ウィーンの中心地1区には、数多くの魅力的なカフェが密集しています。その中には、何百年もの歴史を誇るカフェもあり、訪れればその歴史と伝統を肌で感じ取ることができるでしょう。今回は、ウィーンの中で最も古い歴史をもつカフェレストランFurauenhuber(フラウエンフーバー)と、映画「第3の男」にも登場する、カフェ Cafe Mozart(カフェ モーツァルト)をご紹介しましょう。
1 Cafe-Restaurant Furauenhuber(カフェレストラン フラウエンフーバー)
ウィーンの中心にあるステファンス寺院から、南へKärntnerstraße(ケルントナーシュトラーセ)を3分ほど下っていくと、左手にHimmelpfortgasse(ヒンメルプフォルトガッセ)という小道が見えてきます。この小道に入るとすぐに見えてくるのが、このエレガントな黄色いバロック様式の建物。
こちらが、今回ご紹介するフラウエンフーバーです。
カフェの入口には、このような記録が刻まれた石板が。
「1788年に皇帝マリア・テレジアの料理人Franz Jahnが、この地に高級レストランを開きました。レストランでは、有名なコンサートが行われました。1888年に、モーツァルトがヘンデルのパストラーレを、1797年にはベートーベンが4本の金管楽器とピアノのための5重奏を演奏しました。」
と書かれています。
世の中に、たくさん魅力的なカフェはあれど、モーツァルトとベートーベンが演奏したことのあるカフェというのはそうそうないのではないでしょうか。クラシック音楽ファンならば是非訪れておきたいカフェですね。
また、1788年創業のこのカフェは、ウィーン市内で最も古いカフェなんですよ。一体どんな雰囲気のカフェなのか気になりますよね。
重たい扉を押してカフェの中に入ってみましょう。白い天井のアーチ、エレガントなシャンデリア、落ち着いた赤色のソファと絨毯。とても素敵な内装です。
外の窓から覗いてみた感じ、お店がいっぱいに見えても、案外店内は奥に広いので、大体の場合は席を確保することができると思います。
お店の人は正装で、大変ていねいにお客さんをもてなしてくれます。ウィーンは、割と接客が雑なお店が多いので、その雑な接客に慣れてしまっていると、ちょっと感動もののていねいさです。
ウィーン名物のザッハートルテ(Sachertorte)と、自家製トルテ(Haustorte)を、生クリーム付きで注文してみました。
生クリームが盛大にのって出てきました。自家製トルテは、上半分がリンゴケーキ、下半分がMohn(モーン)という、ケシの実のケーキでした。
両方とも、オーストリアサイズのケーキに慣れている筆者ですら、途中で降参しそうなボリューム。生クリーム付きでどちらのケーキも5,1ユーロでした。
フラウエンフーバーはカフェレストランなので、ケーキだけでなくお食事のメニューも充実しています。近くを通りかかることがあれば、是非訪れてみてくださいね。
Cafe-Restaurant Frauenhuber
住所: Himmelpfortgasse 6,1010 Wien
電話: +43 1 5125353
営業時間: 月曜日から土曜日 8:00~24:00 日曜日、祝日10:00~22:00
アクセス: Stephansplatzから徒歩3分
2 Cafe Mozart(カフェ モーツァルト)
ウィーン1区、ウィーン国立歌劇場の裏手、そしてアルベルティ―ナ美術館の向かいにある、おしゃれでエレガントなカフェ、カフェ モーツァルト。
モーツァルトが没した3年後である1794年、この地にはすでにカフェがありました。その後カフェの経営者が変わったり、リンク通りの建設が理由で一時閉鎖されたり、という時期を経て、1929年再オープンしたのが、現在のカフェ モーツァルトです。
このカフェ モーツァルトという名前の由来は、カフェの目の前のアルベルティ―ナ広場に、かつてモーツァルトの像が立っていたからだそうです。
モーツァルト、と音楽的なのは、何もお店の名前だけではありません。このカフェは、ウィーン国立歌劇場の裏手に位置するカフェということもあり、有名な指揮者や音楽家、歌手たちが好んで訪れるカフェでもあるんですよ。
このカフェの常連として、最も有名な人物と言えば、イギリスの小説家、グレアム・グリーンでしょう。彼は、当時カフェの隣にあるザッハーホテルに住んでいました。そして、カフェ モーツァルトで、代表作「第三の男」を書いたのです。映画「第三の男」では、そのせいもあってでしょうか、カフェ モーツァルトが登場しているんですよ。
こちらがカフェの外観。真っ白で綺麗な建物です。夏季にはカフェの前の広場にテラス席がでます。
店内の様子。落ち着いた雰囲気の内装です。カフェ内は禁煙ですので、煙草を吸いたい方はテラス席に座るようにしましょう。
扉を入った瞬間、お出迎えしてくれるのが、色とりどりの魅力的なケーキでいっぱいのショーケース。
どのケーキもとてもおいしいです!ちなみに、カフェ モーツァルトは、Cafe Museum (カフェ ムゼウム)やCafe Landmann(カフェ ラントマン)と経営が同じなので、これらのカフェとケーキの品ぞろえは一緒です。
このカフェは、甘いものだけでなく、朝ごはん、ランチ、夜ご飯のメニュー全てが充実しています。こちらはKipfel(キプフェル)という、砂糖がのった甘い三日月型のパンの朝ごはんメニュー。お茶とジュースもついて13ユーロでした。普通のパン屋さんで売っているキプフェルは、もっと細身のものが多いのですが、このキプフェルはふわっふわで大きく、しかも温かくてとてもおいしかったです。
ブランチメニューは11:30まで。8,5ユーロから15,5ユーロまでのコースがあります。
ランチは月曜日から金曜日の11:30から15:00まで。メニューは基本オーストリア料理で、日替わりです。スープとデザートがついた3品のコースだと、13,5ユーロ、スープとデザートなしのメインだけだと11,5ユーロと、かなりお得な値段設定だと思います。
コーヒー好きの方には、豊富な種類のコーヒーを選択する楽しみも。ウィーンのカフェでは大変珍しく、絵が入っているので、どんなコーヒーだかわかりやすいですね。
Cafe Mozart
住所: Albertinaplatz 2, 1010 Wien
電話: +43 1 24 100-200
営業時間: 毎日 8:00~24:00
アクセス: Karlsplatzから徒歩3分
無料Wifiサービスあり
まとめ
いかがでしたか?もしもウィーンを訪れることがあるならば、かつてモーツァルトやベートーベン、グレアム・グリーンも訪れたウィーンの伝統的なカフェで、当時に思いをはせながら、是非贅沢な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
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