バンコクと言えば、充実したナイトライフをイメージされる方も多いと思います。
特に男性の観光客にとっては、さまざまなお楽しみのサービスが用意されており、世界の各国からそれを目当てに観光に来られる方も少なくありません。
しかしながら、それぞれの街のナイトライフの基礎的なポテンシャルを知るには、クラブ(昔風に言えばディスコ)に行ってみるのが最も手っ取り早いです。
そこで今回は、バンコクのナイトライフの一般的な状況を知るためにバンコクで最も大きいクラブに行ったときの状況をレポートしてみたいと思います。
日本のバブルを髣髴とさせる盛り上がり
都市の中で、夜のネオンの元に人が集まるところには常に酒があり、音楽が流れ、大人の男女のコミュニケーションが展開されます。
クラブやディスコといったお店は、お店の構造的にはダンスフロア―とDJブースから流れる音楽がメインのものになりますが、あくまで主役は人であり、そこに集まる大人のコミュニケーションの「場」が本質的な意味でのメインコンテンツとなります。
観光都市でありながら東南アジアビジネスの雄たるポジションが確立しつつあるバンコクは、かなりの範囲に都市機能が肥大化しており、しかもそれが未だに拡張しているという状況。それに伴い、ショッピングモールや繁華街のエリアも拡大しつづけている環境下においては、クラブもあちらこちらに点在することになります。
バンコクの繁華街の代表であるアソーク/スクンビットエリアを中心に東は日本人や外国人が占拠しつつあるトンロー/エカマイエリア、西はサトーンエリアまで、かなりの広範囲に渡ってクラブがあります。
その中でも、ラマ9通りに接続しているロイヤルシティアベニュー(RCA)と呼ばれる通りは人気クラブが林立しており、通り自体が若干クラブ化していると言ってよいほどの盛り上がりを呈しています。イメージで言えば、バブル絶頂の頃の六本木スクエアビルの前(笑)。平日の月曜であろうと火曜であろうと、夜11時も過ぎれば、外国人や着飾ったローカル遊び人たちで通り自体がごった返しています。
バンコクにおけるクラブ事情
バンコクのクラブの特徴は、基本的には大規模店舗。つまり大バコですね。東京のような小規模でコアな集客をするようなスタイルの店は、ほとんど見当たらず、キャパ1,000人以上の規模が大半です。
クラブのメッカRCAにあって、もっとも規模も大きく人気も高い「ルート66」に12時過ぎから潜入してみました。この日は水曜日、特に翌日が休みの日でもないいわゆる普通のウィークデーです。予想通り店内はパンパン。
ルート66にはメインとサブの2つのダンスフロアがあります。メインの方は、大きな平場のバンスフロアーがあるわけではなく、ズラーっと長テーブルが並べられており、そこにウィスキーボトルやアイスペールを置いて、グループで立ち飲みをしながら楽しむスタイル。日本では見たことのない形態ですし、結構窮屈なスタンディングでダンスミュージックに身を任せながらお酒を飲むことになるのですが、これが意外にも気分が良いのです。
広々としたダンスフロア―があっても、大汗かいて大運動会的に踊りたいというニーズは稀ですし、むしろ本格的なダンサーが集まるようなクラブは他にもあるので、大バコはむしろこれくらいの方が良いのかもしれません。そのような客の細かいニーズまで計算して店舗設計をされているとしたら大した営業センスです。
重厚なエンターテインメント性
DJが掛ける音としては、今どきの大バコクラブの主流であるEDMを中心に、サブフロアーではダンスクラシック、クラシックハウス等を含め、比較的オールジャンルのレンジで楽しめます。客層は、外国人とお洒落タイ人がメイン。さらに内装もあまりギラギラせず、かと言って真っ暗でもなく、極めて程よい感じの夜遊び空間の雰囲気です。したがって、全般的に店の雰囲気が大人っぽく、安心して楽しめる感じ。
クラブは、ややもすると不良の子供の集まりになってしまう可能性もあるところ、非常によいクラブの空気感を演出しています。
さらに、このルート66には日本のクラブには無いものとして、ライブステージがあります。そこでも、ダンスフロア―とは別に、生バンドが少しファンキーかつお洒落なダンスミュージックを演奏していました。そして、出てくるバンド出てくるバンド、どれもクオリティが高い。楽器の演奏もボーカルもとても安心して楽しむことが出来ます。
ちなみに、こちらのスペースは完全に着席制。サービススタッフが各テーブルを回って接客をしています。東京で言えば、コットンクラブやブルーノート東京に近い雰囲気でしょうか。
つまり、ルート66は、大バコクラブと大人向けライブハウスがドッキングしたような総合エンターテインメント的なお店ということですね。もちろん、どちらのフロアにも何時でも移動可能なので、DJプレイに飽きたら座ってライブを楽しむ。少し座っているのが窮屈になったらダンスフロア側に移動、というように気分とノリに応じて、いろいろな楽しみ方が出来るわけですね。
これは、楽しい。長時間いても飽きません。どうりで、このような大規模店でも高い人気がキープできるわけです。
タイとダンスミュージック
ダンスミュージックに関して、タイでは比較的広いジャンルが受け入れられているようです。
以前、住んでいたミャンマーのヤンゴンでは、EDM一辺倒で、どんなDJが出てきても結局みんな音は一緒というように、かなり食傷気味でしたが、バンコクではそんなことはありません。DJによって個性の違う空間を作ろうとするクリエイティブな努力が見て取れますし、また、それぞれのDJにちゃんとフロアーを盛り上げようとするスピリットが感じられます。
実は伝統的にも、タイではダンスミュージックと親和性が高い音に対する感性があります。というのは、タイの伝統音楽にルクトゥンというジャンルがあり、いわば日本の演歌とほぼ同じポジションの音楽ジャンルなのですが、この音楽は基本的にダンスがつきもの。まぁ、極めてシンプルなメロディにシンプル過ぎるリズム、艶めかしい歌詞といのがセットになった形式美なのですが、タイの基本的な生活感がリズムや踊りに非常に近いことが伺いしれます。
もしかすると、この盛り上がるクラブ事情もこのようなタイ人の元々もっている感性と関係があるのかもしれません。
まとめ
ルート66は、とりあえずバンコクのクラブ事情を知るには格好のお店です。
観光でバンコクに来られ、ちょっとそんなナイトライフの一端をご覧になりたいという方にはお勧めできるお店ですので、機会があれば一度足を運んで見られては如何でしょうか?バンコク街中から、「RCAのルート66」と言えば、大半のタクシーの運ちゃんでも分かると思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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