7月4日の独立記念日(Independence Day)は、アメリカ市民にとって特別な思い入れのある祝日の一つです。
この日は企業や学校が休みになり、町には星条旗のモチーフが並びます。家族や仲間と集まり、アメリカらしい食べ物を頬張りながら明るい夏を楽しむ…というのが伝統的な過ごし方。
この記事では、そんな独立記念日の歴史や定番イベントについて、写真と一緒に紹介していきます。
独立記念日とは?
どんな祝日?
アメリカ合衆国の独立記念日(Independence Day:インデペンデンス・デイ)は、毎年7月4日です。
日付にちなんだ「Fourth of July」という呼び方も、一般的に使われています。
独立記念日はアメリカ全体の祝日となっていて、郵便局や連邦裁判所などの公的機関のほか、多くの企業や学校が休みになります。
レストランなども閉まっていることが多いので、当日の過ごし方には注意しましょう!
家族や友達と一日を過ごすため、前日の午後から移動を始める人も多いようです。
由来は?
この独立記念日の歴史は、今から200年以上も前にさかのぼります。
かつて、大英帝国から北アメリカ大陸に入植してきた人々は、本国からの支配や税の負担に対して次第に不満を抱えるようになりました。
13の植民地は互いに連絡を取って集まり、大英帝国との話し合いによって和解策を探ることに。
しかし、イギリス軍と植民地軍の武力衝突が起きたことから、和解の道は次第に厳しくなっていきました。
1776年、これら13の植民地が集まった会議で、大英帝国からの独立を宣言する文書が全会一致で採択されました。
この独立宣言の採択日が、7月4日だったのです。
ちなみに、独立宣言の中では、13の植民地が「United States of America(アメリカ連合諸邦)」と呼ばれています。
これが、現在のアメリカ合衆国の正式名称になっています。
定番フードはBBQ、ホットドッグ、スイカ
アメリカには「独立記念日といえば、これ!」という料理・食べ物がいくつかあります。
代表的なものは、バーベキュー、ホットドッグ、そしてスイカ。
これらを食べながら家族や友達と過ごすのが、独立記念日のスタンダードになっています。
また、先ほどの食べ物に比べると少しマイナーですが、やはり独立記念日らしさがあると言われるものとしては、
- ポテトサラダ
- 星条旗をイメージしたパイやタルト(ブルーベリー、イチゴ、チェリーなどを使用)
- ハンバーガー
- フライドチキン
- ベイクドビーンズ
などがあります。
ポテトサラダは前日の夜に作り、冷蔵庫に寝かせておくのが良いのだとか。
星条旗のパイやタルトは、パイ皮を細長く切ったものを上に乗せて焼いたり、クリームで模様を描いたりして、旗の縞模様を表現する人もいるそうです。
星条旗をイメージしたタルト。自宅で焼く人が多いですが、スーパーマーケットで買うこともできます。
ところで、独立記念日にバーベキューやスイカを食べる理由は、どうもはっきりしていないようです。
由来は謎に包まれたままですが、どれもアメリカらしい豪快さを持った、夏にぴったりの食べ物なのは確か。
賑わう街に出かけて、あるいは、自宅や滞在先でのんびりしながら、「独立記念日の味」を楽しんでみてはいかがでしょうか。
日中の記念イベントいろいろ
野球
独立記念日には、各地で野球の試合が行われます。
メジャーリーグ(MLB)では、独立記念日とその直近の週末、各チームが星条旗のモチーフをあしらった特別ユニフォームを着用します。
どんなものか気になる方は、2017年の独立記念日の様子をまとめた、MLBの公式動画をどうぞ!

