アムステルダム中央駅の北側には港、広い運河が広がっています。その向こうにはアイ地区と呼ばれる新たに開発されつつある商業・工業・住居地区がありますが、中でもひときわ目立つ高層ビルディングがあります。頭の上にとんがり帽子のような柱を載せていて、暗くなると、アムステルダム市のサインである「×××」がカラフルに光って浮かび上がるというおしゃれな建物です。実は、このビルは高層階が展望台になっていて、一般の観光客でもチケットを買えば最上階のテラスまで上がることができると知り、意を決して昇ってみました。
こちらが展望テラス「アムステルダム・ルックアウト」の入場口です。この右手にあるエントランスからは、同じビルに入っているレストランバーやオフィスのもので別なので、間違えないようにご注意ください。チケットは、12歳以上の大人が12.5ユーロでした。展望バーでのドリンクや運河ボートクルーズとのセットチケットも販売されています。予約するとカウンターで手続きをする必要がなくとてもスムーズに入場できるので、おすすめです。
なお、チケットカウンターの脇では、空中に架かった梁の上でポーズをとっているかのような合成写真が撮れるサービスも行われていました。有料ですが、面白い写真を記念に残したいという方にはぴったりだと思います。チケットを買うために行列している人々の前で面白いポーズをとるのは、ちょっと恥ずかしいかもしれませんが……。
高速エレベーターと映像アート
エレベーターロビーに向かうと、係員がエレベーターに誘導してくれます。乗り込むと、スタッフが「天井を見上げていると、何かが起こりますよ」と楽しそうに説明するので、エレベーターの透明な天井を見つめていると、エレベーターが動き出すと同時に、デジタルグラフィックが目まぐるしく変化し始めました。空を模したもの、宇宙のようなイメージ、星空、動物などのキャラクターなど、さまざまな画像が駆け巡っていたかと思えば、もう最上階20階に到着してしまいました。所要時間はわずか20秒。1秒につき1階のスピードで上がっていったという計算になります。あまりに一気に上昇したせいか、ちょっとめまいがするくらいです。
エレベーターを降りると、薄暗い廊下に出ました。この階には、レストラン、バーのほかに、ジムといった施設があるようです。
バースペースを見てみると、夕方の19時すぎだったせいか、にぎやかで、照明は暗めでした。店内には座り心地の良いソファ席、通常のテーブル席、カウンター風のスツール席などが揃っていて、気分や用途でシーティングを選べるようになっていて、気が利いています。インテリアもおしゃれで、ちょっときどった飲み会にぴったりの雰囲気の良い飲食スペースだと思いました。
同じフロアには、アムステルダムの有名DJ、有名人や名跡を紹介する大判タッチパネルのあるコーナーも用意されていました。外周は当然のごとく全面ガラス張りの窓になっていて、周囲の景色を見渡しながら飲食を楽しめるように誂えられています。
窓際には、パネルを動かすとその方向の昼間・夜間のそれぞれの景色が映像で見える装置もありました。照明でさまざまに見え方を変える、アムステルダムの町のミニチュア模型もあります。
ビールは通常のバーとほぼ同様の値段設定でした。ドラフトのBrandを注文してみました。グラスが特徴的で、サイズはちょっと小さめです。
エレベーターホールに戻り、最上階へ向かう階段を上がると、展望テラスに到着しました。各コーナーには、さらに一段高いところから景色を見張らせる階段つきの台が用意されています。テラスの周囲は安全のために柵で囲まれていますが、ところどころ柵なしで景色を楽しめるフレームがあって、そこから顔を出している人々の姿が見受けられました。
筆者が展望台を訪れたのは霧が深い夜だったので、あいにく見晴らしはあまりよくありませんでしたが、ぼんやりと浮かび上がるアムステルダムの街の灯りがどこか幻想的に見えてとてもかわいらしい風景が広がっていました。
展望テラスのいろいろな楽しみ方
展望テラスには、簡単なドリンクを用意してくれるバーも設置されていて、イルミネーションで飾られたスペースには、カジュアルに立ちながらビールなどのドリンクを楽しむ人の姿が絶えませんでした。
そのすぐ脇には、かの有名なブランコがあります。有名というのは、アムステルダム中央駅からでもよく見える空中にせり上げられるような、スリル満点の空中ブランコだからなんです。もちろん、安全のための腰のベルトがしっかりと装着されたうえでのスリルですが、アムステルダムの運河や中央駅、旧市街を見下ろしてブランコを漕ぐという体験は、他の場所ではできないここだけのものです。一回5ユーロ、5分程度ブランコを楽しむことができるようなので、心臓が強い方はぜひ試してみてください。筆者はちょっと怖くて挑戦できませんでしたが……!
赤い馬の彫像も置かれていて、自由に跨って、写真撮影ができるようになっていました。高さ2メートル近くあるような大きな赤い馬だったので、馬上からはなおさら見晴らしがよさそうです。また、展望テラスのところどころには望遠鏡が用意されていました。
柵にはパノラマ写真が添えられていて、どの方向にどのようなモニュメントや歴史的建造物、アトラクションがあるのかが一目瞭然で分かるようになっていました。
防寒対策は必須!
どの展望台もそうかもしれませんが、テラスでは風がとても強いので、訪問の際には防寒対策を忘れないようにしてください。特にオランダは強い風のある気候でよく知られている地域なので、冬ならばとくにウィンドブレーカーやダウンジャケットが必携です。展望テラスを訪れる際には欠かせないアイテムだと思います。
記念に残る眺望テラスからの見晴らし
アムステルダムでは天気が変わりやすく、曇天の日がとても多いので、眺望のために完璧なコンディションのよい日というのはなかなか難しいです。霧のある日であっても、風情のある夜景がそれなりに楽しめますが、展望テラスからできるだけ遠くまで見晴らしたいという方には、晴れた日の午前中早い時間にアムステルダム・ルックアウトを訪れることをおすすめします。年間チケットも30ユーロ程度で販売されているので、近くにお住まいの方は買ってみると楽しいかもしれません。
インフォメーション
名称:アムステルダム・ルックアウト(Amsterdam LOOK OUT)
住所:Overhoeksplein, 5, 1031 KS Amsterdam
開館時間:10:30-21:00(最終入場は20:00)
公式ウェブサイト:https://www.adamlookout.com
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