日夜問わず賑わうアムステルダム中心街のダム広場至近に、150年以上の歴史を誇る老舗のブックショップがあります。広場からは直接見えない、一本角を入った場所にあるので目立ちませんが、一度足を踏み入れたら、本好きな人ならしばらく出てこられないほど充実した品ぞろえを誇る大型書店なのです。
本好きのための隠れ家
Scheltemaは、1853年から続いている由緒ある老舗ブックショップです。広場の裏手にあるため、意外と知られていないのですが、ダム広場の一角にある大きなお土産ショップ(デルフト陶器中心のお店)の角を曲がると、こちらの建物がすぐに目に入ってきます。
オランダの公用語はオランダ語なので、普通のブックショップに並んでいる本のほとんどはオランダ語ですが、このお店には英語の本も多数取り扱われています。観光客向けのガイドブックや穴場情報、オランダ関連の写真集はもちろん、フロアに設けられた特設コーナーには英語の書籍も多数並んでいて、観光客はもちろん、英語が読みたい人にとっては大きな魅力になっています。
また、広々とした快適なフロアと古本も含めた豊富な品ぞろえだけではなく、遊び心溢れる仕掛けもたくさん仕掛けられている魅力的なブックショップです。さっそく各フロアを探検してみましょう。
Scheltema には合わせて5つのフロアがあります。それぞれのフロアは建物中央にあるエスカレーターとエレベーターでつながっていますが、その他、階段にはさりげなくステンドグラスがはめられていて美しいので、ぜひチェックしてみてください。
地上階には、雑誌がずらりと並んでいて圧巻です。その他、絵葉書やアムステルダムグッズ、ステーショナリーなども扱われています。また、話題の新刊をダイナミックに展示する「新刊コーナー」があります。オランダ語なので筆者にはまだ読めないのが残念ですが、禅の文化の影響を受けたらしい「Oshoの教え」といったような書籍も見かけられて、興味をひかれました。
こちらの特設コーナーでは、旅行中に読んだ本のタイトルをシェアするという企画が行われていました。「イギリス旅行中にハリー・ポッターを読んだ」という人など、いろいろな人のコメントと本のタイトルが小さなメモ用紙に書かれていて、大きな世界地図のあちこちに貼り出されています。誰でも参加できるので、旅の記念に参加すると楽しそうです。
くつろげる読書スペース
この書店の特色のひとつに、広々としたスペースに設けられた「読書コーナー」があげられます。椅子のある書店は日本にも増えてきましたが、このScheltemaには椅子だけではなく、大きなテーブルも用意されているんです。中には、囲碁セットと遊び方の説明書きが置いてあるテーブルもありました。
子ども向けのコーナーも充実しています。教育の水準がとても高く、子どもに対する目線が温かいオランダらしく、
おもちゃやぬいぐるみがたくさん詰まった宝箱が絵本コーナーの一角に置かれています。帆船を模した遊具まで設置されているので、子どもたちは絵本選びよりも遊ぶのに夢中になってしまうかもしれませんね。
おしゃれで居心地のいい店内カフェ
2階部分には、カフェ「Vascovelo」があります。ベルギー・アントワープ発のこのカフェは、賞をとったコーヒーだけではなく、フェア・トレードやオーガニックなど、さまざまなこだわりのある喫茶店です。黒い帽子をかぶったコウノトリが印象的なトレードマークです。
お店の作りが独特で、ブックショップの窓際に沿って長い座席があり、手前に島のようにもうひとつの座席スペースがあります。黒を基調としたシックなインテリアでおしゃれな印象ですが、お店のスタッフはフレンドリーなので、緊張せずにのんびりくつろぐことができます。
本棚に囲まれたブックショップ内のカフェの席に座っていると、なんだか心が落ち着きます。本好きな方にはぜひおすすめしたい穴場カフェです。
ちょうど昼食時に訪問したので、パンプキンスープを注文してみました。意外なほどさらっと味わえるかぼちゃスープには、とても美味しいパンとバターが添えられていて、おなか一杯になりました。食後に頼んだエスプレッソコーヒーも美味でした。食事やティータイムにも、本を読みながらゆっくりと過ごすひとときにも、ぴったりのカフェだと思います。カフェの詳しい情報は、こちらのサイト(http://www.vascobelo.be/amsterdam-scheltema)で確認できます。
ジャンルごとの個性あふれるディスプレイ
本売り場に戻ると、料理本コーナーの中央にアイランドキッチンがありました。タジン鍋など調理器具も置かれています。ここまでするか! という売り場のアイディアが実現されていて面白いですね。
海外コミックスが勢揃い
コミックス売り場では、頭上に漫画のような吹き出しの形をしたプレートが浮かんでいて、楽しい気分を盛り上げてくれます。球体の形をしたモダンデザインの椅子もあって、個性的な売り場になっています。ちなみに、コミックスといっても日本の漫画ではなくアメリカやヨーロッパで生まれた海外のコミックスが主に取り扱われています。漫画のサイズも日本の漫画の単行本よりも大判で、色づかいや画風、題材やキャラクターデザインなど、いろいろと違いが分かるので、日本で漫画に親しんでいる方にとっては、この売り場はとても楽しめると思います。
英語の本も充実
さすがアムステルダムというべきところは、まず英語の本の品ぞろえがいいことでしょう。ベンギン・ブックスなどのコーナーもあります。古本コーナーにも英語本コーナーがありました。
最上階には、セカンドハンド・ブック、つまり古本が所狭しと並んでいます。アートや芸術関連の本も充実していることです。過去に行われた展覧会のカタログやアーティストブックなども数多く揃っていて、少部数発行の本などマニアックな掘り出し物が見つかりそうです。アンティークとして価値の高い昔の本もショーケースに入れられて販売されていました。
オランダ語が読めなくても十分楽しめる大規模書店Scheltema、本好きなら見逃せないカルチャースポットです。
インフォメーション
名称:Scheltema
住所:Rokin 9, 1012 KK Amsterdam, Netherlands
公式ウェブサイト:https://www.scheltema.nl/#
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