背番号や帽子に赤、青、白の3色と、星の模様を取り入れたユニフォームが見られます。
また、マイナーリーグや地域の野球チームでも、やはり、独立記念日に合わせた試合を組むことがあります。
観客席内にバーベキューエリアが設けられたり、ショーや展示が行われたりと、野球場(ball park)はいつも以上のお祭りムードに。
会場によっては、試合終了後に花火を打ち上げることも! 最後まで楽しめる1日になりそうですね。
早食い競争
1916年から行われている、ニューヨークの「Nathan’s Hot Dog Eating Contest」は、移民たちが愛国心の強さを競うため、ホットドッグを食べまくる…という趣旨で始まった早食いコンテスト。
現在でも、ホットドッグ店「Nathan’s(ネイサンズ)」の1号店の前で、7月4日当日に開催されています。
近年では、日本人や日系アメリカ人の参加者が好成績を残すことも多く、日本からも注目が集まっています。
コンテストの観覧は無料とのことですので、ニューヨーク近郊を訪れる方は、ホットドッグ片手に熱戦を楽しんでみては?
セールやお得なサービス
星条旗に使われている色(red, white and blue)にちなんだ、赤ワイン、白ワイン、そしてビール(brew)のセール。
ショッピング大国のアメリカでは、祝日や記念日に合わせてセールを行うのが恒例になっています。
独立記念日は休みという店舗が多いのですが、その代わり、独立記念日の前日まで、もしくは、独立記念日を挟んだ一週間を「Independence Day Week」と名付けて、セールを行うことが多いようです。
特にセールが期待できるのは、アメリカ発のカジュアル衣料・アウトドアブランド。
エディー・バウアー、クロックス、アメリカン・イーグル・アウトフィッターズなどが狙い目です。
また、家族に会いに行く人々が利用する交通機関でも、独立記念日ならではのサービスを行うことがあります。
アメリカ国内線を運航しているサウスウェスト航空(Southwest Airlines)では、普段は有料で提供しているカクテル類を、独立記念日には無料でサービスしています。
空港の地上スタッフも国旗柄の小物を身につけているなど、独立記念日当日は少し特別な雰囲気に。
飛行機に乗る楽しみが増えるかもしれませんね。
締めくくりは花火!
多くの地域では、独立記念日の夜を花火で締めくくります。
海辺や公園、湖畔などで打ち上げ花火が上がるほか、アメリカでは普段見かけることの少ない、家庭用の花火も販売されます(※州によっては、安全上の理由から禁止されていることも)。
独立記念日の花火を屋外で見る場合は、日本の花火大会と同じく、場所取りが重要になってきます。
ビーチや公園で花火を見る人たちは、明るいうちからピクニックや海水浴を兼ねて現地に来ることが多いようです。
地域にもよりますが、昼間は日差しが強くなることが多いので、帽子やパラソルなどを忘れずに! 水分補給にもしっかり気を配りましょう。
食事をしたり、ビーチボールやフリスビーなどで遊んだりしているうちに、少しずつ時間が過ぎていきます。
日が沈み、夕焼けの名残も消えた頃が、いよいよ花火の始まり。
開始時刻は、夜9時ごろのところが多いようです。日本の感覚ではかなり遅く感じられますが、実際は、辺りが暗くなってから数十分ほど…という時間帯に当たります。
これは、夏の間に時計の針を進める、サマータイム(daylight saving time)のおかげ。これよりも早い時間帯だと、明るくて雰囲気が出ないのだそうです。
打ち上げ会場近くでは、花火の前や打ち上げ中に音楽が流れることがあります。
よく使われるのは、
- The Star-Spangled Banner(アメリカ国歌)
- God Bless America(第二の国歌と呼ばれることも)
- America the Beautiful(優しく柔らかい旋律。1895年の独立記念日に発表された詩が元になっている)
など、いわゆる「patriotic song(愛国的な歌)」と呼ばれる曲。
また、独立に携わった13州では、独立戦争や南北戦争などの際に歌われた軍歌・歌謡曲がかかることもあるようです。
花火の打ち上げそのものは、15分〜数十分ほどで終わる場合が多いです。
日本の花火大会に慣れているとあっけなく感じる短さですが、勢いよく次々に打ち上がる花火には素朴な清々しさも。
これが終わると、アメリカでは本格的な夏の始まりです!
コメント