ホイリゲ(Heuriger)に行ってみよう!

オーストリア

ウィーンには多くの魅力的なカフェハウスやレストラン、バーがあります。その中でも特に、ウィーンを訪れるのならば是非一度は訪れて頂きたい場所が「ホイリゲ」という酒場です。酒場、というとちょっと聞こえは悪いかもしれませんが、実際は独特な雰囲気のカジュアルレストランといった感じの場所なので、お酒が飲めない人でも大丈夫。今回はウィーン風酒場のホイリゲについてお話ししたいと思います。

 

ホイリゲってどんな意味?

 

通常私たちが「ホイリゲ」と言えば、それは「酒場」を意味する言葉ですので、「ホイリゲに行こうよ」などと友達に誘われたりすれば、それは「飲みに行こうよ」ということです。

でも実はホイリゲ(heuriger)とは「heuer」(ホイヤー)という「今年の」という意味のドイツ語が変化してできた言葉で、新酒を意味する言葉なんです。

それではなぜ新酒という言葉が「酒場」を意味するようになったのでしょうか?

その由来を追うと、歴史は200年以上遡ります。

1784年、今までは一部のワイン販売人だけに許されていたワインの販売許可が、当時の神聖ローマ帝国の皇帝であったヨーゼフ2世によってウィーンの農家にも発令されたのです。ただし、販売するワインは何でも良いわけではなく、「ウィーンの郊外の畑で採れた葡萄を使用し、その葡萄で作った新酒のみを自分たちの農家で提供したり、販売したりしてもよい」という決まりがありました。

それ以来、ワイン農家では、葡萄が取れた年の11月11日にワイン樽を開封し、開封から1年間の間そのワインを「ホイリゲ」(新酒)と呼んで販売するようになりました。葡萄を育てたり、ワインを製造する傍らに、自家製ワインや食事を出すようになったワイン農家は、このような経緯を辿って「ホイリゲ」と呼ばれるようになったのでした。

 

ホイリゲはどこにあるの?

 

ホイリゲは、ワイン農家が兼業しているような酒場ですので、ウィーンの中心地にはほとんど存在していません。中にはウィーンのど真ん中で営業しているホイリゲもありますが、敷地も広くありませんし、いつも観光客でいっぱいなので、地元の人が訪れるような昔ながらのホイリゲを訪れてみたい場合は、是非郊外まで足をのばしてみてください。

公共交通機関で最も訪れやすいホイリゲ街は、何といってもウィーンの北部Grinzing(グリンツィング)でしょう。地下鉄4号線の終点Heiligenstadt(ハイリゲンシュタット)からから38Aのバスに乗り継いで約10分行くか、地下鉄2号線Schottentor(ショッテントーア)の駅から市電38番で約20分行くのが一番わかりやすい行き方です。

グリンツィングには、多くのホイリゲが密集しています。街からのアクセスが良いので、多少観光地化されてはいるのですが、それでも十分に伝統的なホイリゲの雰囲気を味わうことができます。

 

営業中かどうかの見分け方

 

ウィーン市内のホイリゲは、年中営業しているところも多いですが。昔ながらの家族経営の郊外のホイリゲは、ワイン農家がついでに食事も出している、といったスタイルの店ですので、夏季のみにしか営業していない場合もあります。

ホイリゲがオープンしているかどうか見分けるためには、店頭に松の枝の飾りが飾られているか、店頭の電球が灯っているかどうかを見るとよいでしょう。

このような松の枝の飾りが飾られていたり、電球が点いているお店は営業中です。

 

ホイリゲで食事をしてみよう

どこに座るのがお勧め?

まずホイリゲに入ると、美しい中庭が目に入ってくるのではないでしょうか。多くのホイリゲには葡萄の木や、酒樽などで綺麗にデコレーションされた中庭があります。夏季には、ほとんどのお客さんが中庭にあるテーブルにつきます。オーストリアの人たちは、外で食事するのが大好き。中庭の席がいっぱいだから、お店の中もいっぱいかな、と思ってお店の中をのぞいてみると、ガラガラということも多いです。青空の下で飲むワインは格別です。もしも、中庭の席が空いていたら、是非座ってみましょう。

テーブルで飲み物を注文しよう

席につくと、お店の人が注文を取りにやってきます。多くのホイリゲの店員さんは、オーストリアの民族衣装を身に着けています。

多くのホイリゲでは、テーブルで注文できるのは飲み物だけです。ワインが飲める人は、是非ワインを注文してみてください。

Rotwein(ロートヴァイン)が赤ワイン、Weißwein(ヴァイスヴァイン)が白ワイン、Rose(ロゼ)はロゼのことです。また、夏の暑い日にはGespritzter(ゲシュプリツター)という、ワインを炭酸水で割ったものもお勧め!すっきり爽やかなのどごしの新感覚のワインです。

お酒が苦手な人は、ぶどうジュース(Traubensafl(トラウベンザフト))を注文してみてはいかがでしょうか?ほとんどのホイリゲで提供されている自家製のぶどうジュースはとても濃厚で、今までのぶどうジュースのイメージを良い意味で破壊するほどのインパクトがあります。ぶどうジュースも、赤(rot(ロート))と白(weiß(ヴァイス))の2種類が選べることが多いですし、ゲシュプリツター(炭酸水割り)も注文できるので、是非試してみてくださいね。

お店によっては、テーブルで飲み物だけでなく、食べ物も注文できるところもあります。その場合は、メニューを見てほしい食べ物を注文すると、普通のレストランのように持ってきてもらえます。

それでは、テーブルで飲み物しか注文できないホイリゲは、どうやって食べ物を注文するのでしょう?

カウンターで食べ物を注文しよう

多くのホイリゲでは、食べ物はカウンターで注文することが伝統となっています。よくカフェに行くと、ショーケースの中にケーキが並んでいますよね。そのような感じで、ホイリゲにはショーケースの中に食べ物が並んでいます。

カウンターで食べたいものを、直接注文してみましょう。食べ物の名前が表記されていないと思うので、どれが何という名前の食べ物だかわからないかもしれません。でも、その食べ物を指さして身振り手振りで食べたい量を伝えれば大丈夫です。

食べ物の会計は、カウンターで直接行います。

注文した食べ物やフォークやナイフ、紙ナプキンなどはトレイに載せて、自分で自分の席まで運ぶセルフサービス方式です。

ホイリゲを楽しもう

食べ物を持って席に戻ってくると、すでに注文したワインが届いているでしょう。早速ワインと食事を楽しみましょう!

食事をしていると、そのうちバイオリンやアコーディオンの音楽の生演奏が始まるかもしれません。あなたのテーブルに音楽家たちが回ってきたら、お気に入りの一曲をリクエストしてみても良いでしょう。その場合は、チップを渡すこともお忘れなく!

食事が終わったら、飲み物の料金はテーブルで支払います。こちらでも、チップを10~15%ほど上乗せして支払うと良いでしょう。

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