所変われば味も変わる?カリフォルニアの「日本食」大調査

アメリカ

アメリカ・カリフォルニア州は、ハワイ州と並び、日本との縁が深いエリアです。10万人以上の日本人が暮らすロサンゼルスを始めとして、日本人・日系人の人口が多く、日本の食材が手に入るスーパーマーケットや、日本風のレストランが各地に存在します。

そんなカリフォルニア州の日本食には、材料を工夫したり、現地の人々の味覚に合わせたりして、お馴染みの味に独自のアレンジが加わったものも。この記事では、日本らしいものから、現地に適応したものまで、さまざまな「日本の味」をご紹介します。

手頃なお寿司の定番は「roll」

カリフォルニアでよく目にするお寿司は、握り寿司ではなく、現地で「roll(ロール)」と呼ばれている巻き寿司です。

地元スーパーマーケットでは、お惣菜(deli)売り場や魚売り場に「sushi」のコーナーがあり、さまざまな種類の roll を見つけることができます。

お寿司には欠かせない「海苔」ですが、アメリカでは、「黒い紙のように見えてしまって、あまり食べる気が起きない…」という人が少なくないのだとか。

そのため、海苔は roll の外側を覆うのではなく、具と一緒に、内側に包み込まれています。寿司飯の周りには、海苔を巻く代わりに、白ゴマや「まさご」、揚げ玉などがまぶしてあります。

ちなみに、「まさご」は、シシャモの卵を塩漬けし、赤く色をつけたもの。いくら(鮭の卵)や、とびこ(トビウオの卵)の代わりとして、アメリカでよく使われています。

Roll の中で最も有名なのは、日本でも名前が知られている「California roll:カリフォルニアロール」でしょう。このメニューは、ロサンゼルスのリトル・トーキョーで、寿司職人がアメリカの人々にも受け入れられる巻き寿司を考案したものが原型だとか。

使用される具材は、蟹風味かまぼこ(「カニカマ」)、アボカド、きゅうりなど。「カニカマ」は、現地で「Krab:クラブ」(※本物の蟹は「crab」)と呼ばれています。

また、他に人気のある roll には、以下のようなものがあります。

  • Caterpillar roll(キャラピラーロール): うなぎ、キュウリ、カニカマを内側に巻き、外側にアボカドを載せたもの
  • Rainbow roll(レインボーロール): カリフォルニアロールの外側を、サーモン、マグロ、白身魚、アボカドなどの薄切りでカラフルに巻いたもの
  • Philadelphia roll(フィラデルフィアロール):サーモン、クリームチーズなどを内側に巻いたもの

 

日本の味に負けない、本格的なお寿司も!

さて、お手頃価格の roll も良いのですが、ここカリフォルニアには、日本の味を伝える鮨職人たちも店を構えています。時には思い切って、お寿司屋さんに足を伸ばすのも良いかもしれません。

太平洋に面したカリフォルニア州は、日本に負けず、海の幸の宝庫です。

例えば、サンタバーバラ産の赤ウニは、日本のバフンウニに比べて、甘みが豊富。日本でウニが苦手だった人も、こちらで食べてウニ好きになってしまうほどだとか。

記事で紹介している写真は、サンディエゴにある人気店「Sushi Ota(寿司大田)」(http://jinya-ramenbar.com/menu/)のお寿司です。

サンディエゴのウニは、他地域にはあまり出回らないのですが、サンタバーバラ産のウニよりも更に濃厚なのだとか。その味に惚れ込んだ板前兼オーナーが、1990年にこの地に店を開き、以来、たくさんの人を魅了しています。

本格的なお寿司をカジュアルな空間で食べることができ、出張や旅行でサンディエゴを訪れる日本人だけでなく、地元の人々にも人気です。混みあうことも多いため、予約をおすすめします。

 

カリフォルニアで食べるラーメンの味は?

ラーメンになかなか出会えないというアメリカ東海岸に比べると、西海岸にあるカリフォルニアのラーメン事情は、かなり恵まれているといえそうです。

カリフォルニアに7店舗(開店準備中も含む)を有する「JINYA Ramen Bar:ジンヤ・ラーメンバー」(http://jinya-ramenbar.com/)は、上品な味わいと、幅広い守備範囲が魅力。

あっさり鶏スープの「Chicken Raman」や、豚骨・焦がしニンニクを使った「JINYA Tonkotsu Black」など、好みの違う人同士で行っても楽しめそうです。

ラーメン・つけ麺の「Rakiraki Ramen & Tsukemen:ラキラキ・ラーメン・アンド・ツケメン」(http://www.rakirakiramen.com/)は、サンディエゴに2店舗があります。味噌や豚骨などの濃厚なスープが中心で、カレーや丼などのメニューも豊富。行列ができる日も多いのだとか。

また、フードコートなどにあるチェーン店は、買い物ついでに気軽にラーメンを食べることができて、ありがたい存在です。

日本でお馴染みの「らーめん山頭火」は、日系スーパーマーケット「Mitsuwa Market Place:ミツワ・マーケットプレイス」内を中心に、カリフォルニアに6店舗、他州にも6店舗出店しています。

 

「Umami(旨味)」が味覚を変える?

最後に、日本の味覚に関わる話題を一つ。

カリフォルニアでは、「ヘルシー」なイメージに後押しされて、日本人以外の地元住人にも、日本の食材が大人気です。

地元のスーパーマーケットでも、豆腐(tofu:トーフ)や味噌(miso:ミソ)が手に入り、豆腐は野菜売り場の近く、味噌はチーズ売り場などに置かれています。

現地では、豆腐は主に炒め物やステーキとして、味噌は焼き物用のソースや、スープのコク出しに使うことが多いようです。

先日、ライターが知人の招待で、地元ホテルのレストランにお邪魔したところ、メニューの中に「dashi broth」という説明を発見しました(brothは、鶏肉や牛肉などを煮出した、「洋風だし」のこと)。

こんなところにも日本の味覚が…と思い、試しに注文してみることに。写真を紹介できないのが残念ですが、素揚げした白身魚に、だしの香るスープをそっと注いだ、優しい味わいの一品でした。

欧米では、甘味、辛味、酸味…といった味覚に比べ、「旨味」に対しては、あまり意識が向けられてこなかった歴史があります。

しかし、2000年に、舌の上で旨味を感じる構造(グルタミン酸受容体)の存在が明らかにされたことで、アメリカでも「umami」の概念が認識されるようになってきました。

 

まとめ

現在、カリフォルニアでは、味噌や椎茸(shiitake mushroom:シイタケマッシュルーム)などが「umami」の源として、人気を集めつつあるようです。

近い将来、地元のスーパーマーケットに「dashi」のコーナーができ、鰹節、昆布、干し椎茸や、ボトル入りの濃縮だしが並ぶことになるのかもしれません。

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