エルミタージュ美術館アムステルダム別館を訪問!

オランダ

エルミタージュ美術館といえば、ロシアのサンクトペテルブルグにある有名な美術館です。それがどうしてアムステルダムに……!? 不思議に思って訪ねてみると、オランダとロシアの歴史的な意外なつながりや、充実した展示のある広々としたミュージアムを発見することができました。今回は、アムステルダムでも有数の規模の大きな、見ごたえのあるアートスポット「アムステルダム・エルミタージュ美術館」をご紹介いたします!

ロシアとオランダを美術でつなぐ場所

 

アムステルダムのレンブラント広場やストペラ(国立オペラ・バレエ劇場)にほど近い運河沿いに、赤レンガ造りの立派な建物があります。こちらが、エルミタージュ美術館のアムステルダム分館(Hermitage Museum in Amsterdam)です。

なぜロシアのエルミタージュ美術館がアムステルダムにあるのかというと、実はロシア・サンクトペテルブルグの街の建設時にオランダ人が関わっていたという事実や、当初の街の名前はオランダ語で読まれていたことなど、オランダ・アムステルダムとサンクトペテルブルグには歴史的なつながりがあるからなんです。2つの文化的な街を結ぶ友好関係は現在まで脈々と続いていて、その流れからアムステルダム・エルミタージュ美術館がサンクトペテルブルグの別館として2009年にオープンしました。

ちなみに、エルミタージュ美術館は、ロサンゼルスとロンドンにも別館を持っています。膨大な質の高いコレクションを持つ美術館だからこそ成せる技ですね。

中心街に有るのでアクセスは容易

 

アムステルダム中央駅からは、地下鉄(メトロ)の51,53,54番のいずれに乗っても、「ワーテルロー広場(Waterlooplein)」で降りれば、美術館のすぐ近くに到着します。メトロの駅を出て地上に上がると、橋があります。そこから見える運河沿いの大きな建物は存在感抜群なので、すぐに分かるはずです。美術館の入口は、運河沿いの建物の中央下部にありますが、建物裏手のカフェのある庭を通って入場することができます。写真は運河沿いの入口です。

市内でも指折りの大規模な美術館

 

1683年にアムステル川に面して建てられたこの美術館は、もともとアムステルホフ(Amstelhof)という女性のお年寄りのための集合住宅として使われていました。2009年からはアムステルダム国立博物館に続いて市内で2番目に大きな美術館として、多くの美術ファンを魅了しています。観光客がたくさん訪れるだけではなく、地元の美術ファンやアーティストも一目置くほど、美しく充実した内容のミュージアムです。

通常年2回、特別展がそれぞれに異なるテーマで開かれています。その都度、ロシアの国立サンクトペテルブルグにある本館の膨大なコレクションの中から主題に沿って選ばれた作品がアムステルダムへ輸送されてくるのだそうです。ロシア国外ではあまり知られていない隠れた名作をアムステルダムにいながら鑑賞できるなんて、お得です。

チケットは大人が15ユーロで、17歳未満とミュージアムカード所持者は無料。特別展がある場合は別途料金がかかる場合があります。

チケットカウンターの裏にあたる場所には、クロークがあります。荷物やコートを預けたら、チケット売り場に向かって左手にあるカウンターで無料の音声ガイドを受け取りましょう。日本語版はありませんが、英語版が貸し出されています。

 

充実した内容の特別展示

 

このミュージアムの一番大きな魅力は、幅広いロシア・サンクトペテルブルグのエルミタージュ美術館の豊かなコレクションから選ばれた質の高い作品が、テーマごとに分かりやすく展示されていることだと思います。特に特別展の質の高さは素晴らしいと思います。

筆者が訪れた際には、特別展「黄金時代の肖像画(Portrait Gallery of the Golden Age)」が開催されていました。オランダの黄金時代に莫大な財産を築いた商人や医者、政治家などが描かれた肖像画がずらりと並んでいるとても見ごたえのある展示です。独特のタッチで描かれたオランダ人たちの人物画は一つひとつが個性的で見ていて飽きません。また、絵画を通じてオランダの歴史が学べる機会でもあり、美術史の上で有名な画家たちの貴重な絵画を鑑賞しながら、ダイナミックな歴史の流れを感じることができて贅沢な体験です。

絵画に添えられたキャプションには、時代背景などが詳しく説明されていました。音声ガイドを使えば、書かれていること以上に詳細な情報を手に入れることもできます。歴史的背景は勿論、オランダ人の当時の衣装や生活習慣、描かれた人たちのそれぞれの物語が分かります。大画面に描かれた等身大の集団の肖像画などは、特に迫力がありました。

全体的にいえることは、展示されている作品が質の高く、展示が見やすいことです。一番大きな展示室では、ライトアップや映像、音楽、ナレーションなどのさまざまなメディアが効果的に使われていて、一定の時間おきにショー形式で、それぞれの絵の一部分が分かりやすいようにライトアップされ、効果音や英語での説明を聞くことができました。広い展示室も飽きずに最後まで楽しめる工夫があって、素晴らしいと思います。

常設展もお見逃しなく

 

特別なエキシビションだけではなく、常設展にも広々とした贅沢な鑑賞スペースが用意されていました。Kerkzaalと呼ばれている大広間には、パイプオルガンが備え付けられています。窓からアムステル川と運河を往来する船が眺めることができて、見晴らしがよく、開放感にあふれる上品で美しいホールです。

その他にも、食器や調度品、オランダの17世紀のキッチンをそのまま保存した一部屋などのたくさんの見どころがあります。館内には「アウトサイダー・アート・ミュージアム(Outsider Art Museum)」という、精神障害を持つ人などが描くアートを専門に展示しているコーナーもありました。

特別展だけ見て帰るにはもったいない充実した展示ばかりの美術館です。ぜひたっぷりと時間をとって訪れてみてくださいね!

(インフォメーション)

名称:エルミタージュ美術館アムステルダム別館(Hermitage Museum in Amsterdam)

住所:Amstel 51, 1011 AB, Amsterdam, The Netherlands

開館時間:10:00~17:00

公式ウェブサイト:http://www.hermitage.nl/en/

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