イタリアには、紀元前にさかのぼるブドウ栽培の長い歴史的背景があって、イタリア全土で5,000種もの豊富なブドウの品種によって作られる個性的なワインがたくさんあります。せっかくイタリアに来たのなら、本場の美味しいワインを楽しんでみたいものですね。
イタリアワインは、種類が豊富でわかりにくいというイメージがありますが、ここでは、イタリアワインについて、選ぶ際の目安になる格付けや地域別おすすめのワイン、また、行ってみたい老舗のローマのエノテカをご紹介します。
長い歴史を持つイタリアワイン
イタリア半島のワインの歴史は古く、古代ローマの時代には、すでに一般的な飲み物として楽しまれていました。西暦79年に噴火したヴェスヴィオ火山により一瞬にして灰に埋まってしまったナポリ近郊のポンペイ遺跡にも、ワイン居酒屋の跡がはっきりと残っていて、当時の人々に親しまれていた様子がうかがえます。
広大な領土を有した古代ローマ帝国の兵士たちは、戦場に向かう際にはブドウの苗を携えて出かけ、新たに領土を獲得するごとにブドウの苗を植え、古代ローマ帝国全体に、ブドウの苗、そしてワインの作り方を広めていったと言われています。
イタリア各地の特徴あるワイン
イタリア半島の地中海性気候は、ブドウ造りに適しているので、ブドウの品種の数は世界一と言われるほど豊富です。南北に細長いイタリアでは、自然環境も土地によりさまざまで、地方ごとに土着のブドウで作られた特徴豊かなワインが存在します。
北イタリアには、世界有数の濃厚な赤ワインやスパークリングがあり、また、イタリア中部ではトスカーナ地方の丘陵地では、「スーパートスカーナ」といわれる、イタリアワインの格付けとは全く別に自由な発想で作られた個性的なワインがあります。
そのほか、最近ではあふれる地中海の熱い太陽を受けて育った南イタリアのワインの、個性豊かな力強いワインにも注目が集まっています。
イタリアワインの格付け
イタリアワインには、イタリア独自の等級が決められていましたが、現在はEU加盟国による共通の規定で、基本的にはDOP(Denominazione di Origine Protetta)保護指定原産地表示、IGP(Indicazione Geografica Protetta)保護指定地域表示の2種類に分けられます。
この格付けは、ワインを選ぶ際の目安として参考になりますが、どちらかというと味よりも製造方法の規定を重視しています。厳密に境界線を確定したブドウの生産地域が限定されていて、ブドウの種類をはじめ、アルコール分の最低含有量、製造法、貯蔵法、味覚の特徴に関する基準を満たしていることが条件づけられた、非常に厳しい格付け基準です。その土地ならではの、よそではできないワインが造られているか、ということが重要視されていて、自己申請に基づいて、国やEUの機関によって認定されます。
(1)IGP(Indicazione Geografica Protetta)保護指定地域表示
以前はIGT(Indicazione Geografica Tipica)特性地域表示という名称だった格付けと同じで、その地域のブドウを85%以上使うことが義務付けられています。当初、IGTという名称はIGPに変更しなければならなかったはずでしたが、2014年施行の法律では、IGTかIGPの表記を選べるようになり、結果として、両方流通しています。
(2)DOP (Denominazione di Origine Protetta)保護指定原産地表示
以前のDOC、DOCGに相応しますが、この2つの分類も継続して使用が可能です。
DOC(Denominazione di Origine Controllata)統制原産地表示
IGPの意味する地域が、州などの広い範囲であるのに対して、DOCはより限定されます。また、すべての製造過程に独自の規制があり、その基準を満たしていることが義務付けられています。
更に、IGPとして最低5年の実績、最低でも、生産者、ブドウ畑の35%からの格付け要請が必要です。
DOCG(Denominazione di Origine Controllata e Garantita)統制保証付原産地表示
イタリアワインの最高品質レベルです。DOCよりさらに厳しい基準を満たすことが要求されます。また、最低10年、DOCとしての実績、最低でも生産者、ブドウ畑の51%からの格付け申請が必要です。
また、熟成などの状態によって、クラッシコ(CLASSICO)、スーペリオーレ(SUPERIORE)、リゼルヴァ( RISERVA)という特別な呼称が付いている場合もあります。
