大都市から山間・砂漠地帯にまで広がる、アメリカ・カリフォルニア州。ここに暮らす多くの人々にとって、自動車は欠かせない移動手段です。
日々の暮らしを支え、いざという時には命を守ってくれる自家用車ですが、その性能をフルに発揮するためには、点検とメンテナンスが重要です。この記事では、カリフォルニア州で車を持つために必要な「スモッグチェック」や、現地の道路事情に合わせたトラブル対策を紹介します。
車検なし!?でも、「スモッグチェック」は忘れずに
アメリカの道路を走る自動車を見ていると、地域差はあるものの、ずいぶんとボロボロの車が多いことに気づきます。
ボディーがへこんでいる車、ライトのカバーが割れている車はざらで、中には、窓のヒビをガムテープで止めている車、サイドミラーがもげている車、バンパーが潰れている車まで……。
それもそのはず、アメリカの多くの州では、日本のような車検制度がなく、メンテナンスが所有者に任されていることが多いのです。
カリフォルニア州でもそれは同様で、ピカピカに磨き上げられた高級車と、窓ガラスの代わりにビニールシートを貼り付けた、サビだらけの車が並んでいる光景は、決して珍しいものではありません。
ただし、そんなカリフォルニア州でも、車の登録更新をするために欠かせない検査はあります。それが、「smog check(スモッグチェック)」です。
スモッグチェックは、排気ガスに含まれる有害物質の濃度を測定する検査です。
製造から5年以上経った車の場合には、所有者が2年に1回、このスモッグチェックを受けなければなりません。また、車を売買する場合にも、スモッグチェックが必要になります。
スモッグチェックの受け方
スモッグチェックは、自動車メーカー直営の販売店の他、カリフォルニア州の認可を受けた整備場・カー用品店などで受けることができます。
認可を受けている検査場では、壁や看板に、大きく「Smog Check」や「Smog Inspection」の文字が書かれています。
「Smog Check Only」や「Smog Test Only」と書かれているのは、「検査の結果、修理が必要となった場合には対応できない」という施設です。ガソリンスタンドの脇にある小さな整備場などに、こうした「検査のみ」の掲示を見かけます。
後ほど説明する例外を除き、こうした「検査のみ」の施設でスモッグチェックを受けても全く問題ありません。
カリフォルニア州で車の所有登録をしている場合、地域の陸運局(DMV:Department of Motor Vehicle)から、毎年、車両登録の更新通知が届きます。
スモッグチェックが必要な年には、更新通知に、検査を受けるよう記載があります(※)ので、その通知を持って、検査を受けに行きます。
※ 都市部に登録されている車の場合、「STAR station」で検査を受けるよう記載される場合があります。
これは、都市部の大気汚染を防ぐために、ランダムに選ばれた一定割合の車に対して、通常よりも厳しい基準で検査を行うプログラムによるもの。この指示が出た場合には、STAR station(厳しい基準で検査を行う施設)に指定されている、自動車メーカーの直営店などで検査を行います。
また、以前のスモッグチェックの結果が非常に悪かった車に対しても、STAR station 行きの指示が出るようです。
検査にかかる時間は30分から1時間ほど。料金は数十ドルです(2016年現在)。
特に予約をする必要はありませんが、メーカー直営店を利用する場合には、混雑回避のために、事前に確認の電話をしたり、予約を入れたりしていくことをおすすめします。
最寄りの検査場は、DMVのウェブサイトにある検索ページ(http://www.bar.ca.gov/pubwebquery/station/stationlist.aspx)で探すことができます。STAR stationに絞った検索も可能です。
メーカー直営の販売店でスモッグチェックを行った際の明細書。検査自体が60ドル、DMVに対する合格証明が8.25ドルの、合わせて68.25ドルでした。ついでに、タイヤの空気圧検査もしてもらっています。
検査が終わると、店舗からDMVに直接、合格証明を送ってもらえます。あとは、DMVに車両登録の更新を申込み、更新料の支払いをするだけでOKです。
DMVで、更新料の支払いと、スモッグチェックの合格が確認されれば、所有者の手元にその年の登録ステッカーが送られてきます。
登録ステッカーは、車のナンバープレートの指定の位置に貼りましょう。
カリフォルニアの道路はドライバー泣かせ
太平洋を臨む海岸や、自然豊かな国立公園など、カリフォルニア州はドライブの見どころが豊富です。
一方、交通量が多く、山岳・砂漠地帯と都市部の距離が近いためか、道路には、車から落下した部品や、別の場所から運ばれてきた小石などがよく落ちています。
舗装にムラがある路面も多く、「道路の状態が悪い州ランキング」では、カリフォルニア州が全米ワースト5に入っているのだとか。
道路局のスタッフが定期的に道路を清掃している様子も見かけますが、小さな釘など、細かいものは除ききれないようです。
「釘を踏んでタイヤがパンクした」
「前の車が跳ね上げた小石で、フロントガラス(英語では ”windshield:ウィンドシールド”)が割れた」
といった話も、たびたび耳にします。
本記事の担当ライターも、タイヤの空気圧が突然下がり、修理店に持ち込んだところ、釘が刺さっているのが見つかったことがありました。
釘や小石でトラブルが起きたら?
飛び石による窓ガラスの破損は、車間距離を充分に空けること、大きな車(小石を跳ね上げやすい)の後ろを避けること、スピードを出しすぎないことで、ある程度は避けられるといいます。
もし、窓ガラスにヒビが入ってしまったら、大きくなる前に修理に出しましょう。ほんの小さなヒビであっても、振動が加わることで、突然、大きな割れにつながることがあります。
自動車保険の中には、窓ガラスの交換費用を補償する特約がついているものもありますので、車を購入する方は検討してみても良いかもしれません。
タイヤの空気圧が下がった場合には、車の整備場、タイヤ量販店、カー用品店などに持ち込むのが良いでしょう。
(※空気を入れるだけなら、ガソリンスタンドに設置されている空気入れ機を使って、自分で行うことができます。しかし、パンクしている可能性を考慮すると、最初からタイヤの修理・交換のできるところに持ち込むのが良さそうです)
タイヤ販売チェーン店「Discount Tire/America’s Tire」では、穴埋めの修理なら無料で行ってくれるそうです。
また、会員制量販店「Costco(英語での発音は ”コスコ”)」も、同チェーンで購入したタイヤであれば、無料で修理しているとのこと。
タイヤの修理はあくまで一時的なもので、時間が経てば、同じ場所から空気が漏れてしまうこともあります。また、タイヤの穴を押し広げて補修を行うため、タイヤ自体にも負担がかかってくるそうです。
今後、長距離走行や、都市部から離れた場所を走る予定があるのでしたら、安全のためにタイヤを交換しておくことをおすすめします。
また、タイヤ本体の点検と合わせて、タイヤの摩耗や、運転効率の低下を防ぐため、タイヤの向き(alignment:アラインメント)を点検・調整してもらうことも大切です。
タイヤの向き(alignment)を点検してもらった際の結果報告書。点検は数十分で終わります。
いざという時に慌てないよう、普段から車の状態には気をつけておきたいですね。
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