日本では15歳以下の子供を扶養する保護者は、「児童手当(子ども手当)」と呼ばれる給付金が支給されますよね。子育てには何かとお金がかかるので、子どものいる家庭にはありがたい制度です。オーストリアでも日本と同様、子どものいる家庭では「Familienbeihilfe(ファミーリエンバイヒルヒェ)」という子ども手当を受け取ることができます。オーストリアの ファミーリエンバイヒルフェは一体どのような制度になっているのでしょうか?
ファミーリエンバイヒルヒェは誰がもらえるの?
オーストリアでは子どものいる家庭であれば、扶養者が働いていても無職でも、収入が多くても少なくても、平等にファミーリエンバイヒルヒェを受け取る権利があります。
ファミーリエンバイヒルヒェを受け取るための必要条件は
・基本的にオーストリアで生活をしていること
・扶養者が子どもと同じ住所に住んでいること
です。養子を育てている人や、両親の代わりに孫を育てている祖父母も、同様にファミーリエンバイヒルヒェ受け取ることができます。
基本的にファミーリエンバイヒルヒェは、子どもの母親の口座に振り込まれます。
ファミーリエンバイヒルヒェを父親の口座に振り込まれるようにすることもできますが、そのためには父親が母親よりも多く家事を受け持っていることを証明するか、母親がファミーリエンバイヒルヒェを受け取ることを放棄することを示す書類が必要です。
ファミーリエンバイヒルフェを受け取ることができるのは、基本的に子どもが24歳になるまでです(子どもの24歳の誕生日まで)。
日本では子どもが15歳になるまでですから、オーストリアでは日本よりも10年間も長く給付を受け取ることができるんですね!
ただし、子どもが18歳になってからはファミーリエンバイヒルヒェを受け取るためには子どもが
- 職業訓練学校を修了していること
- 大学で勉強していること
- 仕事をすることがまだ不可能なため、職業訓練を続けている状態であること
- 障害があって、自分で収入を得ることが難しい場合
などの条件が加わってきます。
子どもが兵役に行っていたり、障害を持っているような場合には例外として1年長く、25歳の誕生日まで受け取ることができます。兵役期間中(又はそれに代わる社会奉仕期間中)や職業訓練中には、ファミーリエンバイヒルフェは支給されません。
ファミーリエンバイヒルフェ、いくらもらえる?
気になるオーストリアの子ども手当の金額ですが、一体いくら受け取ることができるのでしょう?
オーストリアでは子どもの年齢と数によって、受け取ることのできる子ども手当の金額が変化します。
■ファミーリエンバイヒルフェ(2017年4月)
子どもの年齢 | 1か月に受け取る金額 |
0歳~2歳 | 111,80 ユーロ |
3歳~9歳 | 119,60 ユーロ |
10歳~18歳 | 138,80 ユーロ |
19歳~ | 162 ユーロ |
子どもの年齢が上がるにしたがって、手当ての額が上がっているのが見て取れますね。
また、子どもの数が増えても、手当ての額はアップします。
- 子どもが2人の場合・・・子ども1人につき6,9ユーロ増し
- 子どもが3人の場合・・・子ども1人につき17ユーロ増し
- 子どもが4人の場合・・・子ども1人につき26ユーロ増し
- 子どもが5人の場合・・・子ども1人につき31,40ユーロ増し
- 子どもが6 人の場合・・・子ども1人につき35ユーロ増し
- 子どもが7人以上の場合・・・子ども1人につき51ユーロ増し
例えば、8歳と11歳の子どもがいる家庭でしたら、基本の子ども手当
119,60ユーロ+138,80ユーロ=258,40ユーロ
に加えて、子どもが二人ですので
6,9ユーロ×2=13,8ユーロ
を更に受け取ることができるので、月々に受け取るファミーリエンバイヒルフェの金額は
258,40ユーロ+13,8ユーロ=272,2ユーロ
ということになります。
ファミーリエンバイヒルヒェが振り込まれるのは、一番早くて月始まりの6日です。ただし、土日や祝日なども入ってきたりしますので、毎月振り込まれる日にちは変動します。
ファミーリエンバイヒルフェの金額は上がっている
いまのところ、ファミーリエンバイヒルフェの金額は物価の上昇に合わせて上がっています。2018年の1月からは、さらに1,9%増額されることが決まっています。子どもがいる家庭には、嬉しいニュースですね。
6歳~15歳の子どもがいる家庭が受け取れる補助もある
オーストリアには「Schulstartgeld(シュールスタートゲルト)」という、6歳~15歳の子どもがいる家庭に支給される補助金もあります。
シュールスタートゲルトは、新学期が始まる9月に受け取ることができる補助金で、子ども一人につき100ユーロを受け取ることができます。
シュールスタートゲルトはファミーリエンバイヒルフェと一緒に、指定の口座に振り込まれます。受け取りのために、特別な手続きをする必要はありません。
ファミーリエンバイヒルヒェの申し込み方法はどうすればいいの?
2015年の5月から、子どもがオーストリアで産まれた場合、ファミーリエンバイヒルヒェの申し込みは必要がなくなりました。
子どもが産まれたら自動的に「ファミーリエンバイヒルフェを受け取る権利ができましたよ。」という手紙が家庭に送られてきます。すると、その時点から銀行口座にファミーリエンバイヒルヒェが振り込まれるようになります。
銀行口座の番号などの情報が伝わっていない場合は、その情報を送るよう指示された手紙が来ますが、この場合もファミーリエンバイヒルヒェの「申込用紙」のようなものは必要なく、単に欠けている情報を送るのみで大丈夫です。
こどもが18歳以上になってからは、ファミーリエンバイヒルヒェの申し込みが必要になってきます。
申し込みに必要な書類は
・職業訓練学校に通っている証明書、又は大学入学証明書、又は高校に通っている証明書
・子どもがオーストリアの国籍を持っていない場合は、子どもの滞在許可証
・兵役、社会奉仕、養成専門教育期間中であるという証明書
です。
申し込みは、お住いの区のFinanzamt(フィナンツアムト)で行ってください。
お住いの区のフィナンツアムトの場所は、こちらのリンクから検索することができます。
https://www.help.gv.at/at.gv.brz.linkaufloesung/help/applikation-flow?execution=e1s1
ファミーリエンバイヒルヒェの申し込みは、無料です。
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