(3)等級のない、ただの普通のワイン
これまでの『テーブルワイン』という格付けは以前廃止され、等級なしの普通のワインとなり、ただの白ワイン、赤ワインというラベルの表記です。
地域を代表するおすすめDOCGワイン
せっかくイタリアにいたのなら飲んでみたいおすすめのDOCGワインを、地域別にご紹介します。もちろん日本でも手に入るけれど、現地での味わいは全然違います。また、おいしいワインほど、イタリア国外には出にくいと言われているので、ぜひ、現地で堪能しましょう。お値段もものによっては、日本の半分以下で手に入れることができるのも嬉しいですね。
<スパークリングワイン>
ピエモンテ州:アスティ、モスカート・ダスティ(ASTI 、MOSCATO D’ASTI)
ロンバルディア州:フランチャコルタ(FRANCIACORTA)
<赤ワイン>
ピエモンテ州:バローロ(BAROLO)、バルバレスコ(BARBARESCO)
トスカーナ州:キャンティ・クラシコ(CHANTI CLASSICO)、
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ(BRUNELLO DI MNTALCINO)、
ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノ
(VINO NOBILE DI MONTEPULCIANO)
プーリア州:プリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリア(PRIMITIVO D’MANDURIA)
<白ワイン>
ヴェネト州:ソアーヴェ・スペーリオーレ(SOAVE SUPERIORE)
ラツィオ州:フラスカーティ・スーペリオーレ(FRASCATI SUPERIORE)
カンパーニャ州:グレコ・ディ・トゥーフォ(GRECO DI TUFO)
サルデーニア州:ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ(VERMENTINO DI GALLURA)
ローマのあるラツィオ州を代表するフラスカーティ・スーペリオーレ(FRASCATI SUPERIORE)という白ワインはさわやかな飲み心地のフルーティなワインです。古代ローマ帝国の首都であった時代から、皇帝たちにも愛された歴史の古いワインです。ぜひお試しください。
ローマを代表するエノテカ、「トリマーニ」
ローマでワインを買うのなら、1821年にオープンしたトリマーニ(TRIMANI)がおすすめです。テルミニ駅から、徒歩10分くらいのところにあります。ローマで一番古く、最大級のワイン屋で6000種類にも及ぶイタリアワインをはじめ世界各地のワイン、スパークリングワイン、リキュール、蒸留酒、ウィスキー、各種ドリンク類まで豊富にそろいます。
また、うれしいことに欧州クロネコヤマトと提携していて、日本へ直接郵送すると、イタリア付加価値税20%引きで購入ができるので大変お得です。
また、お店に隣接してトリマーニ・イル・ワインバー(TRIMANI IL WINEBAR)というワインバーもあります。イタリアで最初にワインバーという名称を使い1991年にオープンしました。おいしい料理とともに、ワインの種類の豊富さでは群を抜いたエノテカで、本場のワインが楽しめます。
<ワインに関するミニイタリア語講座>
赤ワイン:ヴィーノ・ロッソ(VINO ROSSO)
白ワイン:ヴィーノ・ビアンコ(VINO BIANCO)
ロゼワイン:ヴィーノ・ロサート(VINO ROSATO)
スパークリングワイン:スプマンテ(SPUMANTE)
甘口:ドルチェ(DOLCE)
辛口:セッコ(SECCO)
強い:フォルテ(FORTE)
軽い:レッジェーロ(LEGGERO)
アルコール:アルコーリコ(ALCOLICO)
瓶:ボッティリア(BOTTEGLIA)
グラス:ビッキエーレ(BICCHIERE)
TRIMANI
VIA GOITO 20
電話:06-446-9661
FAX :06-446-8351
営業時間:月~土9.00~20.30 日曜休み
TRIMANI WINE BAR
VIA CERNAIA 37B
電話:06-446-9630
営業時間:11.30~15.00、17.30~0.30
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