます。入金している金額以上に電話ができないので、子供にも安心して持たせます。ただ、途中でカード残高がなくなって会話の途中で切れてしまうということがあるので、注意が必要です。
プリペイドカードは、携帯電話会社の窓口やタバッキと呼ばれるタバコ屋さん、スーパーマーケットでも購入できます。またATM機で銀行口座から直接入金できるシステムや、携帯電話会社のホームページから購入もできて便利です。
基本料金方式は、通話時間やインターネットの通信速度や時間によって、さまざまなパック料金が設定されています。常に各社とも新顧客獲得のためのキャンペーン料金が出ているので、契約するときは比較したほうがいいでしょう。また、ホームページからの入会のみの特別料金もあります。
イタリアではSIMカード形式なので、携帯電話会社を変更することが簡単です。携帯電話会社を変更しても電話番号はそのまま、というプランもあるので、他社のお得なプランを見つけたら、気楽に変更することができます。
携帯電話を契約するには?
街中にたくさんある携帯電話会社の窓口で、身分証明書となるパスポートを提示してSIMカードを購入するだけで、イタリアの携帯電話番号がもらえます。日本でSIMカード対応のスマートフォンを持っていれば、イタリアのSIMカードを挿入するだけで、イタリアの携帯電話に早変わりです。旅行中に日本の携帯電話を使えるように設定していても、イタリア国内に電話する場合いったん日本を経由して電話することになるので、帰国後、恐ろしい金額の請求が届きます。もし、イタリア国内で電話する予定が多いなら、イタリアのSIMカードを購入するほうが安上がりです。
また、2016年の6月より、ヨーロッパ内のローミングの特別料金が撤廃されたので、イタリア以外のヨーロッパの国々を周遊する場合は、そのまま同じように使えます。
イタリアでは主に3つの主流な携帯電話会社があります。いつでも各社同じような格安キャンペーンをやっているので、それほど大差がないような気がします。
・VODAFONE(ボーダフォン):日本でもおなじみの世界最大の多国籍携帯電話会社。イタリアでも恐らく一番シェアが多いかもしれません。
・TIM(ティム):テレコムイタリア(イタリアのNTTのようなもの)のグループなので、根強い人気がある
・WIND3(ウインドトレ):WINDと3という会社が合併。WINDは、VODAFONとTIMの両方の回線を使用するので、利用できる範囲が多いというメリットがあって、この2社に準じる位置についていたのですが、最近、後発の3と合併して、上位2社に対抗しています。3は、契約するとアイフォンが他に比べて格安で購入できるという特典を付けてスタートしたのですが、つながりにくい、通話料が高いと、人気は今一つでした。WIND3が今後どうなるのか注目です。
イタリアの携帯電話のマナーが知りたい
他人に甘く、自分にもっと甘いイタリア人は、大好きな携帯電話の使い方に対してもとても寛容です。イタリア人には、日本での携帯電話のマナーが全く理解できないと思います。歩きスマホは全く問題なく当然のこと。息を切らしてジョギングをしながら電話をしている姿も多く見かけます。
電車やバスなどの乗り物の中でも、携帯電話でのおしゃべりが聞こえるのは日常の光景です。もともと公共交通機関内では、シーンと静まり返った日本の電車やバスと違って、知り合い同士、または偶然乗り合わせた人同士でも、すぐに会話が始まる国民性で常に騒がしい車内では、逆に携帯電話の声はあまり気にならないからかもしれません。以前ユーロスターで、「ほかの人に迷惑がかからないように車内でのおしゃべりは慎みましょう」というアナウンスが入りましたが、全く気にせずおしゃべりが常に聞こえてきました。
映画館で、携帯電話の音がなるのもあまり珍しいことではありません。さすがにすぐに音を消す人がほとんどですが、人によっては、「今、映画館にいるのよ。後でかけてもいい?そう、子供と来てるのよ。」なんて、話を始める人までいます。以前、市役所の窓口で、担当している職員の携帯電話が鳴ったときに、「どう?大丈夫だった?電話しようと思ってたのよ。大変だったでしょう?」と、書類にサインをしながら、会話を続けられたこともありました。
そんなイタリアですが、最も問題になっているのが、運転しながらの携帯電話。日本人よりはるかに携帯電話の使用量が多いイタリア人は、車を運転している最中だけではなく、オートバイの運転中にも携帯電話を覗き込む人が多く、交通事故が増加しているとのことです。今のところ法律上は、片手で携帯電話を持っての運転には罰金が科されるので、運転中の通話はイヤホンタイプのマイクの使用が義務図づけられてはいるのですが、それでもスマートフォンを見る人がいるのですね。
日本のようなマナーがほとんどないので、気軽に携帯電話が使えます。必要な方は気軽に試してみてはいかがでしょう。
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